AWS Summit 2018基調講演では4社がユーザー事例を披露
Sage MakerやQuickSightが東京リージョンで提供!7月にはFargateも
AWS Summit 2018の最終日となる6月1日の基調講演では、機械学習サービス「Amazon SageMaker」やBIサービス「Amazon QuickSight」などの東京リージョン提供開始がアナウンスされた。4人のゲストによるAWSの活用事例のほか、機械学習、データ、コンテナ、Well-Architected Frameworkなどエンジニアにフォーカスしたさまざまなトピックが披露された。
東京リージョンでSage MakerやQuickSight提供開始
サーバーレスや機械学習を中心に初日の基調講演よりもテクノロジーにフォーカスした内容でAWSのサービスの価値をアピールした米Amazon Web Servicesのエイドリアン・コックロフト氏。6月1日の基調講演で発表された内容をまずはおさらいしておく。
同日付で東京リージョンからの提供が発表されたのは、マネージド型の機械学習サービスである「Amazon SageMaker」。データのオーサリングを可能にするJupyter notebook IDEをホストするほか、各種フレームワークを用いたトレーニングモデルの構築・学習・評価を実現し、できあがったモデルのエンドポイントをホストする。また、フレームワークとして、Apache MXNet、TensorFlowに加え、新たに日本国内での利用が多いプリファードネットワークス(PFN)のChainerが選択可能になった。AWS GreengrassとCloudFormationへの対応も発表された。
また、サーバーレスのコンテナ実行環境である「AWS Fargate」も7月に国内で提供開始となる。クラスター管理なしにコンテナを実行可能。アプリケーションをタスク定義にパッケージ化し、CPUやメモリの設定、ネットワークやポリシーなどを定義し、Amazon ECS(Amazon Elastic Container Service)にアップロードすると、自動的にDockerコンテナが起動し、管理される。2018年にはKubernetes向けのAmazon EKS(Amazon Elastic Container Service for Kubernetes)にも対応する予定となっている。
BIサービスであるAmazon QuickSightも東京リージョンで開始された。新たにPay-Per-Sesionと呼ばれるセッション単位の料金体系が導入され、ダッシュボードを閲覧するだけのユーザーも利用しやすくなった。VPC内へのデータアクセスも正式サポートされ、AWS Diect Connectと組み合わせることで、オンプレミス環境のTeradataやSQL Serverなどともアクセスできる。
その他、グラフ型データベース「Amazon Neptune」が正式リリースになったほか、Application Load Balancerのビルドイン認証にも対応した。
ゲストスピーカーからSage MakerやQuickSightの事例も披露
Sage Makerのユーザーとして登壇したのは、レシピ動画「Kurashiru(クラシル)」を提供するdely CTOの大竹雅登氏だ。Kurashiruでは、個人にパーソナライズしたレシピを提案するため、機械学習を導入することにしたが、エンジニアが少なく、短期間にリリースするのが難しいという課題があった。そのため、フルマネージドな機械学習サービスであるSage Makerをいち早く導入。モデル構築、トレーニング、デプロイまでを一気通貫で対応できるようになり、開発着手から約1.5ヶ月でプロダクション環境にまで反映できたという。
また、データ分析の事例紹介としてリクルートテクノロジーズ 技術フェロー 高岡将氏が登壇。商用サービスにおけるユーザーデータの分析基盤として、AWSによるデータレイクを運用している同社だが、高岡氏はキーノート前日に発表されたAmazon QuickSightでいち早く分析システムを構築し、デモを披露した。
その他、基調講演の後半にはクラウド利用のベストプラクティスともいえるAWS Well Architected Frameworkを用いることでセキュリティや信頼性、パフォーマンス、コスト、運用性などを担保したエイチームのマネージャ 常深香里氏や、PlayStation Networkにおいてサーバーレスとコンテナを積極的に活用するソニー・インタラクティブエンタテイメント Directorの野田純也氏が登壇した。
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