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ビジネスの必須ツールとなった「ウェブ会議」の基礎知識

2019年01月04日 09時00分更新

多機能なウェブ会議システムのひとつZoom

 次に「テレビ会議システム」。これは専用のシステムを会議室に設置して、離れた場所にいる人も、同じ部屋にいるような感覚で、会議に参加できるものだ。大画面のテレビや映像・音声のやり取りに使う専用の機器を導入する必要があり、初期導入コストや運用コストは高くなる傾向がある。とはいえ、そのぶん映像品質の高さや複数ユーザーで使用した場合の安定性など専用機ならではの使い勝手が考慮されており、環境さえ整備すれば、使い勝手のいいものになる。

 そして最後が「ウェブ会議」だ。これはウェブカムを搭載したパソコンや、スマートフォンなど普段使っている端末を利用して、初期投資を抑えつつリモート会議が実施できるようにするというものだ。手軽に始められ、回線や性能の負荷がそれほど高くない、少人数の打ち合わせであれば、品質面でもそれほど不満がない。パソコンを接続すれば、画面共有などももちろん可能だ。

 ユーザーが普段使っている機器からのアクセスであるため、会議室を用意することなく、外出先や自席などから参加が可能。またパソコン画面の共有機能などもあるため、作成した写真やPowerPointの資料などを示しつつ、より深い議論を進めることができる。チャットツールなどと連動して使えるものが増えており、普段の議論はチャット上で済ませておき、議論が込み合ってきた際には会話に切り替えるも容易になってきた。

LTE搭載で軽量かつ高性能なモバイルノートは会議時間の短縮にも有効だ。(写真はVAIO Pro PF)

 テレワークやモバイルワークが主流になり、常にパソコンやスマートフォンが手元にある現在であれば、導入のハードルが低いし、普段作業しているパソコン内にあるデータを簡単に共有できる点がメリットになるだろう。

ウェブ会議の盲点は、電話との共存

 ウェブ会議を実現するためのツールとしては、Skype for Businessの機能を移行したマイクロソフトの「Teams」のほか、ビジネスチャットツールの「チャットワーク」、あるいは個人向けのサービスではあるが、「Facebook Messenger」などのSNSを仕事のやり取りで活用する場合もあるようだ。

Microsoft Teams

 参加するクライアント(端末)としては、やはりパソコンが基本だが、スマートフォンなども利用できる。電話と変わらない使い勝手で利用できるため、使用のハードルが低いように思える。

 ただしここで問題になってくるのが、電話との共存だ。

 企業では連絡手段として電話が多く使われている。ウェブ会議を使用している際に、電話で連絡が入ってしまうと会議を中断するか、あるいは後から折り返す必要がある。

 この問題を回避するには、ウェブ会議は基本的にパソコンで実施し、スマホは電話用に残していくのが、現実的な解決策かもしれない。機器は2つ必要だが、上述したような問題は避けられる。

 同僚との会話であれば、メッセージ機能などを利用していく形に徐々に移行していけばいいが、取引先となれば話は変わってくる。企業がテレワークを導入する際のハードルの一つと言えるだろう。

 なお、テレワークでは会社にかかってきた電話を在宅でどう受けるかも課題になる。Microsoft Teamsには「Direct Routing」機能という、Teamsから固定電話や携帯電話と直接通話が可能になる機能が用意されている。これはTeamsをPSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)に接続するための仕組みだ。また、クラウドPBXの仕組みを活用して、従来はオフィス内に設置していて、電話機や内線を増やす際の手間や設置費用を抑えられるようになっている。Teamsを電話機として利用すれば、電話の転送で、在宅勤務時にも外線電話に出られるようになる。

 これらの機能を利用すると、電話から会議へ参加することも可能となる。電話会議のメリットがいまだにあるという点に触れたが、会議で重要なのは映像より音声である。音声さえ伝われば、内容は理解できるので、通信環境の状態によっては、クリアに聞き取れる電話回線を使ったほうがいい場合がある。

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