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Xeon W-3175X徹底検証!クリエイター向けIntel最強28コアCPUは32コアに勝つ?

2019年02月20日 14時00分更新

全コア4.3GHzにオーバークロックしてみた

 Xeon W-3175Xは倍率ロックフリー、すなわち倍率を引き上げることでオーバークロック(以下、OC)に挑戦できる。このCPUの試作品と見られるものがお披露目されたCOMPUTEX TAIPEI 2018の実機デモでは、CPUクーラーに巨大なチラーを接続した上で全コア5GHz動作を達成していたが、今回のCPUクーラーは360mmラジエーターの簡易水冷タイプなので当然上限は下がる。

 OC方法はこれまでのインテル製CPUと同じく、BIOSもしくは「Intel Extreme Tuning Utility」(通称“XTU”)を利用して倍率を変更する。今回はWindows上で調整できるという手軽さを重視して後者の方法を選択した。

 また、コア電圧には手をつけず、倍率アップだけで目指せるだけ上を狙う。このXeon W-3175XのTjmaxはわずか85℃と、普通のCore i7を使う感覚で扱っては痛い目を見ることは明らかだ。

Intel Arkに掲載している情報には、Xeon W-3175XのTjunction(Tjmax)、すなわちコアの限界温度は85℃と記載されている。つまり、これを超えるような状況になったら、強制的に電源が落ちるか、最悪CPUが死ぬということだ。

今回使用した未発表のXeon W-3175X用マザーボードのBIOSでも普通にOCできる。BIOSの構造やUIはIntel Z370時代のBIOSとほぼ同じ。図の「CPU Clock Ratio」をAutoでなく数値で設定すれば、その倍率に応じたクロックにセットされる。

 まず結論から言うと、XTUでもBIOSでも倍率を引き上げただけだとCINEBENCH程度の負荷でもクロックが下がりはじめる。CPUに流れる電力制限に引っかかっているようだ。そこで、XTU上でCPUの電力まわりの制限値を限界まで引き上げてみるとかなり改善された。数値上は全コア45倍の4.5GHz設定でも難なく動作したが、CINEBENCH中のクロックを見ると4.3GHzに落ち着く。どうやら検証機に搭載していた簡易水冷クーラーでは4.3GHzが限界のようだ。

何も考えずに倍率だけ上げるとCurrent Limitフラグが立ってしまう。

XTUで電力まわりのリミッターのしきい値を最大限まで引き上げることで解決した。

今回のようなお手軽OCでは全コア43倍設定の4.3GHzが上限と判断した。

 では「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R15 Extreme Edition」を用いて定格時と全コア4.3GHz OC時のスコアーを比べてみよう。

「CINEBENCH R15」のスコアー。

「CINEBENCH R15 Extreme Edition」のスコアー。

 定格設定だとマルチスレッドテスト時のクロックはおおよそ全コア3.8GHz。これが4.3GHzに引き上げたことで、5~10%のスコアーアップとなった。最も伸びたCINEBENCH R15のマルチスレッドテストのスコアーの伸びは、OC前と後でのクロックの上昇率とほぼ一致している。効果はそれなりに得られたようだ。

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