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世界初7nm GPU「Radeon VII」で、AMDは再びGPU性能競争の最前線に立てるか?

2019年02月07日 23時00分更新

16GBのメモリーこそが魅力

 そしてRadeon VII最大の見どころはVRAMだ。(AMDはHBC、広帯域キャッシュと呼んでいるもの)。HBM2を4スタック搭載しバス幅4096bit、帯域としては1TB/secという豪勢なスペックはかなり強烈。HBMを初搭載したR9 Furyシリーズ、そしてHBM2を初搭載したVega 56/64といった旧世代製品はバス幅やメモリー帯域が広い反面VRAM搭載量が4GBあるいは8GBと少ないことが弱点でもあった。

 だが今回は1基あたり4GB&バス幅1024bitのHBM2メモリーを4スタック搭載し速度も容量も盛ってきた。TITAN RTXのようなエンスージアスト向け製品はともかくとして、RTX 2080Tiの11GBをも超える容量を載せてきたことに、AMDの気合がうかがえる。

プレス向け資料から抜粋。Vega 64(左)よりもGPUダイが小型化したことで、合計4スタックのHBM2を組み込めるようになった。フットプリント面積あたりの性能をアピールしているあたりは、かなりモバイルやゲーム機等への展開を志向していると思われる

動画編集(左)でも、PCゲーム(右)でも、どんどんVRAMの使用量が増えているというAMDの主張。特に2019年のPCゲームは最大11GBのVRAMが必要になるだろうと、暗にライバルの将来性はないよと牽制している点に注目したい

 VRAMが8GB程度のビデオカードでは、VRAMを多量に消費するようなゲーム(後述の「BIOHAZARD RE:2」もそのひとつ)や、高画質化Modを盛りまくるプレイヤーには若干物足らない状況になってきているが、Radeon VIIなら容量面も安心だし、何より帯域が太い(1TB/sec)のでGPUの足を引っ張らないというのがAMDの主張だ。

 これに対し対抗馬であるRTX 2080のVRAMは8GB、メモリー帯域は448GB/secと数値的に見劣りする(メモリー圧縮等で実効帯域を稼ぐ設計ではあるが……)。つまりRadeon VIIは対抗馬のVRAMに対し2倍あるいはそれ以上のスペックで優位なポジションにつけたことになる。

 HBM2で広帯域で大容量VRAM環境を得るというのはAMDのハイエンドGPUに対する断固たる決断であるが、これは同時に原価を押し上げることは言うまでもない。HBM2の場合メモリーチップそのものが高いほか、チップ以外に配線(インターポーザー)にも余計なコストがかかるためだ。このことからRadeon VIIは従来製品よりおさらに利益率の厳しい価格設定になっていると推測される。

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