「Nokia」ブランドで携帯電話を展開するHMD Globalは2月24日(現地時間)、スペイン・バルセロナで発表会を開催し、業界初の5眼スマートフォンとなる「Nokia 9 PureView」など5機種を発表した。
Nokiaの超高性能カメラのブランドである「PureView」復活
カラーが2つ、モノクロ3つの5眼カメラを採用!
HMD Globalにとって3年目となるMWC。これまでは旧Nokiaのイメージを受け継ぎ、「Nokia 3310」「Nokia 8110 4G」といったノスタルジックな機種を用意したが、今年はカメラを特徴とする「PureView」が戻ってきた。
PureViewは、旧Nokia時代の2012年のMWCで初登場(「Nokia 808 PureView」)。4100万画素(!)をうたうカメラを採用していたが、OSは当時は台頭するAndroidやiOSに巻き返しを図っていたSymbianだった。その後「Lumia」ブランドになってからもPureView技術自体はハイエンドで使われたが、製品名として登場するのは今回が初めてとなる。
「Nokiaのスマートフォンはカメラ技術で知られていた」と語るのはHMD Globalの最高製品責任者、Juho Sarvikas氏。スマートフォンのカメラではファーウェイなどの各社がもれなく力を入れているが、Nokia 9 PureViewはいきなりの5眼である。ZEISS Opticsを採用したカメラ(いずれも12メガピクセル)を5つ搭載する。
カラーセンサーが2つ、モノクロセンサーは3つで、各センサーは「これまでの2.9倍の光を取得できる」という。撮影した画像はすべてHDRとしており、ダイナミックレンジと被写界深度などの技術をもつ5つのカメラが同時にイメージを取得して、1枚の12メガピクセルの写真にする。ベンチャー企業のLightと協業開発したカスタムASICでカメラを制御する。
処理側ではクアルコムと協業し、Snapdragon 845により、ISP/DSP/CPU/GPUを同時に使って処理する。このような「ヘテロジニアス(異機種混在)」はスマートフォンでは初という。これにより、「ノイズリダクションは3倍高速に、消費電力は10分の1を実現する」と説明する。専用のイメージング・コプロセッサが5つのカメラを独立して制御でき、露出とホワイトバランスを個別に調整するという。これに合わせ、カメラインターフェイスの「Pro Camera UI」もアップグレードし、露出時間などの設定をさらに細かくできるようになった。
Adobe Photoshop LightroomやGoogle Photosを使った編集もスマートフォン上でできる。なお、Lightroomについては、今後カスタムレンズプロファイルをリリースする予定という。
OSはAndroid 9 Pieだが、最近のNokiaスマホはAndroid Oneをベースにすることで、常に最新技術にアップデートされる。3年にわたって月間セキュリティーパッチや2回のメジャーOSアップデートを適用できるのもメリットである。
そのほかのスペックとしては、ディスプレーは5.99型有機ELでNokia PureDisplayと名付けられている。メモリーは6GB、ストレージは128GB。指紋認証や顔認証をサポートするほか、ワイヤレスチャージ、防水などの特徴もあるハイエンド機だ。
Nokia 9 PureViewは一部市場にて3月に発売。事前オーダーも開始した。価格は699ドル(約7万8000円)。
ミドル、エントリー、フィーチャーフォン
Nokiaの強味を活かして成長、2019年は北米進出!
HMD Globalはこのほか、ミッドレンジの最新モデル「Nokia 4.2」「Nokia 3.2」、エントリーの「Nokia 1 Plus」、そして35ドルのフィーチャーフォン「Nokia 210」を発表した。なかでも「Nokia 3.2」はGoogleアシスタント専用ボタンを備え、音声をよく使うユーザーのニーズに応えた。
HMD GlobalのCEO、Florian Seiche氏によると、「2018年、スマートフォン市場全体にとっては厳しい年だったが、我々はユーザーを前年比で3倍増やすことができた」という。
欧州、中東、ロシアなどの国ではトップ5のスマートフォンブランドに入っているという。2019年に入り、Verizonなど北米の3キャリアと提携。今年は北米市場ユーザーにもNokiaブランドの携帯電話を提供するという。
ベンダー各社からAndroidスマートフォンがひしめくなか、今後も継続して、Nokiaが得意とするデザイン、技術革新、安全で純粋なAndroidの3つを大きな戦略の柱とするとも語っている。
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