プログラマーはkintoneでこそもっと輝ける(赤座久樹さん)
4番手は赤のポイントカラーが映える装いで登場したエンジニアの味方ソニックガーデン 赤座久樹さん。「(Cybozu Daysは)エンジニアじゃない参加者が多いのに、彼はエンジニアのためのハックしかしないんですよ。これがかっこいいですね」という伊佐さんの紹介の通り、「輝け!kintoneプログラマー」というド直球なLTを披露した。
「納品がない受託開発」「全社員がリモートワーク」「業務ハッカー」でおなじみソニックガーデンで働く赤座さんは、富山県にある旧細入村でリモートワークしている。「僕たちソニックガーデンは、プログラマーという仕事をとても大切に考えています。プログラマーをいかに活躍させ、いかに輝かせるかがソニックガーデンの一番のミッション」と赤座さん。さらに、ノンプログラミングで簡単にアプリを作れるkintoneこそ、実はプログラマーにとってさわりがいのあるツールだという。「プログラマーはkintoneでこそもっと輝けると確信しています」という語る赤座さんは、全三幕でなぜプログラマーこそkintoneに触れるべきかを説明する。
第一幕は「明日への希望」。今では幸せにリモートワークしている赤座さんだが、昔は富山の企業で働いており、東京との格差を感じていたという。「仕事も下請けばかりで、プログラミングしたいのに全然できなかった」(赤座さん)というときに出会ったのがソニックガーデンだ。とはいえ、地味な業務システムをやっていた当時の赤座さんにとって、ソニックガーデンが手がけていたWebシステムはキラキラしており、大きな落差を感じていた。そこで赤座さんは一念発起し、仕事を辞め、ソニックガーデンで必要となる技術を身につけるために猛勉強をしたという。
とはいえ、赤座さん心の中では「プログラマーとして業務システムが作れたらいいだろうな」という気持ちはくすぶっていた。そんな中、社長・副社長の面接で言われたのが、「kintoneで業務システムやってみる?」という提案だった。提案に飛びついた赤座さんにとってkintoneは「希望に満ちていた」(赤座さん)という。「僕がやりたかったWebプログラミングをふんだんに使って業務システムが作れる。僕にとって完全に理想なプラットフォームだった」と赤座さんは語る。
第二幕は「なんでもできる なんでもなれる」。こうしてkintoneを使っていると、不満も出てきた。「計算式で使える関数が少ない」「一覧からの複数行同時編集ができない」「アプリの並び順が変更できない」「バックアップが自己責任」「スマホ版がしょぼい」「テスト環境が使い物にならない」など、正直不満だらけと言ってもいい。それでもなぜか憎めないのがkintone。プログラミングで無限に拡張でき、面倒くさいサーバー運用から解放されるというのもあるが、赤座さん曰く「隙だらけで放っておけない」というのがプログラマ心をくすぐるポイントだという。「こんなこともできないの?仕方ないなあ、オレが作ってやるよー」というお節介心で、kintoneへのハックを続けていた。その結果、kintone hack 2017 Osakaでは優勝までしてしまった。
そして第三幕の「輝く未来を抱きしめて」で紹介されたのが、kintoneプログラマーを増やすべく今回赤座さんは作った「Goqoo on kintone」だ。これはRuby on Railsのようなフレームワークで、デモでは簡単なコマンド操作から環境設定、ソースコード生成、API連携まで一連の作業をすべて自動で行なえることが披露された。すでにオープンソースとして公開されているという。
最後、赤座さんは「『プログラミングは目的ではなく手段です』は一般論としては正しいですが、僕は『プログラミングが目的』です。だって、楽しいですもん」と、まさにイベントの趣旨である「楽しいは正義」にあわせて熱くコメント。「会場にいるプログラマーのみなさん!ぜひいっしょに輝く未来をkintoneで!!」とアピールし、LTを終えた。
出迎えた伊佐さんも「赤座さんみたいな人がいるからkintoneは拡がるんだよね」と感激することしきり。盛り上がる2人だったが、「そのまま呑みにでも行けそうですが、今は決勝戦中なので」というつばさ嬢の冷静なツッコミを受け、そのまま採点に入った。プログラマーとしての一本気なメッセージが、多くの聴衆に刺さった熱いLTだった。
LINEカスタマーコネクトのようなサービスをkintone+Twilioで実装
赤い赤座さんに続く5人目も赤い芸人。KDDIウェブコミュニケーションズでTwilioのエバンジェリストを務める高橋 克己さんが「ガチでkintoneアプリを作ってみた」というネタで登壇する。
ご存じTwilioはAPI経由で電話を利用できるサービスだが、すでに電話という存在自体が時代錯誤かもしれないと高橋さんは語る。「『電話野郎』って知ってますか? LINEやメールで事前に通知することなく、突然電話をかけてくる人のことを、さげすんだニュアンスで電話野郎と呼ぶんです。なんということでしょう。電話のディスられ方がぱねえ」と高橋さんは聴衆に問題提起し、「時代はLINEですよ」と断言する。えっ?
そんなこんなで今回高橋さんは、「LINEカスタマーコネクト」のようなサービスをkintoneとTwilioで作ってみたという。カスタマーサービス向けのLINEカスタマーコネクトでは、AIが自動応答してくれるオートリプライと人によるマニュアルリプライをAPIで切り替えられる。Twilioのパーカーを脱ぎ出し、LINEのTシャツ姿になってしまった高橋さんはデモ動画を披露する。
デモ動画ではLINEで問い合わせをかけると、kintone上のFAQを自動的に解析し、ボットが自動的に応答してくれる。ボットで回答できない場合は、オペレーターと直接チャットができ、さらに込み入った内容の場合は電話まで可能。高橋さんは、「kintoneの画面からお客様に電話ができる。しかも、電話していいかLINEで確認してからかけるから、電話野郎じゃないんだよ(笑)」とアピール。「電話かけるだけじゃなく、切ることもできるんだよ。裏側は全部Twilioでできてます。すごいぜTwilio!」とのことで、やっぱりTwilio押しな高橋さんだ。
自然言語解析にはGoogleのサービスを用いているものの、システムのほとんどはkintoneとTwilioで構成されている。LINEとのAPIはTwilioのChannelsを使い、バックエンドはサーバーレスで実現。LINEボットに関しても、ほとんどドラッグ&ドロップで実装しており、結論は「やっぱりTwilioすげー! kintoneもすげー!」という内容。LINEのみならず、Facebook Messengerでも対応できるという。
赤い芸人のハイテンションなLTに、伊佐さんは「面白すぎるでしょ」、つばさ嬢は「漫談聞きに来たみたい」とコメント。LTとしてのエンタメ性はもちろん、サービスとしての実用度もかなり高かったという感想だ。
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