塩田氏 スポーツを文化や青少年育成の側面からとらえるのと同時に、素晴らしい体験ができるからビジネスとして利益を出してもいいという考え方は、融合していくと思います。
スポーツに限定されず、日本ではお金を稼ぐことはよくないという考え方があり、その後ヒルズ族に代表されるような当時のITベンチャーがお金を稼ぐことは素晴らしいという考え方が出てきて、両者の間に分離がありました。僕は、今後は融合されていくと思います。震災があり、本当に大切なものに改めて目を向けようという時代の中で、対立構造よりも色々な価値観を共有する、それを受け入れる土壌が広がっていくと思います。ツイッターで簡単に共有できますしね。
日本のいいところは、ひとつ事例が出ると追随する動きが出てくること。例えばメジャーリーグは野茂英雄選手が行ったことで、たくさんの選手があとに続きました。ひとつの勇気が大切で、ヴェルディでも一歩前に出るというのをテーマにしたいと思っています。
お金を稼ぐのは悪いことではないし、幸せに循環していくことができます。哲学をちゃんと持ちながら利益もきちんと出すことをヴェルディでアカツキが証明できれば、スポーツビジネス全体の見方も変わるかもしれない。そんな事例になりたいですね。
――アンドレス・イニエスタ選手の年棒は30億円とも言われますが、彼も大きな影響を与えました
塩田氏 世界トップのプレーを見ることが子供達の20年後に与える影響は大きい。ゲームでは稼げなくなるとクリエイターが離れます。一時期クリエイターは離れていましたが、モバイルゲームという収益を生むプラットフォームが登場し、またクリエイターが戻ってきました。スポーツでもこういう循環ができるといいなと思います。
――Jリーグはアジア戦略を積極的に展開しています。海外戦略について教えてください
梅本氏 東京のチームなので、まずは東京のファンを大切に、3万人のスタジアムをちゃんと満員にしたい。
次にアジアのお客さんにとって憧れのチームになることが、東京のチームだからこそできると思っています。東南アジアに行くと”Messi”などのスター選手の名前が入ったジャージを着ている人がいたりしますが、ヴェルディの緑のジャージを着る人が増えるといいですね。
――ヴェルディのサポーターに対しては何かありますか?
塩田氏 ヴェルディのサポーターは、チームが好調な時も苦しい時も支えてきた人たちです。特に苦しい時も応援し続けるというのは簡単なことではなく、我々はリスペクトしています。大変な時を支えてきたから、今のヴェルディがあるわけですから。
ヴェルディのゴール裏は新しいファンに対して全く排他的なところがなく、新しいファンを受け入れる大きな器を持った人たちだとうかがっています。これから新しいファンが増やしていく時に、今のサポーターの皆さんがそれを受け入れて、新しいヴェルディのサポーターのあり方やヴェルディの歴史そのものを一緒につくっていく。
サポーターの皆さんがこれから歩まれる旅を、アカツキも是非ご一緒させて頂きたいですし、これができることにとてもワクワクしています。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります