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サイボウズの開発者に聞いたリニューアルプロジェクトのポイント

メニューは左上、通知は右上!大幅リニューアルしたkintoneモバイル

2019年03月25日 09時00分更新

 3月にkintoneモバイルの大幅リニューアルが発表された。ナビゲーションが改良され、PC版との差も大きく解消され、5月の正式版には新機能も追加される。新しくなったkintoneモバイルについて、開発に携わったサイボウズの2人に聞いた。

サイボウズ 開発本部 kintone開発チーム UX/UIデザイナー 樋田 勇也氏、同 プロダクトマネージャー 長尾洋也氏

開発チームからしても「なんだかモバイル版だけ古かった」

 3月に公開された新しいkintoneモバイル(プレビューリリース)では、まずPC版と同じポータルが用意され、お知らせも表示されるようになった。また、アプリ、レコード、スペースなどにアクセスしやすい「ナビゲーションメニュー」が常時左上に表示されるようになり、アプリのみならず、スペース、スレッド、ピープルの検索や全文検索も可能になった。

 リニューアルのきっかけは、2017年末に行なったユーザーアンケート。長尾氏は、「モバイル版の満足度が他の項目に比べて低かったんです。とはいえ、利用頻度は高かったので、いよいよどうにかすべきという社内の機運が高まりました」と振り返る。開発チームからしても「なんだかモバイル版だけ古かった」(樋田氏)とのことで、直さなければならないという意識があったという。まずは追加のアンケートで具体的にどこが悪いかを調査しつつ、メンバーが実際に操作をしながら問題点を挙げていった。

 作り直すべき1つ目のポイントは、必要な情報にたどり着くまでのナビゲーションだ。たとえば、特定のお客さんのレコードにたどり着くためには、今まではアプリを探し、そこから検索したり、上からレコードをたどるという操作が必要だった。メニューもアイコンだけでわかりにくかったし、スペースからアプリに移動するといった操作で迷子になりやすかった。

 2つ目のポイントはPC版とモバイル版との差を埋めることだった。「スマホのプッシュ通知から承認するまでのワークフローに関する操作も、PC版の方はモバイル版と比較してまだわかりやすいものの、モバイル版だとドロップダウンメニューからどの操作を行なうか選択しなければなりませんでした」(長尾氏)。また、PC版ではレコードのコメントとデータを1画面で見られるが、モバイル版はページ遷移しなければならなかったという。両者で共通に利用できる機能を増やし、「PC版もいいけど、モバイル版も使いやすい」というものに仕上げるのが目的だった。

Cybozu Daysで披露し、参加者からの声を反映させた

 大まかな方針が決まったため、まずフルセットのPC版を分析。その後、2018年の夏から約2ヶ月くらい紙と壁にプロトタイプを書いて、ナビゲーションを練り続けた。結局のところ、かなりのバリエーションを造ることになった。「たとえば通知からの承認操作については、1ヶ月に1回しか使わない社長でも思い出せる操作を目指しました。次にどういった操作ができるのか、すぐわかるようとしました」(樋田氏)。プロトタイプを繰り返し、大切な要素が満たされているかを判断し、もっともバランスのよいものを選定したという。

樋田氏が作ったナビゲーションのイメージ

 結果としてできたのが、左上にナビゲーションメニューを配した新しいユーザーインターフェイス。「今まではトップに戻らなければならなかったけど、リニューアル後はとにかく左メニューを押せばよくなりました。左上にはつねにメニューがあり、お気に入りのアプリもすぐに開けられる。スクロールしても検索窓はつねに表示してます」(長尾氏)という覚えやすさがある。一方、通知は右上に表示し、作業を中断して見なければならなかったが、いまでは通知だけチラ見ができる。

 その後、プロトタイプを開発し、昨年末のCybozu Daysで「2019年春リリース」を発表。参加者に幅広く触ってもらった結果、約8割が「リニューアルにとても期待できる」と回答したという。「今までモバイル版に期待されていなかったので、かなり手応えありました。お客さんとコミュニケーションをしながら、作れることもわかったので、リリースに間に合う範囲で、できるだけ良いものを出そうと開発を進めました」(長尾氏)とのことで、今年の3月にプレビューリリースにまで持ち込んだ。

kintoneモバイル 19年3月プレビュー版の画面イメージ

 正式版は5月に公開予定。右上に共通して「通知」が表示されるほか、レコード一覧画面やプロセス承認、アプリのレコード一覧、レコード詳細などが利用できるようになる。「ナビゲーションや通知など大枠は差し替えたけど、個別の画面はまだまだ」(長尾氏)とのことだ、今後は各別ページのリフレッシュを手がけていくという。

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