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eSportsの現場ができるまで

eSports大会の裏でゲーム会社と運営会社は何を話しているのか

 ウェルプレイド株式会社の谷田です。弊社ではeSportsのイベント企画・運営、映像制作・配信、eSports選手の支援・マネジメント、ゲームプレイヤーにフォーカスしたメディアを展開しています。さて今回は、改めてeSports(eスポーツ)という言葉は聞きつつも実際にはどのようなことが行なわれているのか? ということを、より現場に近いところの視点でお話をしたいと思います。

 そもそもeSportsってどこからどこまでを言うの?

 まずは、ここから掘り下げていきましょう。JESU(日本eスポーツ連合)が掲げているeSportsの定義は以下の通りです。

「eスポーツ(eSports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略。広義には電子機器を用いる娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。

 なるほどなるほど。ちなみに、ウェルプレイドで僕がこの質問をされたときは上記の言い方をすることが多いですが、その上で「競技性・一定の公平性が担保されたデジタルでの対戦・競技をするもの。またその対戦ルールが決まった上で、視聴して楽しむ観戦者がいる状態をまとめての総称」という説明をしています。

 つまり、携帯デバイスを通じて対戦するオセロのゲーム大会は、これに該当するかもしれませんし、決まったルールで競い合うこととそれを見て楽しむということが共通の認識として成立すれば、「ドラクエ3」のタイムアタックも、eSportsと呼べる可能性は高いと言えるわけです(「ドラクエ3」のタイムアタックとは、長編RPG「ドラゴンクエスト3」のクリアタイムを競い合う遊び方のこと)。

 定義の話はこのくらいにして、では実際にウェルプレイドがお仕事としてお受けしている「eSportsの現場」のことに掘り下げ、具体的なお話をしていきたいと思います。

eSportsの現場は、どんなふうに作られているのか?

 基本的にゲーム会社をはじめとするクライアント様との対話から始まります。

 ウェルプレイドのスタッフは、7割がディレクター職、2割がテクニカルとデザイン職、1割がバックオフィスという構成です。基本的な仕事には、特定のゲームタイトルに対して
・いつどのようなタイミングでイベントを実施するのか。大会、生放送番組を作るのか
・なぜそれが必要なのか
・どのような企画にするのか
 といったことを考えてクライアント様と対話をしながら、思想を共有し、企画・設計していく仕事が中心となります。

 さらに、
・その大会のターゲットは誰で、何を目的とするのか
・生放送をする番組は、どのような意図で制作していくのか
・その大会で優勝したプレイヤーにどんな体験をしてもらいたいのか
 こんなことを本番当日に向けて、ルールや会場の世界観、配信で表示するデザイン、台本などの詳細に落とし込んでいくことを本番当日に向けて制作していきます。

 リアルなイベントだけではありません。オンライン上での大会ももちろん開催します。オンラインの大会であれば、「どのような大会ルールでどういった参加方法で進めるのが一番スムーズか」なども考えていく必要があります。

 現在、弊社で開催している「ドラゴンクエストライバルズ」というカードゲームのオンライン大会を例にあげていきます。

 ドラゴンクエストライバルズにおいて、弊社ウェルプレイド主催で「ドラゴンクエストライバルズ」の「あらくれch」というオンライン大会を中心に生放送番組と大会を運営しています。

 大会を運営することになり、最初に話し合ったことは「どのような思想を元に設計をするのか」ということ。その結果、以下のような思想を元に大会運営を開催することに決まりました。

・毎週大会が開催されることで、プレイヤーが自分の力を試せる場所を作る
・オンライン大会を開催することで、気軽に参加できる場所にする
・継続的に大会を開催することで、たくさんの優勝者を作り出す
・プレイヤーが表に出ることで、視聴者に知られているプレイヤーを増やす

 こんな思想を元に、大会を運営することにしました。これらの思想を実現するために、実際の運営を続けていく中で、こんな形で結果が見えてきました。

優勝したプレイヤーには、必ず次回のオンライン大会の生放送にゲストとして出演してもらえないか、オファーをさせていただく
→出演いただくことで、「ドラゴンクエストライバルズ」のコミュニティで認知度が上がり、知ってもらえるプレイヤーが増えた。

ゲストで出演されたプレイヤーの方に、実況や解説の希望があればチャレンジしていただく
→視聴者さんのコメントなどの反応を見つつ、出演者の評判や評価が高ければ、準レギュラー・レギュラーとして正式にオファーさせていただいた。プレイヤーとしてではない、新しいゲームとの関わり方を提供できたことで、「プレイヤー+α」の活動をする人も出てきた。

コミュニティの中から強いプレイヤーが毎週誕生している
→すでに形成されているコミュニティから、プレイヤー自体が参加してくれたり、生放送を視聴してくれたりなどもしてもらえるので大会参加者や視聴者の増加が見込めた。

 このような形で、目指すべき形を一緒に考えていきながら、企画を作り、実際に運営をし、振り返りをした内容をまた生かす。その結果を振り返りながら、一緒の思想で僕ら運営は、プレイヤーもクライアント様も我々運営も一緒に大会を楽しみながら作っていくイメージをお話させていただいています。

 次回はちょっと話を変えて、プロゲーマーとはどういう存在なのか? どうやって生活しているのか? ということを、具体的な例をあげながら少しお話できればと思います。

ウェルプレイド 代表取締役
谷田 優也(Twitter:@akahossy

 ソーシャルゲームのプロデューサーを経て、渋谷のゲームセンターで『ストリートファイターIV』をやりこみ、“ザンギエフ使いのアカホシ”として名が知られているときに出会った髙尾恭平と共に、2015年11月にウェルプレイドを設立。「ゲームが上手い人、上手くなろうと頑張っている人が世間で高く評価される時代にしたい」という思いから、日本初のeSports専門会社としてeSportsに関する企画、プロデュース、運営、コンサルティング、配信等を行う。
http://wellplayed.jp/

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