自己破産しすべての資産をなくす
POM破綻後は、個人として自己破産をした。「すべての資産をなくしボロボロの一文無しになりましたが、ODM生産のノウハウやスキルが身についていたおかげで海外進出を目指す企業のコンサル的なアルバイトで食いつないできました」(増田氏)と明かす。
フリーテル時代は、たくさんのスマートフォンを世に送り出した。今回の翻訳機もそのときのスキルやノウハウが生きているという。携帯翻訳機と言ってもその中身は、通信機能を備えたSIMフリー端末である。一部ローカル翻訳を行う部分もあるが、端末は翻訳エンジンを搭載しておらず、Googleなどのサーバーに接続することで(ほぼ)リアルタイムな翻訳を実現している。
従って、快適に翻訳を行うためには、通信機能が大きな鍵を握る。「フリーテル時代に共に成長した中国の優秀なODMパートナーや工場の協力もあり、ほかの翻訳機に負けない通信機能を備えています」(増田氏)と胸を張る。今回のKAZUNA eTalk 5の特徴であり、他の翻訳機には搭載されていないWi-Fiテザリング機能や、カメラで撮影した文字の翻訳機能も、スマートフォン製造の経験が生きているのであろう。
ただ、会社を潰してしまったわけだから当時のステークホルダーの中には不利益を被った人もいよう。そんな人達からすると、増田氏の再起を快く思わない向きもあるのではないか。「各方面にご迷惑をおかけしたことは自覚しております。ただ、債権者の中には、販売などの面で今回のKAZUNA eTalk 5の事業展開を、積極的にサポートしていただいているところもあります」と神妙なおももちで話す。
また、当時のフリーテル端末や通信サービスのユーザーにとっても、破綻は寝耳に水だったはず。「楽天やMAYA SYSTEMへの事業の引き継ぎがスムースに行われたこともあり、最低限のサポート体制は維持できたと思います」(増田氏)と理解を求める。
今回、TAKUMI JAPANという会社を興しての再出発となるが、今後の事業展開はどのように考えているのだろうか。携帯電話端末のノウハウとスキルがあり、中国のODM先や工場を確保しているだけに、当然ながら、今後新たな端末ビジネスへの本格進出を狙っていることは想像に容易い。増田氏は、多くは語らないものの「携帯電話端末への進出も狙っており、すでにプロジェクトを進行させています」と明かす。フリーテルのスマートフォンは、コストパフォーマンスの高さでファンも多かっただけに楽しみではある。
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