思っていたよりは“普通”
じゃあ、なんで食べるのとなるけれど……
後入れパウダーの香りは、当たり前だけれど、バニラである。甘い匂いがする。それはそれで別によいのだけれど、なにしろシーフード味のカップ麺に入れるわけだから、もう、どうしようもなく心配だ。食べられるの? コレ。
どうしよう。シーフードヌードルにバニラアイスを入れ込んだ味だったら、さすがに最後まで食べきる自信はない。「もうめっちゃくちゃマズいです、ゲロゲロ」みたいな感想が記事的においしいのかもしれないけれど。おいしくないのにおいしいとはこれいかに、みたいな……くだらないことを言っている場合ではない。
ダメだったら「ダメでした」と素直に書こう。そう決めて、箸で麺を持ち上げる。うーん、匂いがカップ麺のそれではない。やはり、口に運ぶことをためらってしまう。諦める。腹をくくる。麺をすすってスープを飲む。
……食べてみると、「どうしたもんでしょうね、コレ」という感じがある。ええと、思っていたよりは真っ当。完全にナシ、ではない。
日清食品の「シーフードヌードル」を牛乳で作る裏レシピがあるそうだけれど、それに似た雰囲気があるかもしれない。ポタージュスープみたいな感じで、味だけでいえば、食べられなくはない。イマイチな表現かもしれないが、「普通に食べられる」がしっくりくる出来栄え。むしろ、その事実に驚いてしまった。
ただ、「おいしいの?」と聞かれると悩ましい。バニラの香りはする。ちょっとだけバニラ味でもある。ところが、それがプラスに作用しているかと言われると、そうでもない。「バニラの風味は必要だったのか?」と思ってしまう。
想像していたより、食べられる。問題は、そもそも真っ当なテイストをこれに求めていただろうか、という点になる。どうせならとんでもないヤバさがあったほうが、ネタになったのでは……。あれだけ不安視していたくせに、それなりに普通だと文句を言ってしまうのも、勝手というか、なんというか。自分もなかなか因果な仕事をしているのだな……と実感してしまう。
今回はグルメ担当のナベコさんと、なんとなく近くにいた盛田さんにも食べてもらった。
ナベコさん「正直、わりとふつうだな、と思いました。パッと浮かんできたのは『コーンクリームスープ』。まろやかさとクリーミーさを押し出しているコーンクリームスープがあるじゃないですか。そんな感じ。甘さはコーンクリームスープなのですけど、シーフードの香りがするので、例えば、クラムチャウダーラーメンとか、そういうイメージに近くなるのでしょうね。意外にも、バニラがわりと馴染んでいます。けど、やはり、後味にモワンとバニラの風味が残るのが、違和感といえばそう。バニラの良し悪しは置いておいて、全体的にとても甘いので、1杯食べきるには飽きがくるかもしれません」
盛田さん「エースコックさんが『バニラ風味のスーパーカップ』という全力のボケをしているということを聞いてテンションが上がり、『バーニラ、バニラ、バーニラ、ラーメン!』と歌いながら食べてみました。しかしボケであるはずのバニラ風味がとっても弱く、単にシーフードヌードルになってしまったと感じました。もとより海産物と乳製品の相性がよいこともあってか、『バニラ風味』という字面ほどの意外性がないです。かくなる上は『ラーメン風味の明治エッセルスーパーカップ』が出てくることを期待するしかありません。明治さん期待しています」
オススメできるかと言われると、なんともむずかしい。変わった香りではあるけれど、とにかくすごすぎるというわけでもない。とても美味、ではないと思う。めちゃくちゃヤバい、でもないと思う。商品名とパッケージの出オチではないかと言われると、たしかに、それだけかもしれない。
正直、エースコックの企画会議で「明治さんの『明治エッセルスーパーカップ』とウチのスーパーカップは名前が一緒だし、思い切ってバニラ風味にすればウケるんじゃないですかね」というノリで商品化された可能性が、ゼロではないと思う。もう一度食べたいかと言われると……うーん。それはないだろうな。そんな感じ。うーん。うん。以上です。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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