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MWCの話題の中心はファーウェイ、楽天の可能性も注目が集まる

2019年03月14日 17時00分更新

楽天が革命を狙う仮想化技術による無線ネットワーク
もし成功した場合は業界のビジネスに大きな変化が起きる

 今年はもう一つの注目の動きがあった。楽天だ。

 楽天が今秋に通信事業者(MNO)として参入することは周知の通りだ。楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は2年連続でMWCの基調講演のステージを踏んだ(MWCは4日間の会期中、連日複数の基調講演枠があり、2年連続での登場は特段珍しくはない)。楽天は地元のサッカーチームであるF.C.バルセロナのスポンサー活動もあり、社名の知名度はそこそこのようだが、三木谷氏のスピーチは今年も楽天がどういう会社なのかからスタートした。

三木谷氏が率いる楽天の新しいネットワーク構成には業界関係者も興味津々

 三木谷氏の基調講演のキモは、同社が構築中というモバイルネットワークについて。それによると、仮想化をフル活用した全く新しいアーキテクチャで、これまでのようなハードとソフトを一体化した高価なネットワーク機器は使わないという。

 実際に展示スペースにはCOTSサーバー、自分たちで組み立てたというインドアのセルなどが置いてあり、現時点で楽天のネットワークにはNokiaは入っているが、エリクソン、ファーウェイは入っていない。仕掛け役はCTOを務めるTareq Amin氏。インドのJioで数ヵ月でLTEネットワークを構築したという経歴を持つ。

 6000億円でネットワークを作るという三木谷氏の決断があって白羽の矢がたったという経緯のようだ。Amin氏は楽天なら自分がやりたかった完全仮想化のネットワーク構築という夢を実現できると意気込む。周囲にもこれがやりたかったという人が集まってきていることを感じた。

 他の国の事業者も楽天の動きに高い関心を寄せているようだ。三木谷氏は得意顔で「世界の最大手級の通信事業者のトップと会食をした」と語っていたが、このコストで、この技術で、本当にネットワークを構築できるのか、と楽天のブースには技術者が多く来ていた。もし楽天がそのことを実証し、他の事業者も仮想化に舵を切り始めると、今の通信ネットワーク機器のビジネスが大きく変わる。なお、楽天が仮想化パートナーで選んだのはAltiostar。数年前まで無名に等しかった米国のベンチャー企業だ。

 ちなみに今年もMWC公式のストラップはファーウェイ。来場者の多くは、レジスト時にもらう赤いストラップを来場者は首から下げていた。中国企業抜きには語れない業界になって久しいが、ネットワーク分野はひょっとするとまた次の大きな転換点に差し掛かりつつあるのかもしれない。

 キーワードは予想通りの”5G”だが、単なる世代交代やこれまでのベンダー争いではないところで地殻変動が起こりつつあるのかもしれない――そんな印象が強いMWCだった。

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