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2019年度は北米進出を強力に推進

kintoneはモバイルアプリを刷新!サイボウズが事業戦略を説明

2019年02月28日 09時00分更新

 2019年2月27日、サイボウズは2018年12月期決算および2019年度の事業戦略説明会を開催した。登壇したサイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏は、クラウド化の進展で確実な成長を遂げた2018年度を振り返りつつ、2019年度のチャレンジとして北米でのkintone事業について紹介した。また、kintoneのモバイルアプリ刷新もあわせて発表された。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

名実ともにクラウドサービスの会社へ

 登壇したサイボウズの青野慶久社長は会社概要の紹介とともに、「チームワークにあふれる『社会』を創る チームワークにあふれる『会社』を創る」という企業理念へのこだわりを改めてアピール。その上で、ツールと風土の進化について、個人を強化する「OA化」、リテラシ差を生みだした「IT化」という段階を経て、チームを強化し、個性を活かす「共有化」の時代に突入していると指摘した。青野氏は、「駅伝で言えば、まだ一区を走っている。グループウェア事業はまだ始まったばかり」と語る。

「OA化」「IT化」から「共有化」の時代に突入

 2018年12月期に関しては、クラウド関連の売上が過去最大となる前年比31.6%に伸張した。2018年度全体では、有償契約も100万ユーザーを突破し、kintone導入もついに1万社を超えたという。進出してから10年経つ中国の導入企業も1000社を突破し、4月15日に終了するサイボウズLiveの受け皿となる「チーム応援ライセンス」も1000件を超えた。全体の連結売上は100億円を突破し、クラウド比率も65%、クラウド関連の売上も昨年対比で131%の伸びを記録。名実とともにクラウド事業者に脱皮したと言えそうだ。

 主力製品であるサイボウズ Officeの導入は6万社を超え、3年連続で過去最高の売上を達成。「2001年に山が来て以降、サイボウズ Officeは長らく売れなかった。でも、クラウド、モバイル、人手不足の波が来て、再度ブレイクした」と青野氏は振り返る。最近は口コミによってユーザーが増加しており、初めてグループウェアとして導入するユーザーが約48%、前職で利用していたり、知人から聞いて購入したというユーザーも約51%にのぼっているという。

サイボウズ Officeが再ブレイクし、3年連続で過去最高の売上を実現

 中・大規模向けのGaroonは、昨年から展開している「ざんねんな情報共有図鑑」のプロモーションが好評で、「長時間スケジュール調整労働」や「承認行列」など日本企業の理不尽な働き方を斬る内容に高い共感を得られているという。Garoonもクラウドの伸びが著しく、今年はクラウドがオンプレミスを抜く可能性が高いという。同日付けで、グローバルでの情報共有基盤として明電舎がGaroonとkintoneを導入したことも発表された。現在はAPI拡充によるカスタマイズ性の強化を進めており、サードパーティとのエコシステムも順調に拡大している。「グループウェアも新時代を迎えている。これからはつながることが差別化につながっていく」と青野氏は語る。

 メールをチームで共有できるメールワイズに関しては、「入門グループウェア」という位置付け。メールワイズはすでに売上の75%がクラウド版になっており、売上も着実に伸ばしているという。

kintoneはモバイルアプリのデザインを刷新

 アプリ開発プラットフォームであるkintoneは導入企業が1万社を突破し、2018年末には1万1000社まで伸びた。東証一部の6社に1社が導入しており、昨年対比で売上も1.5倍、導入社数も1.4倍に伸びた。導入担当者は変わらず8割以上が非IT部門で、1日あたり1663個のアプリが生まれているという。

kintoneの導入企業は1万社を突破し、売上も1.5倍に

 導入企業が増えたことでエコシステムも推進され、昨年はマーケティングオートメーションの分野でグローバルでのシェアも高いマルケトとの協業を発表し、販売活動も共同で行なっているという。サイボウズ主催のユーザーイベントであるkintone hiveも定期的に開催されており、登壇企業は89社、総動員数は5469人まで伸びた。2019年度も先日開催された名古屋を皮切りに、仙台、福岡、大阪、松山、東京など順次開催していく予定だ。また、業務改善とkintoneの活用スキルを認定制度も、合格者が297名にまで増え、2019年度は500名の合格者を目指したいという。

 kintoneもサービス開始から5年が経過し、エコシステムも変化してきた。具体的にはカスタマイズや自社開発でのニーズが拡大しており、ユーザーを目の前にした対面開発や、ユーザー企業で継続的に開発できるようにする活用教育、そしてパートナーによるプラグインやノーコードカスタマイズなども推進されているという。

 同日kintoneのモバイルアプリがデザインを刷新し、3月にプレビュー版が公開されることが発表された。ページ移動や通知確認がスムーズになったほか、PC版とモバイル版の機能差異も改善されるという。2019年5月には正式版がリリースされる予定で、iOS/Androidアプリもリニューアルデザインで公開される予定だという。

モバイルデザイン刷新、3月プレビュー版リリース

 2019年度に関しては、北米でのkintone事業が紹介された。AWSへの基盤移行を進めているkintone.comだが、AWS版のパブリックリリースは2019年の夏を予定している。北米法人でもあるkintone Corporationも当初は離職率5割という状態だったが、日本と同様の人事制度を導入することで、10%まで削減できたという。また、販売体制もダイレクトセールスではなく、日本と同じパートナーによう間接販売モデルを展開していく。グローバルではGoogleやMicrosoft、Facebookなどもコミュニケーションツールを展開しているが、青野氏は、「われわれはツールの提供に加えて制度や風土まで変革できる」と語り、「グループウェア特化」「エコシステム」「個性を活かした組織」といった強みを活かして、北米でのビジネスにチャレンジしていくという。

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