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No Maps 2018で開催されたセッション「空飛ぶクルマから始まる地方創生」

空飛ぶクルマが日本でも始動 課題とニーズを北海道から探る

有人飛行、量産販売に向けた課題

 有人機としての最大の課題は、安全性の確保だ。一般的なドローンは1000回に1回くらい墜落してしまうが、航空機は10億回に1回程度。航空機レベルまで故障率を抑えるには、高度なエラー回避システムの開発が必要だ。量産販売に向けた課題としては、型式証明の取得もある。

 空飛ぶ車の業界全体では、騒音、バッテリー容量、安全性の担保、マーケットの創出、ルールやインフラづくりなどの課題を抱えており、官民の協調、異業種との協業で課題解決を図っているそうだ。

広大な北海道だからこその課題を空飛ぶ車で解決

 本セッションで同じくパネラーとなった林 美香子氏の研究テーマは「農村と都市の共生」。農村と都市の人々がもっと気軽に交流することで、人材・情報・経済の循環を生むのではないか、と提案する。

海野浩三氏(左)、林 美香子氏(右)

 「北海道には多くの魅力的な観光名所、全国的に有名な店があるが、広大であるがゆえ、道内に住んでいても気軽に出かけることができない。移動手段のひとつとして、空飛ぶ車が実用化されるとうれしい」とエールを送る。また、北海道ならではのアイデアとして、雪の上も走行できる「空飛ぶスノーモービル」や北海道産のバイオ燃料の採用などにも期待する。

 北海道札幌市は、IT産業、クリエーターの多さ、交流人口が増加傾向にあること、豊富な食観光資源、しがらみのない寛容な風土、といった強みがある。一方で、付加価値の低さ、低幸福度、低出産率などの課題を抱えている。

 No Maps実行委員長の伊藤博之氏は、「札幌市を未来いい社会の開拓地として捉え、新しい技術や実証実験の場として活用していくことで地域の課題を解決できるのではないか」とし、「実証実験には許諾のハードルが高いが、北海道には、民間が所有する農場など広大な土地がある。そういった場所と交渉して、空飛ぶ車の実証実験も札幌市で実施できるように協力していきたい」と語った。

福澤知浩氏(左)、伊藤博之氏(右)

 後半のパネルディスカッションでは、参加者から、さまざまな北海道の抱える課題、期待される用途について活発な意見が交わされた。

 道内には、産婦人科のない地域もあり、それが出生率の低下につながっているのでは、という意見も。また、降雪で道路が使えなくなるが除雪コストが高く、冬季は通行止めになる区間も多い。過疎地、離島で、空飛ぶ車で輸送できると安心だ。

 飛行高度についての質問では、まだ空飛ぶ車の飛行高度が法律で決まっていないが高度に合わせて安全対策をとる必要があるとのこと。たとえば、ドローンの場合は150m以下の制限なので、下向きのエアバックを装備するが、150m以上であればパラシュートのほうが有効になる。

 なお完全自動運転については、2030年を目標としているとのこと。ドローンではJAXAを中心に2020年までに目視外飛行の実現を目指しており、空飛ぶ車への拡張が期待できそうだ。

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