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新しい形の“未来のお金”は日本でも社会を変えるのか?

2019年03月14日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

世界における“未来のお金”の現在を見る

 日本のポイントカードの話が些末に聞こえてくるほど、世界ではお金にまつわるイノベーションが巻き起こっています。未来のお金と聞くとビットコインのような仮想通貨を思い浮かべる方もいるかも知れません。中央集権的な支配とは異なる仕組みで運営されている「仕組み」の面で、先進国からすれば未来の仕組みと言えるでしょう。いや、タイミングによって価値が大幅に変化する財布(=仮想通貨相場)って、未来過ぎると思うわけですが。

 しかしテクノロジーをベースとした未来のお金の現在をみると、ビットコインはややインパクトに欠けます。もっと巨大な動きが起きているからです。

 2月23日、東京・原宿にあるWeWork Icebergで、「Next Generation Bank and Beyond」というイベントが開催されました。元WIRED編集長で現在黒鳥社で活動する若林 恵さんの責任編集で発行されたムック、「Next Generation Bank」から発展したイベントで、中国やインドで起きているお金にまつわる変革について詳しく紹介される貴重な機会でした。

 日本ではバーコード決済という新しい手段と気軽に考えられているかもしれませんが、中国のアリペイは芝麻信用(ジーマクレジット)という信用度の点数制のインフラを持つなど、決済手段以上の意味合いを帯び始めています。またインドではIndia Stackと呼ばれる戸籍と銀行口座などを統合した巨大データベース&API群によって、登録人口12億人という世界最大の巨大な行政システムが急速に構築されました。

 未来のお金といっても、紙幣や硬貨が電子化されるインターフェイスだと不十分です。金融システム、あるいはお金を用いて活動するあらゆる仕組みが変わらず、「デジタルラッピング」(デジタル化によって既存システムを包み込む)が起きているに過ぎません。そして、アリババは商取引のデジタルラッピングを推進することで、アリペイは2017年の決済金額500兆円以上、利用者7億人を数える規模になりました。

 インドの場合も、政府が出す補助金が必要な人にきちんと行き渡らない、という問題を解決するため、スマートフォンと生体認証で、戸籍と銀行口座の仕組みを構築し、問題を解決しています。お金はあくまで人々の日々の生業の中で優先度の高いテーマであって、実際に進んでいることは、個人に紐付く社会インフラの急速な構築だったのです。

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