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一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ主催「第3回 J-TECH STARTUP SUMMIT」開催

Deep Techスタートアップのエコシステム創成へ J-TECH STARTUP認定の7社が表彰

2019年04月16日 06時00分更新

株式会社Atomis(ナノテクノロジー・マテリアル)

 ガスを効率的に貯蔵したり分離したりする技術が評価され選出されたAtomisは、多孔性配位高分子の技術開発を行なっている。活性炭やゼオライトに代わる素材としてナノ構造の規則性をもった多孔性材料は、金属イオンや有機配位子を3次元設計で自由に組み立てられる。現在10万種あり年間6000本ほど論文が出ている化学業界では一大テーマになっている分野だ。

 この多孔性配位高分子は京都大学の北川進特別教授が発見したもので、これをもとに世界各国のベンチャー企業が研究開発を行なっている。そのなかで唯一日本のベンチャーがAtomisだ。すでに、製品化までこぎつけている企業もあり、研究段階からビジネスフェーズへ移行している段階である。

 Atomisではマテリアル分野だけでなく、次世代免疫抑制剤のライフサイエンス分野と次世代ガスデリバリーのエネルギー分野の研究開発を行なっている。マテリアル分野は、独自の合成プロセスにより、製造コストを下げることで企業にも利用してもらえるようになり、短期的な資金調達に役立っている。

 ライフサイエンス分野では、ガス成分を生体適合性MOFに閉じ込めて、生体内で分解・放出し、免疫制御を行なう医薬品の研究を行なっている。MOFは様々な形状にできるので、それとガスを組み合わせて新規創薬プラットフォームを構築している。

 また、エネルギー分野では、100年間変わっていない47リットルのガスボンベを、MOFを使うことで、同量のガスを保持しながら、250mm立方程度のサイズで大幅に軽量化したものを開発している。水素ガスの供給に使うことで、一般家庭でも燃料電池として手軽に使えるようになる。

Assist Motion株式会社(エレクトロニクス・ロボット)

 2017年に信州大学発のベンチャーとして起業したAssist Motionは、高齢者をはじめとした身体動作の不自由な人へのウェアラブルロボットを開発・製造を行っている。従来、人間の動きをサポートするウェアラブルは大掛かりになりがちだった。Assist Motionでは高齢者でも衣服感覚で装着できるウェアラブルロボットの開発を目指した。

 協調を実現するシステム設計技術として特許を11件取得。また、モーターに代わるゲルを使ったソフトアクチュエータ技術も特許21件取得しており、ソフトアクチュエータ駆動のアシストスーツを開発している。

 登壇した橋本稔氏も装着していたのが、モーターを使った非外骨格型構造のウェアラブルロボットで、動きを検知して同調してアシストしてくれる。重量は5キロほどで、あまり力を使わなくても歩けるのが特徴だ。他社の同様のロボットに比べて、3分の1以下の重量で済んでいる。

 また、ゲルに電圧を印加することで変形することで、筋肉のような伸縮かる技術も開発。これを使えば、さらにソフトで軽量、静音なアクチュエータの製造が可能になる。これらの技術を使って、介護施設やアシストスーツ市場に参入していくことを目指している。資金調達はもちろん、製品のユーザーや製造メーカー、代理店を求めている。

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