いまや商品やサービスのプロモーションを目的とした企業のライブ配信は、どこかひとつのプラットフォームを選ぶのではなく、複数のプラットフォームを併用し、同時に配信していく「掛け持ち」スタイルがほとんどです。
多く見かけるのは、「ニコニコ生放送」と「YouTube Live」を組み合わせて2つのプラットフォームで同時にライブ配信していくようなスタイル。もはや、どれかひとつのプラットフォームだけを選ぶというケースは企業のライブ配信では少なくなっています。ただ、この2年ほどの間でさらに追加で掛け持ちし、結果、2つといわず、“3つ4つのプラットフォームで同時配信する”なんてことも当たり前になりました。
例えば、商品やサービスの発表会であればFacebookの「Facebook Live」、LINEの「LINE LIVE」やTwitterの「Periscope」といったソーシャルメディアのライブ配信機能。ゲームジャンルであれば「OPENREC.tv」「Twitch」といったゲーム実況の配信者たちが多く集まるプラットフォームを「第3、第4のプラットフォームとして選ぶ」ことが多いように感じています。
今回は、前者の「商品やサービスのプロモーションを目的とした企業のライブ配信」で選ばれるプラットフォームについて少し触れていきます。
使いたいプラットフォームとして選択肢に上がりづらかったPeriscope
私自身の個人的な感触として、商品やサービスのプロモーションを目的とした企業のライブ配信で選ばれる「第3のプラットフォーム」はFacebookの「Facebook Live」が多いように感じます。
その次点で選ばれるのは「LINE LIVE」もしくは「Periscope」がこれまでの定石でしょう。LINE LIVEはともかく、Facebookと同様にSNSであるTwitterのライブ配信機能PeriscopeはFacebook Liveよりも選ばれる優先度が低いのが実情です。
この優先度が低くなっている最大の理由は「連携」が乏しかったから。PeriscopeはTwitterが運営するライブ配信プラットフォームであるにもかかわらず、当時はTwitterとPeriscopeは独立した別々のサービスとなっています。視聴するにはTwitterアプリとは別にPeriscopeアプリをインストールする必要があったのです。
つまりTwitterの「Periscope」より、既にソーシャルメディアとライブ配信の機能が一体化となっていたFacebookの「Facebook Live」のほうを第3のプラットフォームとして選ぶことがこれまでの間に定石となってしまったのです。
第4の選択肢だったPeriscopeを見直す必要があるかもしれない
しかし、そんな定石が少し変わりつつあるように感じています。Twitterのライブ配信「Periscope」を第4ではなく、第3のプラットフォームとして選ぶ「見直しの戦略」を考えたほうが良いのかもしれない、と感じています。
近年(2016年)、Periscopeはアプリを別途インストールすることなく、Twitterアプリ上でライブ配信を視聴できるようになりました。また、ライブ配信を開始すれば、Twitterのタイムライン上へ動画投稿と同じようにライブ配信の視聴プレーヤーを含んだツイート(投稿)をすることが可能です。
それによって、そのツイートを見た人はTwitterアプリでそのままライブ配信を視聴することはもちろん、リツイートすることでさらに自分のフォロワーへライブ配信の存在を広げられるように変わっています。
さらに、9月14日にTwitter及びTwitter Japanの公式アカウントが「自分がフォローしているアカウントがライブ放送を開始したら、ホームタイムラインの上部に表示される」機能をアナウンスしたこともPeriscopeを第3のプラットフォームとして選びはじめても良いかもしれない、とより強く感じたきっかけです。
これによって、これまで敬遠気味だったPeriscopeを、商品やサービスのプロモーションをするための企業のライブ配信戦略のひとつとして本格的に組み込んでも良い時期が来たように感じます。
新機能で「見逃し」を減らし「接触率」向上へ
この「自分がフォローしているアカウントがライブ放送を開始したら、ホームタイムラインの上部に表示される」機能は、上部に表示されることで見てもらいたいTwitterのフォロワーの見逃しを減らし、ライブ配信の接触率が上がります。結果として視聴数への向上が期待できるのではと感じています。
正直なところ、Periscopeはライブ配信ならではのチャット機能を通じたコミュニケーションが他のライブ配信プラットフォームと比べて(視聴者からのメッセージがコメントを拾いにくい&振り返りにくいという)仕様上の難点もまだまだ残されており、その改善が待たれるところです。ただ、今回の「自分がフォローしているアカウントがライブ放送を開始したら、ホームタイムラインの上部に表示される」機能がアップデートはとても大きなものであると感じますし、ライブ配信のプラットフォームとしてさらなる利便性の向上も期待したいです。
ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda)
ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com
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