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スタイリッシュさも増す

まったく違う新世代サウンド、第6世代B&W 600シリーズ

2018年09月14日 12時00分更新

 B&Wの600シリーズは、ブランドの中ではエントリーに位置づけられる製品だ。B&Wはフラッグシップ(800 D3シリーズ)の技術を、700シリーズなど下位に落としていく戦略を取っている。一方で、2014年に発表された現行の600シリーズ(第5世代)は世代的に古い技術が用いられていた。

過去の600シリーズから現行品まで

 上位機種との最も大きな違いは、ミッドレンジだ。コンティニュアム・コーンは新世代B&Wスピーカーの特徴と言えるものだが、600シリーズに関しては依然ケブラー振動板を使用しており、見た目の点でも、サウンドの面でも少し古臭さがあった点は否めない。

見た目も音もクリーンで美しい、第6世代の600シリーズ

 そんな600シリーズもついに新世代のB&Wスピーカーとして進化を遂げた。

美しいマットホワイトの筐体

 従来製品と価格は変えず、ラインアップを整理。一方でネーミングルールも800および700に揃えるといったマイナーチェンジ的な内容だが、出音を聴くとコンティニュアム・コーンの採用やダブルドームツィーターの改善によって、旧世代とはまったく違う製品に仕上がっているのが分かる。

 例えば、ほぼ同サイズの686 S2と607の比較。607の出音は、空間がぱっと広がったように鮮烈で、弦をはじいて音を出すハープのような楽器の音であれば、タッチがピュアに立つ。女性ボーカルであればリップノイズやブレスがかなり立って聞こえ、低域もぐっと前に出てくる。結果として、スピーカーの性能以上の、音楽性そのものがアップした印象を持つ……という具合だ。

現行の683S2

 過去のB&Wの代名詞だった黄色いユニットの採用は、600シリーズでは1995年の第1世代機にさかのぼるそうだ。銀色のコンティニュアム・コーンの採用は、23年続いたその伝統を大きく飛び越えるもの。もちろん細かな面では上位の700が搭載するユニットと差が付けられているが、4年という歳月を経て、600シリーズは、現代的なB&W本来のサウンドを手に入れたとも言える。同時に607はペア9万7200円と10万円を切る価格設定であり、最も手軽にB&Wのサウンドに触れられる機種のひとつとも言えるだろう。

 コンティニュアム・コーンの利点は立ち上がりの素早さだけでなく、立ち下がりも早い点にある。ケブラーと比較した場合、立ち上がりは大きく変わらないが、立ち下がりは約3倍速いとのこと。より正確で雑味がなく、抜けのいい中域の再現ができることになる。

700シリーズと差を付けつつも、エッセンスは凝縮

 今回投入されるのはブックシェルフが「607」(ペア9万7200円)と「606」(ペア12万3120円)の2モデル。フロア型は「603」(1本15万1200円)のみ、センタースピーカーも「HTM6」(8万6400円)とそれぞれ1モデルだけになった。ほかにサブウーファーとして「ASW610XP」「ASW610」「ASW608」(未定/10万8000円/8万2080円)の3モデルがあり、専用スタンドの「STAV2452」(2万8080円)も用意されている。基本的に9月の発売だが、ASW610XPのみ発売時期が未定となっている。

ラインアップ

ダブルドーム型ツィーター。2枚の振動板を貼り合わせているが、1枚は高域の特性を得るために薄く、もう1枚は中央をくりぬいて周辺部分を補強している。

メッシュは800シリーズと同じ、開口率の高いものだ。

ダブルドーム型ツィーターの解説

 そのほかの技術的なポイントとしては、従来機600S2シリーズでも採用していたダブルドーム型ツィーターのマグネットをハイパワーなもの(700シリーズと同等のN52ネオジウム磁石、通常の強さはN35程度)に変え、1.5倍の磁気エネルギーを得た点。タイムアライメントの改善のため、ドームの位置も変更した。2層アルミドームの使用で、38kHzまでと非常に高い範囲までカバーする。保護用のメッシュも開口率の高いものを新規に起こした。

ペーパーコーンウーファーの解説

 バスレフポート付きのスピーカーターミナルは700シリーズの流用で、ニッケルメッキ端子を使用している点も同様だ。ネットワーク回路にはスプラグ社の高性能なフィルムコンデンサーを採用しており、ここもポイントのひとつだという。なお、グリルキャッチはマグネット式となり、フロントに取り付け部がない、フラットでスッキリとした外観となった。カラーはつや消しのホワイト/ブラックのみで、木目調のものはなくなった。

使用部品

そのほかのポイント

大編成の曲でも余裕ある606、ボーカル特化なら607でも

 今回、D&Mホールディングスのマランツ試聴室で、従来モデルの「686S2」、そして新しい「607」「606」「603」を順番に比較試聴した。やはり旧世代との差は大きく意識する。冒頭にも書いたが、ひとことで言えばクリーンで、低域から高域まで音がシャープに立ってくる印象である。一方、サイズ違いの607と606では、スケール感の向上に加えて、中音域の広がりも出る。音に無理がないというか、607のような鮮烈さが減る分、607はゆとりが合って自然。ただし、607も情報量は豊富で、ボーカルを中心に聴くシステムを組むのであれば、その中核を存分に担ってくれそうだ。

 フロア型の603になると、本格的なハイエンド/ピュアシステムのスピーカーという感じがある。20万円弱の価格を考えると高いコスパを誇るが、普通にいい音と言う感じで個性はそれほど感じなくなる。ちなみに、607、606では目立っていた女性ボーカルのリップノイズが気付かない程度までなじむ。その意味ではブックシェルフ機よりもウォームなサウンドと言えるかもしれない。

603

606とSTAV2452

607とSTAV2452

HTM6

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