KDDI MUGENLABO DAY 2019
5G×気鋭のスタートアップ7社 新世界を見据えたビジネスプレゼン
2019年3月26日、東京・渋谷のヒカリエで、KDDI ∞ Labo「MUGENLABO DAY 2019」が開催された。テーマとなっていた5Gにからめての、登壇スタートアップのプレゼンの模様をお届けする。
イベント開幕の挨拶で熱く語られたのは、目下話題の5Gについて。第一世代の固定電話の時代、通信は家族とシェアするものであった。しかし第二世代では電話を外に持ち出せるようになり、第三世代では一気に携帯電話として普及。そして第四世代では、単に連絡の手段から、情報がマルチにつながるようになっていった。そして2019年、第五世代の登場である。
4Gでは、ネットとリアルは、一部ではつながっているが、別々で存在している。しかし5Gでは、ネットとリアルが融合し、新たなパラダイムシフトが起きる。すべてのものに通信が入りってくる。そうした時代、ビジネスも新たな形態へと移行しなければならない。
大企業であるというだけではアドバンテージになりえない状況になりつつあり、企業規模が大きければ、それだけ動きが鈍くなってしまう。これまでのように大企業がベンチャー・スタートアップ企業を支援する、というゆるやかな連携では変化についていくのは難しくなる。大企業がベンチャー企業と融合し、率先してパラダイムシフトを作り出していく存在にならなければいけない。
KDDIでは、このような変化に対応するため、社内でのベンチャー企業との協力体制の抜本的な見直しが行なわれ、MUGEN LABOを社長の直轄組織から全社的にバックアップする体制が整えられたという。
本イベントでは、5G時代の新しい体験価値の創造を目指す7つの企業が「次世代プログラム採択企業」として登壇し、これまでの取り組みを発表した。以下、7社のピッチの模様をレポートする。
5Gによってディープラーニングの在り方が変わる
さまざまな産業へのAI導入に向け、深層学習・機械学習のアルゴリズム開発、およびアルゴリズムを応用したシステム開発を手がける株式会社ARAYA。同社からは、ディープラーニングを誰でもできるようにするための環境作り、についてプレゼンが行なわれた。
例に出されたのが、バーチャルアイドルによるコンテンツ発信。徐々に一般化しているが、配信には設備も必要で、まだまだプロフェッショナルを対象としたフィールドとなっている。
ARAYAが提案する技術の肝は「圧縮」の技術。ディープラーニングは処理なども含めて高負荷となるが、独自技術を使いデータ量を圧縮し、スマホでもリアルタイムで動きを追ってバーチャルアイドルが動くような環境を実現できるという。実用化できれば、人が操作するドローンによる不審者警備なども、演算量を圧縮し、AIが自律的に行なえるようになると発表した。
コストダウンでIoTを誰もが使えるものに
話題となっているIoTだが、国内では隅々まで普及するには至っていない。しかし5G環境においては、IoTを活用することで、非常に多くの成果が得られると株式会社momoは主張する。
たとえば豪雪地帯での積雪量。これをリアルタイムで補足することができれば、適切なタイミングで除雪車を配置・稼働させ、小さな自治体でも年間数百万円ものコストを削減できるという。
ただし、このような規模でのIoT導入は、コストが高くつき、1社のみでの開発も難しい。そこでmomoは、IoT汎用プラットフォーム「Palette IoT」を開発した。組み換え可能なセンサーと送信用無線機版を組み合わせ、1ヵ月でIoTソリューションを開発することが可能。さらに従来の10分の1のコストで、システムを置き換えることができるという。開発にコストがかかるため、資金力のある「金持ちのシステム」であったIoTを、最新技術の恩恵をみんなの手に届けていく、と熱弁をふるった。
デジタル広告で企業の負担を無料に
企業で日々行なわれている社外に知られてはいけない文書をシュレッダーにかける作業。これに目を付けたのがTAAS株式会社。機密を回収する場所には人が集まると考え、情報発信の場としてデジタルを使った広告を導入。広告費で機密情報を溶解処理する費用を賄い、結果として無料で機密書類を処理する「e-Pod Digital」という仕組みを発表した。
ニッチな市場である、と自ら述べる一方で、機密文書は必ず発生し、その処理は誰かがやらなければならない、つまりはインフラになる可能性があると指摘。9月までに1000社での導入を目指している、とのこと。
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