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現金を持たない時代に店舗はどう対応する?

キャッシュレス決済の端末、選び方のポイントは?

2018年08月17日 10時00分更新

KAZAPiの端末はリッチクライアント方式を採用し、高速で安定した電子マネー決済が可能

 一般的な電子マネーでは、カードや携帯電話内に用意されている暗号化などで保護されたセキュア領域にチャージした残高情報を格納しており、決済時にはその残高情報を参照して決済額を引き落とす、といった手順で決済が行なわれることになる。そして、そのセキュア領域の残高情報を確認して決済手続きを行なうには、セキュア領域にアクセスして暗号を解読するためにそれぞれ固有の電子的な鍵が必要となる。この仕組みによって、電子マネーは優れた安全性を担保している。

 この電子マネーの一連の決済手順を実現する仕組みとしては、「リッチクライアント方式」と「シンクライアント方式」という2種類が存在する。リッチクライアント方式は、決済処理や暗号の解読などに必要となるセキュリティの仕組みを全て端末に搭載することで、単体で高速に決済処理を行なえるようにしたものだ。対するシンクライアント方式は、決済処理やセキュリティの仕組みを専用のサーバーに用意し、ネットワーク経由でアクセスして決済処理を行なうというものだ。

 リッチクライアント方式は、カードをかざした瞬間に決済が完了するというように高速な決済処理が行なえ、ネットワークに接続できない環境でも利用できるという利点がある反面、決済処理用のハードウェアを搭載する必要があるため端末が比較的高価になるという欠点がある。それに対しシンクライアント方式では、決済機能の搭載が不要で端末を安価にできる反面、決済時にサーバーにアクセスする必要があるため常にネットワークに接続されていなければならず、決済手続きにサーバーアクセスが加わることで決済完了までの時間は、サーバーの処理能力に依存するといった欠点がある。

 そういった中、KAZAPiでラインナップしている2種類の端末では、あえてコストのかかるリッチクライアント方式を採用している。その最大の理由が、決済スピードや安定した決済が行なえるというものだ。

 紹介したように、シンクライアント方式では決済処理時にサーバーへのアクセスが必要となり、どうしても決済に時間がかかってしまう。駅の自動改札や多くの店舗はリッチクライアント方式のため、瞬時の決済完了になれている人が多く、シンクライアント方式の店舗では違和感を感じてしまうこともある。コンビニエンスストアではリッチクライアント方式が多い中、一部チェーンではシンクライアント方式を採用しているため、サーバー負荷のかかる昼休み時などでは他のチェーンとは違う反応が体感できる。決済時間が長くなると、決済処理中にカードやスマホが端末から離れて処理ができないことがあり、店員や客側がやり直し作業になるので、決済処理の時間は短ければ短い方がいい。

 また、通信事情が悪い場合でも問題なく決済できるという点も大きな理由となっている。高速なネット回線のある店舗ではシンクライアント方式でもよいが、通信環境があまりよくない店舗もある。そのような店舗でも、コンセントのある場所に設置して利用するKAZAPiでは、コストがかかっても短時間かつ常に安定して決済処理ができるリッチクライアント方式にこだわったそうだ。デメリットである端末コストが高額になる点は、レンタルモデルにすることで初期費用の上昇につながらない仕組みを取っている。

 近年、スマートフォンと専用リーダーライターを組み合わせて電子マネーの決済を実現するモバイル決済サービスが注目を集めているが、そのモバイル決済サービスは基本的にシンクライアント方式を採用しているため、高速なネットワーク回線を店舗が用意する必要があったり、利用者が多い時間帯など、サーバー状況によって決済に時間がかかる場合がある。リッチクライアント方式を採用するKAZAPiなら、そういった問題は発生しないため、モバイル決済サービスに対する大きな優位点となるはずだ。

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