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32コア64スレッドは乗りこなせるか? 第2世代「Ryzen Threadripper」を速攻で試す

2018年08月13日 22時00分更新

2990WX最強説を唱えるのは早計?

 ここからは実アプリでのパフォーマンス類をチェックしていくが、最初に総合ベンチマーク「PCMark10」のスコアーを比べてみたい。HEDT向けCPUで使うには負荷の低いめのベンチマークではあるが、一応試してみた。テストは全ワークロードを試す“Extended”テストを使用し、総合スコアーだけでは分かりにくいので各テストグループ別のスコアーも比較する。

「PCMark10」Extendedテストのスコアー

「PCMark10」Extendedテストにおけるテストグループ別スコアー

 2990WXの全コア稼働時のスコアーがない理由は、この設定時のみPCMark10実行中にPCごと落ちるためだ。具体的にはDCC(Digital Contents Creation)テストグループの終盤、POV-Rayでのレンダリングテストを実行する際に決まって発生する。新ハードのファーストレビューはトラブルがつきものだが、今回のはなかなか見られないトラブルだ。

 それ以外の結果は割と素直だ。2990WXも1/2モードにすれば完走し、これはほぼ2950Xの全コア稼働時の結果に等しく、コア数が等しい1950Xよりもスコアーが高い。ZenからZen+へアーキテクチャーを移行させた効果はThreadripperでも有効のようだ。

 PCMark10のPOV-Rayテストで2990WXが不具合を起こすのであれば、他のレンダリング処理はどうだろうか? まずは「V-Ray Benchmark v1.0.8」を利用してレンダリング時間を比較する。

「V-Ray Benchmark v1.0.8」の処理時間(CPUのみ)

 このベンチでは2990WXの全コア稼働でも問題なく完走できた。CINEBENCHのような爆発的な差は付かなかったが、全コア稼働状態でわずか23秒。コア数を減らしていくと2950Xや2700Xといったコア数の同じCPUの結果とほぼ同じになるという点も共通している。このテストでは7980XEが2950Xを僅差で抜き去り一矢報いた結果になったが、価格的には2950Xの方に大きなアドバンテージがある。約900ドルの2950Xの価格が、1ドル130円の無茶な為替レートであったとしても12万円。これが実売22万円前後の7980XEとほぼ拮抗している。2950Xのコスパは驚異的だ。

 もう一つCGレンダリング系ベンチとして「Blender」を利用した“Cycles Benchmark”も試してみた。いくつかシーンごとに試せるようになっているが、今回は特に負荷の高いこの記事からDLできるシーン“Berbershop”をCPUだけでレンダリングする時間を比較する。

「Blender」を利用した“Cycles Benchmark”の結果(CPUのみ)

 CINEBENCHやV-Rayよりも長時間演算し続けるベンチだが、2990WXは問題なく完走でき、素晴らしい結果を残している。CGレンダリングをやるなら、2990WXは無敵の存在といってよいだろう。2950Xでも1950Xより若干速いといった点もV-Rayと共通している。

 とは言え、7980XEもBlenderでの処理効率はかなり高い。1950Xはもちろん、2950Xにも30秒程度の差をつけて勝っている。Blenderは18コアの方が16コアCPUよりも高速だった、という話だ。

 クリエイター向けのCPUパワーを食う処理といえば動画エンコードがある。そこで4K動画4つを「Premiere Pro CC 2018」を利用してタイル状に並べ、再生時間約1分の8K動画にまとめ、それを「Media Encoder CC」を利用してH.264形式の8K動画に書き出す時間を比較する。ビットレートは50Mbps、2パスVBRでエンコードを行った。

「Premiere Pro CC 2018」で編集した動画を「Media Encoder CC」で8K動画にエンコードする時間

 このテストではおかしなことに、32コア64スレッドの2990WXが、16コア32スレッドの1950Xより遅いというにわかに信じがたい結果が出た。そしてコア数で並ぶ2950Xと1950Xとの比較においても、アーキテクチャー的に新しい2950Xの方が負けている始末。CGレンダリングではあれだけ速いのに、動画エンコードではなぜか第2世代Threadripperは遅いのだ。

 そしてここでの最速は7980XEである。インテル製CPUに最適化されているといえばそれまでだが、2990WXと2950Xの順位がおかしいのは非常に気になるところだ。

 釈然としないので別のエンコードソフトでも試してみよう。今回はフリーで利用できる「Handbrake」を利用した。4Kでゲーム画面を録画した再生時間約5分のMP4ファイルにデノイズ処理をかけつつフルHDに縮小、10Mbpsの2パスVBRで書き出す時間を計測した。コーデックはx265を利用している。

「Handbrake」を利用した動画エンコード時間

 少し処理を重くしすぎたせいか、思いのほか時間がかかってしまったが、このテストでもMedia Encoder CCでのエンコード結果と似た傾向の結果が得られた。まったく理解に苦しむが、今回これを解決する時間は得られなかったのが残念だが。現段階で考えられる原因としてはBIOSの熟成不足、評価用CPUまたはマザーの不具合、発熱とサーマルスロットリングが疑われるが、それについては後ほど再検討するとしよう。

 CPU占有率という面ではかなり軽いが、RAW現像処理も試してみたい。ここでは「Lightroom Classic CC 2018」を使用する。解像度6000×4000ドットのRAW画像200枚(NEF形式)を読み込み、レンズ補正等の簡単な補正を加えた後DNG形式に変換、それをそのまま最高画質のJPEGファイルに書き出すという2つの処理時間を計測した。JPEGに書き出す際にシャープネス処理(スクリーン向け、適用量“標準”)を付与している。

「Lightroom Classic CC 2018」を利用した200枚のRAW画像処理時間

 このテストでも2990WXの処理速度は遅い。特に全コア稼働状態だとパフォーマンスが著しく低下するが、コア数を減らすと大きく改善する。改善したとしても1950Xに及ばないのはエンコード処理と同じだが、極めて理解しがたい挙動だ。発熱やサーマルスロットリングが原因でなければ、メモリーアクセスパターンが問題なのだろうか?

 だが、負荷の高いBlenderではしっかり結果を出しているのでサーマルスロットリング説は考えにくい。エンコードや画像処理時に特異な処理のパターンが原因といえそうだ。

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