薄型軽量モバイルノートPCや2in1 PCのスタンダードが変わる
Intel、第8世代Coreに新Uシリーズ(Whiskey Lake)とYシリーズ(Amber Lake)を追加
IntelがIFA 2018(8月31日~9月5日、ドイツ・ベルリン)に先駆けて、第8世代Coreプロセッサーの新しいUシリーズ(開発コードネーム:Whiskey Lake)とYシリーズ(開発コードネーム:Amber Lake)を発表した。COMPUTEX TAIPEI 2018で同社が予告しており、同イベントで紹介したような薄型軽量モバイルノートPCや2in1 PCに採用される見込みだ。
大きな話題として、Uシリーズの統合PCHに「Gigabit WiFi」(=ギガビット級のWiFi)、つまりIEEE802.11ac無線LAN/Bluetooth 5.0のMACを内蔵している点だ。これにより、5年前のPCと比べて通信スピードが大幅に向上するという。まずはラインアップをご紹介しよう。
Uシリーズは刷新、Yシリーズは第7世代から大幅クロックアップ
TDP15WのUシリーズはCore i7-8565U(4コア/8スレッド)、Core i5-8265U(4コア/8スレッド)、Core i3-8145U(2コア/4スレッド)の3モデル。TDP5WのYシリーズもCore i7-8500Y(2コア/4スレッド)、Core i5-8200Y(2コア/4スレッド)、Core m3-8100Y(2コア/4スレッド)の3モデルとなる。いずれもハイパースレッディングとターボブースト(以下、TB)に対応している。
これまで同社は第8世代Coreプロセッサー・ファミリーをセグメント別に発表してきたが、今回リリースしたUシリーズは2017年8月にお披露目された旧Uシリーズ(開発コードネーム:Kaby Lake Refresh)の刷新と見るべきだろう。
旧Uシリーズとの大きな違いは統合PCHだ。Whiskey Lake-UのPCHは14nm製造(従来は22nm)で、新たにUSB 3.1 Gen2コントローラーとIEEE802.11ac無線LAN(160MHz、最大1733Mbps)/Bluetooth 5.0のMACなどを内蔵する。内蔵GPUはIntel UHD Graphics 620が引き続き採用されているので、ゲーミング性能や動画エンコード/デコード支援など内蔵GPUに関わる機能は大きく変わっていない。4Kストリーミングサービスのサポートも同様だ。
一方で、YシリーズはTDPが5Wと第7世代Coreから0.5Wほど上昇している点に注目。そのせいか、TB時の最大クロックが飛躍的に上がっている。Uシリーズの0.4~0.5GHzほどの上昇に対し、Yシリーズは0.6~0.8GHzまで伸びている。統合PCHは不明だが、Uシリーズでは「Gigabit WiFi」とうたっているところを、Yシリーズでは「Fast WiFi」という表現に留まっている。
また、Yシリーズは厚さ7mm未満、重量1ポンド(=約454g)未満の超薄型2in1/タブレットPCへの採用が想定されており、シームレスに通信できるよう「モダンスタンバイ」やeSIMをサポートしている。
5年前のPCと比べると大幅に性能向上
では、性能についてはどうか。Intelいわく5年前のノートPCと比べて、WEBブラウジング性能で最大1.8倍、無線LAN性能で最大12倍、総合性能で最大2倍、動画エンコード性能では最大10.5倍、バッテリー駆動時間においては最大で16時間以上もつようになったとのこと。
5年前のノートPCとなると、第4世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Haswell)を搭載したモデルとなる。各テストで比較PCのスペックが異なるので細かく見ていこう。
WEBブラウジング性能は「WebXPRT 3」を利用。第8世代Core搭載PCはCore i5-8265U、メモリー8GB×2、NVMe SSD「Intel 760p」、Windows 10 Pro(RS4)を搭載するリファレンスモデルとなる。比較対象はCore i5-4200U、メモリー4GB、SATA SSD「Intel 545s」、Windows 10 Proを採用する5年前のPCを想定した構成だ。1.8倍の性能差は主にCPU性能の向上が要因だろう。
無線LAN性能はアクセスポイントから3メートル離れた場所から計測したテスト。第8世代Core搭載PCのCPUはCore i7-8565Uで、無線LANは11ac(2×2、160MHz、最大1733Mbps)で計測している。比較対象はCore i5-4200U搭載PCで無線LANは11n(1×1、40MHz、最大150Mbps)なので、12倍という大きな性能差もうなづける。ここはターゲットにした5年前のPCの通信性能が貧弱すぎるきらいがある。5年前でも11nで2×2&40MHz(最大300Mbps)のモデルは多数あったような気がする。
総合性能は「SYSmark 2014 SE」、動画エンコード性能は「Handbrake」で比較。いずれも比較PCは「WebXPRT 3」と同じ環境のようだ。Handbrakeで10.5倍もの差がついているが、これは4K動画をフルHD HEVCにエンコードした際の結果だ。つまり、Intel UHD Graphics 620の動画エンコード支援が効いているため、第8世代Coreが超高速というわけである。ちなみに、バッテリー駆動時間はCore i7-8565U搭載PCでフルHDの動画の連続再生で計測しているとのこと。
まとめると、Intelの今回の狙いは2in1 PCを含むモバイルノートPCにおけるスタンダードの底上げであることがわかる。特に5年前のPCからの買い替えを主眼に置き、総合性能の向上はもちろん、HEVCエンコードや4Kストリーミングサービスへの対応など、いまどきの使い勝手で困らないスペックであることを強くアピールしている。IFA 2018では各PCメーカーから採用モデルが続々と出てくるはず。モバイルノートPCの買い替えを考えていたユーザーは要注目だ。
■関連サイト
Intel
Whiskey Lake&Amber Lakeの製品紹介ページ
<2018年8月29日17時更新>
IntelがWhiskey Lake&Amber Lakeの製品紹介ページを公開したので、一部情報を更新しました。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります