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マイクロソフトが「HoloLens 2」発表 “空間コンピューティング”が間近に

2019年02月25日 15時30分更新

マイクロソフトが「HoloLens 2」を発表
“空間コンピューティング”の時代がスタート

 マイクロソフトは2月24日にプレスカンファレンスを開催。MRデバイスの最新モデル「HoloLens 2」や新3Dカメラ「Azure Kinect」と関連するサービスなどを発表した。

4年ぶりに登場したMRデバイスの最新モデル「HoloLens 2」

 プレゼン冒頭に登壇したマイクロソフトCEOのSatya Nadella氏は「4年前にHoloLensは、現実世界とデジタル世界をシームレスにつなげるミックスリアリティーという新時代のきっかけとなった。今日では、発表ではインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジによってさらに新しい時代に突入した」と説明。Nadella氏自身がバルセロナまで来場して登壇するという意味も含めて、今回発表された内容が、マイクロソフトの取り組む新しい大きなジャンルになっていることを示唆している。

マイクロソフトCEOのSatya Nadella氏。彼が海外でのプレスイベントに参加すること自体、その分野がマイクロソフトにとって重要な位置づけであることを示唆している

 プレスカンファレンスで最初にプレゼンされたのが、3Dカメラの「Azure Kinect」だ。マイクロソフトはXboxやPC向けのインターフェースとして「Kinect」をリリースしていたが、「Azure Kinect」は業務用のデバイスと開発キットとなっている。

Kinectが「Azure Kinect」としてビジネス向けの3Dカメラとして復活

 本体となるカメラはTOFデプスセンサーと高解像度RGBカメラ、そして7マイクサーキュラーアレイを搭載し、Azureと連携して動作。これにより特定の方向の検知だけでなく、人や場所を含む周辺の空間をまるごと認識できるソリューションが開発できるという。

 アメリカでは毎年100万人以上が転倒事故を起こし、1万1000人の死亡者が出ている。プレゼンでは病院で起こる転倒事故を例に挙げ、「Azure Kinect」を導入することで、患者の転倒を把握するだけでなく、転倒する前に危険を察知できるようにもなり、看護婦が早くに駆けつけ対応できるとした。

深度センサーなど多くのセンサーを搭載している「Azure Kinect」

空間全体をデジタルデータとして認識

「Azure Kinect」はまずアメリカと中国でプレオーダー(399ドル)がスタートしている

HoloLens 2は高精細化し視野角2倍に
ARピアノでもでは10本の指をトラッキング

 ハードウェアとして2番目に紹介されたのが、MRデバイスの「HoloLens 2」。4年前の初代モデル同様、Alex Kipman氏によるプレゼンが行なわれた。

「HoloLens 2」を装着してプレゼンを行なうAlex Kipman氏

 「HoloLens 2」のスペックを細かく見ると、プロセッサーに「Snapdragon 850」を採用するなど大きな変化は見られるが、プレスカンファレンスで大きく言及されたのはディスプレー性能と本体素材などの改良で装着時の快適さ、そして手と指の認識機能の向上だ。

 ディスプレー性能は1度あたり47ピクセルと拡大され、視野角が前モデルの2倍以上となっている。前モデルでは上下の視野角が足りないため、首を上下に動かす頻度が高かったが、HoloLens 2では目の動きだけで視認できる範囲が広がったことになる。さらに解像度も上がっており、より高精細なARコンテンツの表示が可能だ。

解像度が向上し、表示するコンテンツは高品質に

画面も拡大され、より多くのコンテンツが表示できる

視野角も約2倍に広がり、上下の表示が拡大

 装着時の快適さについては、素材にカーボンなどを採用し軽量化を図るとともに、老若男女問わず何千人もの頭部形状を3Dスキャンし、ユニバーサルフィットシステムとなるよう設計。メガネをかけていても装着しやすくなっており長時間装着しても疲れないとのこと。具体的な重量は公表されていないが、「3倍快適になった」(Kipman氏)と説明している。

装着性は3倍快適になったとのこと

 手の認識機能については、新しい深度センサーとAIソフトウェアを組み合わせにより、手全体だけでなく、10本の指すべてをトラッキング可能となった。デモンストレーションでは、ARのオブジェクトを自然に手で操作する様子を披露。位置情報がズレることなく、ARオブジェクトのボタンを押したり動かしたりでき、圧巻だったのはARピアノの演奏。指の位置をしっかりとトラッキングできているので、ちゃんと10本の指を使って鍵盤を弾く演奏が行なわれた。

ピアノ演奏のデモでは、しっかり指の動きと鍵盤が合っていた

手の動きがしっかりトラッキングされており、スムーズにARコンテンツを操作していた

 UIとしては、腕や指の動きだけでなく、アイトラッキングや音声入力にも対応。遠くに表示したブラウザー画面に視点を合わせて、音声で手前に呼び寄せるといったデモも披露した。

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