2019年3月22日、XTech展示カンファレンスイベント「JAPAN INNOVATION DAY 2019 by ASCII STARTUP」が開催された。ハードウェアに限らないオールジャンルの体験展示と8つのビジネスカンファレンスセッションが用意され、大いに盛り上がった。今回は、そのうちのセッションB-4「生粋のオープンイノベーターNTTデータ残間氏が先端ベンチャーの可能性とおもしろさを探る」の様子を紹介する。モデレーターはNTTデータ オープンイノベーション事業創発室室長の残間光太朗氏。
登壇したのは、AnchorZ代表取締役の徳山真旭氏、アグリゲート代表取締役の左今克憲氏、レイ・フロンティア株式会社 代表取締役 CEOの田村建士氏の3名。
AnchorZは2009年に設立したが、「DZ Security」のリリースは2018年11月と最近のこと。遅れた理由は、ワールドワイドのパテントを抑えてから、開発に着手したためだそう。「DZ Security」はバックグラウンドで動作する本人認証サービス。通常は、ログインするときにいろいろな認証を行なうが、ログイン済みの端末がほかの人の手に渡ると自由に使えてしまうのがネックとなっている。「DZ Security」は、サービスを利用している間中、声や顔、指紋といった生体認証に加え、各種センサー類で使い方の癖をAIで本人を判別する。セキュリティーの強度はユーザビリティーとトレードオフになるという前提を解消してくれるのが特徴だ。
開発にあたり「前例がないのが難しいところです」と徳山氏。技術者に指示をしても、例がないからできないと言われるそう。例えば、手ぶれがひどいと認証率が落ちるとか、iOSはサンドボックスになっているのでどうやって裏で動かすのかといったところをクリアするところに手間がかかった。とにかく作っては捨ててというトライアンドエラーを繰り返したそうだ。
アグリゲートも2009年に創業。食農の領域で生産から販売までを一気通貫するビジネスモデルを手がけている。旬八青果店という八百屋を出口として経営しており、港区や渋谷区、千代田区、品川区といったあまり八百屋がないところに展開している。
ビジネスモデルは2つあり、生産から販売までを垂直統合するSPF事業と、生産性向上に寄与するプラットフォーム事業を行っている。生産、大物流、小物流、製造、販売のSPF事業と、地域活性、人材・教育、ITというプラットフォーム事業の合計8事業で8つのPLを管理しているのだ。
既存のプレーヤーの力を借りることを最初から決めていたところが同社の強み。産直だけにこだわらず、市場に入り込み、全農と資本業務提携をしたりして、しっかりコミュニケーションを取っている。既存のプレーヤーや仕組みを破壊せずに、融合しているイメージだ。
レイ・フロンティアは2008年に創業し、位置情報データの収集・管理・出力という分析のプラットフォームを提供している。世の中の移動データを集めて、人の行動パターンを予測するモデルを作ることを目指し、「SilentLog Analytics」というソリューションを展開している。一般的な製品だと、移動情報を取るとバッテリーの消費が増えたり、行動の分析に合っていないフォーマットで記録したり、ランダムに取ったりする問題があるが、「SilentLog Analytics」で解決できるという。プラットフォームを提供するだけでなく、ユーザーサイドに立った製品開発まで一緒に行なうこともあるそう。
「『SilentLog Analytics』は3~5年先を見ており、目の前のメリットとしてはコストパフォーマンスくらいしかありません」と田村氏。キャリアが持っている移動情報は大規模で高価だが、SilentLog Analyticsは小規模かつ高精度に提供できるというメリットがある。そして、将来5Gやエッジコンピューティングでローカルの処理能力が高くなれば、巨大なデータから人の振る舞いをすべて把握し、リアルタイムでその人に対して適切な情報を発信したいという。
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