最低時給も家賃も外食まで
東京よりも遥かに高額なカリフォルニア
日本の中小企業の経営者の方にお話を聞くと、人材の確保が本当に厳しくなってきたという声が大きくなり続けています。就職する側からすると、転職に対する意識的なハードルが下がり、「キャリアアップ」の手段であるという認識が広がりました。
しかしそれでも、日本の給料のレベルはおそらくシリコンバレーの半分以下です。5年ほど前、日本からシリコンバレーに進出してきたテック企業の人材担当者が調査すると、サンフランシスコやシリコンバレーは、東京の2.2倍の生活コストがかかると言っていました。
その後も米国はリーマンショックからの景気回復が続き、リーマンショック時にも不動産価格が崩壊しなかったこのエリアでは、家賃が上昇し続けています。おそらくいま同じような調査をすれば、東京の3倍の生活コストと算出されるかもしれません。
不動産や賃貸の価格とともに、各国の経済の状況などをはかるツールとして、マクドナルドのビッグマック指数(Big Mac Index)があります。世界中で同じ商品を売っているから、というのが指標の理由ですが、米国ではマクドナルドの時給というかたちで、その都市の経済事情を測る記事が出ていました(http://www.businessinsider.com/san-francisco-minimum-wage-cities-comparison-2018-7)。この記事の話題はあくまで「最低時給」で、マクドナルドが常に、必ずしも最低時給を提示しているわけではないとは思いますが。
米国ではフェデラルレートと言われる最低時給の基準が決まっており、それは7.25ドル/時間、日本円にすると815円です。これに対して、サンフランシスコは15ドル/時間、なんと時給1687円です。シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨークといった大都市では12~13ドル/時間でした。
ちなみに、米国ではいまだにレストランでチップを支払う仕組みが採用されています。シリコンバレーエリアではよく「Doubled Tax」(レシート上の税金の2倍)が目安とされており、だいたい19%前後になります。計算しやすいですよね。
多くの都市では、チップありのお店の最低時給は低く設定されており、前述のフェデラルレートも2.13ドル/時間です。そのため、チップを払わなければ、ウエイターさんの稼ぎは1/3以下になってしまいます。
ところがサンフランシスコでは、チップありのウエイターの最低時給も15ドル。この動きはレストランのチップ制度の廃止を可能にし、そうしたお店も増えつつある一方で、客単価が高い高級店のウエイターの稼ぎはさらに良いわけです。
サンフランシスコ周辺の都市でも、年々最低時給が上がっています。人件費は当然のことながら、顧客が支払う飲食費で賄われていきますから、食べ物の値段は上がっていく。
もしサンフランシスコに旅行してきて、ラーメン1杯1500円、サラダを頼んで2000円、チキンを乗せたら2500円と言われても、仕方がないですよね。人件費が上がって物価が上昇する、の典型を見ているような気がします。
日本では物価の上昇に対して、厳しいですよね。稼ぎが増える人が少なくなり続けていますから。その一方で、じゃあサラダを頼んだだけで2000円も払いたいかと問われれば、アメリカ人だって呆れ顔なわけで、物価上昇は消費者心理を冷やしていることも確かです。
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