2018年12月12日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンは昨日、東京リージョンでの利用が可能になったクラウド型コンタクトセンターサービス「Amazon Connect」に関するセミナーを開催した。既存のコンタクトセンター業界を大きく変革するサービスの最新情報がいくつか披露された
MLサービスと高度に連携するプログラマブルなAmazon Connect
Amazon.comのコンタクトセンターのニーズから生まれた「Amazon Connect」。日本では10月10日に東京リージョン対応が発表され、12月11日には東京リージョンでの提供を開始している。
Amazon Connectは100%クラウドベースで構築されたコンタクトセンターで、ユーザー自身がセルフサービスでコンタクトフローの設計を行なえる。顧客とオペレーターとのやりとりもナチュラルで、パーソナライズされているほか、Alexaのような音声技術やLexやTranscribe、ComprehendなどのMLサービス、他社のサービスとの連携も容易という特徴を持つ。
Amazon ConnectのField CTOであるヤッサー・エルハゲン氏は、日本語を母国語とするオペレーターが英語ネイティブな顧客に対応するという企業を例にデモを披露。エルハゲン氏が顧客としてAmazon Connectから電話をかけ、エージェントと会話すると、文脈に基づいたリアルタイムの翻訳が行なわれ、同時に英語と日本語で書き起こされる。
システムのバックエンドでは、Amazon Connectからの受けた顧客の音声のストリーミングデータをAmazon Kinesis Video Streamsで受け取り、音声データをLambda経由でAmazon Transcribeでテキストが書き起こされ、さらにAmazon Translateで翻訳を実現しているという。既存のコンタクトセンターソリューションの機能に加え、MLサービスによる自動化が組み込めるのは、Amazon Connectの大きなメリットと言える。
使った分だけの料金で専用のコンタクトセンターを利用できる
2017年3月のリリース以降、Amazon Connectは約900%という急成長を遂げており、オーストラリア、ドイツ、日本でも利用できる。グローバルの顧客数はすでに数千に上っており、業種業態も幅広い。東京リージョン対応も、日本の多くのユーザーからの要望を受けたもので、昨日のオープン以降、すでに141のインスタンスが構築されているという。
今後のAmazon Connectの方向性としては、プログラマブルでAIを活用できるサービスとして成長するほか、オムニチャネル対応の強化、コンタクトフローや分析機能の改善を測っていくという。もちろん、国際化やローカル対応も強化するほか、電話としての機能向上も図っていくとのことだ。
東京リージョンの対応により、データが日本国内で保持されるほか、電話番号も従来の直通ダイヤル番号(050)、無料通話番号(0800)に加え、東京の地域番号(03)、無料通話番号(0120)が利用可能になる。ただし、03番号は利用者を確認するため、書類などによる企業もしくは本人の確認が必要になるという。
料金は利用した分の支払いになり、初期費用や最低月額費用もない。東京リージョンでのAmazon Connectの利用は、1分あたり0.018米ドル(約2円)のサービス利用料とテレフォニー料で構成され、テレフォニーは1日あたりの料金で課金。受信通話の電話番号のタイプと発信通話の宛先に基づいて、任意のコールに対して1分あたりの料金が課金される。直通ダイヤル番号(DID)や利用無料電話のいずれかで料金が変わるが、東京リージョン対応前に至近だったオーストラリアに比べて料金はかなり抑えられているとのことだ。
また、他のサービスと同じく無料枠が用意されており、コンタクトセンターのフローを実際に試すことができる。サインアップした12ヶ月間は1ヶ月あたり90分のAmazon Connectの利用料、リージョンあたりでのローカル直通ダイヤルイン番号1つ、1ヶ月30分あたりのインバウンド/アウトとバウンドコールが無料になるという。
さらにセミナーではAmazon Connectの可用性についても言及。AWSリージョン内の複数のAZを使用することで、サーバーやAZ単位での障害に対して高い耐障害性を実現している。また、回線の問題が生じても通話の安定性を確保すべく、複数の通信事業者による冗長パスを用意しており、今後もキャリアと通信経路を追加し、高品質なサービスを実現するという。さらにソフトウェアも定期的に更新されるため、一部のサービスのような計画的な停止は発生しない設計になっている。
セミナーではユーザー及びパートナーなどAmazon Connect推進企業のロゴ一覧も披露された。NTTコミュニケーションズが言語解析AIである「COTOHAシリーズ」とAmazon Connectとの連携を発表したほか、トランスコスモスはAmazon Connectを採用したコンタクトセンターの提供を開始した。セミナー後半に行なわれた消費者視点、テクノロジー活用をテーマにしたパネルディスカッションは多くの参加者が聴講し、Amazon Connectへの高い期待が伺えた。
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