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アイデアを武器にインバウンド市場へ挑むスタートアップ10社を紹介(後編)

中国同様の事前決済を当たり前にできる飲食店向けサービス

2018年03月09日 09時00分更新

 2月19日から21日にかけて、東京ビッグサイトにて「インバウンドマーケットEXPO2018」が開催された。多言語対応や決済サービスをはじめとする各種ソリューションや日本各地の名産・観光などを紹介する催しに、アスキーも特設ブースを開設。スタートアップ企業10社の出展を支援した。前編に引き続き、会場での展示模様をレポートしていく。

顧客満足度が高いレストランを紹介する日本美食、対応決済サービスも多彩

 日本美食株式会社が提供するスマホアプリ「日本美食」は、訪日外国人向けに顧客満足度の高いレストランを紹介している。専属コンシェルジュによる予約代行を持つほか、アリペイをはじめPayPal、Apple Payなど世界で普及している多くの決済機能に対応している。店舗に用意されたQRコードを読み込んで決済するほか、事前決済の機能も持つ。

店舗ごとに発行されるQRコードを店頭に掲示するだけで、アリペイやPayPalなどの決済に対応できる

 また、導入店舗側の負担軽減にも配慮されている。事前決済の場合はもちろん、店舗側で用意しなければならないものはない。現地で決済を行なう場合も、店舗側は新しくハードウェアを導入する必要がなく、QRコードを印刷して示しておけばいいだけというのは嬉しいポイントだろう。アプリはiOS/Android向けに無料で提供されている。

コンテンツ上を歩いて楽しむ地図アプリStlory

 株式会社Stloryが提供する「Stlory」はいわゆる地図サービスだが、表示されるのは一般的な道路地図ではない。マップ画面には日本の古地図やイラストが表示され、その中を歩きまわれる。提供されているマップは大坂冬の陣時の豊臣方、徳川方の布陣を再現したものから、港区のグルメマップまで幅広い。ランドマークピンを打たれているものもあり、タップするとそれらの情報を見ることができる。

「Stlory」

 また、位置情報から対応するマップを検索可能。現在の風景と地図を比較しながら街を歩くと、いつもの風景すら違ったものに見えてくるだろう。

中国でのECサイト運営をワンストップで解決する華和結ホールディングス

 華和結(かわゆい)ホールディングスは、慶應義塾大学出身者や、リクルート出身者を中心に中国人CEOがリードするスタートアップだ。日本人イラストレーターのイラストなど日本のコンテンツの海外輸出を行なう「JCCD Studio」や、中国向けECサイトの構築から運用、広告、流通までをワンストップで引き受ける「華和結Solutions」を展開している。

「華和結Solutions」

 アリババなど中国大手ECサイトに出店する場合、高額の利用料を請求されるのが通例だ。だが華和結Solutionsを使えばサイト構築からすべてを自社で行なうため、低コストで運営できる。初期費用は無料で、月々20万円から中国国内向けのECサイト運営が可能となっており、ディオールなどの大手企業ですでに利用実績がある。

クラウド上で営業スキルを共有するTANREN

 TANREN株式会社が提供する「TANREN」は、営業用のロールプレイング動画をクラウド上で共有する教育サービスだ。店舗によって品質に差が出てきてしまうのは、広いエリアに数多くの店舗を展開する企業共通の悩みだ。それを防ぐため、まずテンプレートとなる動画を視聴した後、オーナーやマネージャーのリクエストに従い、店舗でのロールプレイング動画をそれぞれのスタッフが登録。動画を蓄積し、定期的に見直すことで、集合型の営業研修なしに現場の営業スキル向上を目指す。

「TANREN」

ナイセンクラウドならスマホから03発信可能、内線通話は無料

 アイティオール株式会社が提供する「ナイセンクラウド」は、03や0120で始まる固定電話番号を使い、発着信できるクラウドサービスだ。インターネットに接続していれば、スマホやタブレットだけではなく、PCやIP電話機でも利用可能。

ひとつの外線番号ですべての端末に同時に着信したり、ほかの端末に転送したりといったデモが行なわれていた

 一般的な通話アプリとの大きな違いは、ビジネスフォン的な使い方を想定して作り込まれているところ。顧客から電話がかかってくると、その電話番号を設定されているすべての機器に着信し、最初に受け取った機器で通話できる。同じ番号を設定した端末が内線で結ばれているのも特長で、デスク上のIP電話機で受け取った電話を一旦保留し、スマホで保留解除することもできる。「〇〇さん、外線2番に〇〇さんからお電話です」を、端末種別をまたいで実現するのだ。しかも、このとき使われる内線間の通話はたとえ海外からかけても無料。

 スタートアップブースに軒を並べた10社のサービスを簡単にだが紹介してみたが、いかがだっただろうか。インバウンドという言葉が使われ始めて久しいが、コスト面や手間が課題となり対応が後手に回っている企業も少なくないだろう。東京オリンピックの足音が間近に聞こえてくるようになった今こそ、インバウンド向けの各種サービスをもって「おもてなし」に努める時ではないだろうか。

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