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第一弾は「エヴァ」や「おそ松さん」 7月2日から新宿バルト9でVR映画先行上映開始

2018年06月29日 10時00分更新

文● MOVIEW 清水、編集●南田ゴウ/ASCII編集部

 360度の映像で世界観にどっぷり浸るVRに、映画館でのハイクオリティな音響システムを組み合わせ、みんなでVR体験をする新たな映画興行となる「VR映画」。2017年末に発表されたVAIO×東映×クラフターによる共同事業体VRCC(VR Cinema Consortium)の7月2日からの先行体験上映に先立ち、説明会/メディア向けの体験会が開催された。

 説明会は2部構成で、VRCCについての詳細な説明と、STU48の石田 みなみさん、今村 美月さん、田中 皓子さん、土路生 優里さん、薮下 楓さんによるリアル体験が行なわれた。また、「映画館でVR!」と題した先行体験の第一弾コンテンツとして、CEBITで好評を博した「夏をやりなおす」のほか「おそ松さんVR」「evangelion:Another Impact(VR)」が7月2日より新宿バルト9で上映されることが発表された。

VAIO×東映×クラフター それぞれの特性を生かした共同事業

 説明会第1部ではVRCCについての説明が行われ、東映取締役企画調整部長の村松 秀信氏、VAIO執行役員副社長の赤羽 良介氏、クラフター代表取締役社長の古田 彰一氏が登壇。VRCCにおける3社の役割やVR映画興行について解説した。

画像左から東映取締役企画調整部長の村松 秀信氏、VAIO執行役員副社長の赤羽 良介氏、クラフター代表取締役社長の古田 彰一氏

 60年以上にわたって日本の映画業界を牽引してきた東映は、グループがもつ豊富なコンテンツと製作インフラの提供、シネコンへのVR映画配給を担う。「今世紀に入り、3D映画や4D映画などが登場し、映画の可能性を広げた」と語る村松氏は「自宅やスマホで気軽に映像が楽しめるようになった現在、4DやIMAXなど、映画館でしか味わえない楽しみが映画館へ足を運ぶエビデンスとなっており、その新たな形としてVR映画を提供、映画館訪問のバリューを高めていきたい」と抱負を語った。

映画業界の現況 年間興行収入・年間入場者数の推移

3Dスクリーン数は伸びが鈍化している

3Dスクリーンに比べ、4D・IMAXスクリーン数が伸びている

東映の持つコンテンツは特撮・アニメを含め、劇場用映画3307作品、テレビ映画2587作品/3万4480話と豊富

 ソニーから離れて新たなスタートを切ったVAIOは、VR映画体験に使用するヘッドマウントディスプレー(HMD)の調達と上映に対する最適化、ソフトウェア・ネットワークシステムの開発などVR環境構築を担う。赤羽氏は多人数が同時にVR体験をするという魅力について「自分だけでなく、周りの人も同じ非日常の世界に入り、空気や音を通してその感覚が伝わってくる劇場ならではのVRを提供できること」と語る。

これまでのPC事業・EMS事業に加え、ソリューション事業としてVRを推進。今後のパーソナルコンピューティングに提案のためにVRの知見を深めることも大事だと語る

 VR映画上映に使われるHMDは、中国PICO社の6DoF(Six Degrees of Freedom)に対応したセンサーを装備したもので、スタンドアローンでありながら2880×1600ドット(90Hz)が表示できる。また、スタンドアローンのHMDなので、劇場を改修するなどの大掛かりな工事が不要で、既存の設備に無線アンテナとサーバーを設置するだけで導入できること、取り回しもラクで、無線を通してすべてのHMDをコントロールできる運用のしやすさなどをその特徴として挙げた。

 さらに、コンテンツの盗難防止の機能を何重にも装備し、これらを実現するためのSDKの開発とHMDのカスタマイズを実施したとのこと。

今回提供されるシステムの3つの特徴

 スマートCGアニメーション、いわゆるセルルックなCGアニメにリアルタイムエンジンやAIなどの技術を取り込んで表現の進化を目指しているクラフター。最近ではジブリ美術館で上映されている短編アニメーション「毛虫のボロ」のCGパートを担当した同社は、今回VR映画に最適化されたコンテンツ制作を担う。

 古田氏は「従来のVRに足りなかったことは音」と語り、VR映像の没入感と映画館の迫力あるサラウンド音響の組み合わせは理想的な組み合わせだとコメント。VR映画ではヘッドホンで耳をふさがず、劇場のスピーカーの音、あるいは周囲の気配が聞こえることで、VRでありながら、その場にいる大勢で一体感を共有できると説明した。

スマートCGアニメーションの制作過程

 さらに6DoF対応のHMDでは、XYZの3軸に加えてそれぞれの方向の回転軸が加わることで、奥行きを感じられるようになると解説。3DoFのVRでは、目の前に対象があっても自分が近づくと対象が遠ざかってしまうが、6DoFでは奥行きが生まれるのでその対象に近づくこともできるし、回り込んで見ることもでき、没入感に大きな違いが生まれるとのこと。

6DoFに対応することで、奥行き感が生まれ、映像内の対象との距離を変えられたり、回り込めたりする

 今回の先行体験上映ではショートアニメ3本立てとすることで、いちどの鑑賞でVRのさまざまなテイストを感じられるという古田氏から、先行体験上映のラインアップとして「夏をやりなおす」「おそ松さんVR」「evangelion:Another Impact (VR)」が紹介された。また今後のラインアップとしては、有名アーティストのライブVRやホラーVR、特撮ヒーローVRなど幅広いカテゴリが計画されており、仮面ライダーVRといった具体的な作品が動き始めていると紹介された。

ドイツの見本市CEBITで連日行列ができた「夏をやりなおす」

アドアーズでしか観られなかった「おそ松さんVR」をVR映画用に最適化

日本アニメ(ーター)見本市で発表された原作をVR用にイチから設計して作り直した「evangelion:Another Impact(VR)」

検討されている今後のラインアップ。清水崇監督の「呪怨VR」や「仮面ライダーVR」といった具体的な作品名も

 また、VRCCは今回VAIO、東映、クラフターの3社でスタートするが、3社で閉じることはなくさまざまなパートナーを広く募ること、また興業時には世界初となるVRでのCMとなるマルイのVRCMが流れることも明らかにされた。

世界初となるVRによるマルイのCM

 先行体験上映「映画館でVR!」は7月2日より、新宿バルト9 シアター7において開始され、入場料金は一律1500円。6月29日24時から観賞券の販売が開始される。

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