グラフィックスカードを購入する際、誰しもがパフォーマンスのほかに、価格を重要視するのではないだろうか。とくに、2~3万円台で販売されているボリュームゾーンと呼ばれる価格帯の製品においては、価格に重きを置く傾向が高いように見受けられる。
つまり、この価格帯では絶対的な性能よりも、コストパフォーマンスが優れているかどうかが、購入する際の重要なファクターになり得るというわけである。
そういった状況において、注目したいのがAMDのミドルレンジ向けGPUである「Radeon RX 580」(以下、RX 580)および「Radeon RX 570」(以下、RX 570)である。
これらのGPUを搭載した製品はリーズナブルなモデルが多いが、その中でもとくに安価なASUSの、RX 580を搭載した「ROG-STRIX-RX580-O8G-GAMING」とRX 570搭載モデルの「ROG-STRIX-RX570-O4G-GAMING」に今回は注目した。
前者は約3万2000円で購入できるショップもあるほか、後者は約2万7000円で販売され、どちらもコストパフォーマンスは良好だ。では、これらの安価なモデルで、ゲームはどの程度快適にプレイできるのだろうか。実際にテストを行ない検証してみよう。
Polaris 20を採用したRX 580とRX 570
最適化が進み動作クロックの引き上げを実現
まずは、RX 580とRX 570がどのようなGPUなのかを、改めてまとめておきたい。RX 580は、「Graphics Core Next」(以下、GCN)アーキテクチャーに基づいた第2世代のPolarisとなる「Polaris 20」コアを採用したGPUである。
RX 580では、64基のStream Processorで「Compute Unit」(以下、CU)を構成しているが、この点は第1世代Polarisから変わっていない。RX 580は、36基のCUを備えているため、Stream Processorの総数は36×64で2304基となる計算だ。
なお、Polaris 20でも第1世代と同じく9基のCUが集まりShader Engineを成し、4基のShader Engineを搭載している。また、RX 580は、第2世代となりGPUコアの最適化が進んだことで、ベースが1257MHz、ブーストが1340MHzと、第1世代から動作クロックの引き上げを実現した。
グラフィックスメモリーはGDDR5に対応し、メモリー容量は8GB。インターフェースが256bitで、クロックが8000MHz相当なので、メモリーバス帯域幅は256GB/秒となる計算だ。
続いてRX 570はモデルナンバーどおり、RX 580の下に位置付けられるGPUで、GPUコアには上位モデルと同じPolaris 20を採用する。ただし、RX 570では4基のCUが無効化され32基となっており、Stream Processorの総数は2048基となる。
RX 570も第2世代Polarisらしく動作クロックは高めだが、ベースが1168MHz、ブーストが1244MHzと、どちらもRX 580から100MHz弱ほど抑えられている。さらに、メモリーはGDDR5を搭載し、メモリー容量は8GBと4GBの両モデルが登場しているが、当然のことながら、4GB搭載モデルのほうが安価だ。
また、メモリーインターフェースは256bitとRX 580と同じだ。なお、メモリークロックは7000MHzと、GPUの動作クロックと同様にRX 580から抑えられているため、メモリーバス帯域幅は224GB/秒となり、これはRX 580の88%程度の規模だ。
その一方で、RX 570はRX 580から消費電力の低減を実現し、補助電源コネクターは6ピンが1つで済むため、かなり扱いやすいGPUに仕上がっている。
そんな、RX 580とRX 570の主なスペックを、それぞれの競合製品となる「GeForce GTX 1060 6GB」(以下、GTX 1060 6GB)と「GeForce GTX 1050 Ti」(以下、GTX 1050 Ti)とともにまとめたものが下表となる。
Radeon RX 580とRX 570の主なスペック | ||||||
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Radeon RX 580 | Radeon RX 570 | GeForce GTX 1060 6GB | GeForce GTX 1050 Ti | |||
開発コードネーム | Polaris 20 | Polaris 20 | GP106 | GP107 | ||
製造プロセス | 14nm FinFET | 14nm FinFET | 16nm FinFET | 14nm FinFET | ||
シェーダー プロセッサー数 |
2304基 | 2048基 | 1280基 | 768基 | ||
演算ユニット数 | 36基 | 32基 | 10基 | 6基 | ||
テクスチャー ユニット数 |
144基 | 128基 | 80基 | 48基 | ||
ベースクロック | 1257MHz | 1168MHz | 1506MHz | 1290MHz | ||
ブーストクロック | 1340MHz | 1244MHz | 1708MHz | 1392MHz | ||
メモリータイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | ||
メモリーインターフェース | 256bit | 256bit | 192bit | 128bit | ||
メモリークーロック | 8000MHz相当 | 7000MHz相当 | 8008MHz相当 | 7008MHz相当 | ||
メモリーバス帯域幅 | 256GB/s | 224GB/s | 192GB/s | 112GB/s | ||
メモリー容量 | 4GB/8GB | 4GB/8GB | 6GB | 4GB | ||
TDP | 185W | 150W | 120W | 75W | ||
PCIe外部電源 | 8ピン×1 | 6ピン×1 | 6ピン×1 | - |
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