MWC 2018で、5Gを中心にユースケースを展示するGSMA(MWC主催者)の「Innovation City」で、ファーウェイは「X Labs」というスペースを設けて、参加企業とのコラボレーションを見せていた。
X Labsはファーウェイが2016年末に立ち上げた業界コラボレーションプログラム。最新の無線技術を利用することで、どのようなメリットがあるのかを企業に実験してもらう取り組みだ。
5Gの広帯域/低遅延で空飛ぶタクシーの操縦も
信頼性が大きくアップ!?
目を引いたのは、中国の無人航空機、eHANG。2016年のCESで披露され、空飛ぶタクシーとして日本でも話題になった。同社は規制の問題からまだ商用サービスを提供していないが、ドバイなどで実証実験を重ねている。
現在のeHANGはLTEを利用しているが、5Gを使うとどうなるのかがファーウェイのX Labsに参加した理由だ。アプリにより遠隔から操作するため、広帯域/低遅延は当然重要だ。5Gにより信頼性が改善されるとみる。ネットワークへの要求は上下ともに100Mbps程度。遅延は20m秒以下。
時速100km程度で、航続時間は30分程度。技術的にはほぼ整った状態とのこと。規制が最後のハードルのようだ。ドローンは同ラボの中でも「デジタルスカイ計画」として重点分野の一つに位置付けられている。低空域(高度300m)でネットワークカバレッジを提供し、ドローン活用のための高度な試験環境を構築すると説明された。
ドローン+5Gでリアルタイムの地図を作成
震災時の即時の対応といった活用が考えられる
ドローンにつけるLiDAR(レーザー画像検出と測距)レーザー装置の展示もあった。Shenzhen SkyEye Laser Technologyのもので、ドローンにカメラと合わせて設置することで、高度なGPS情報を組み込んだ地図をクラウドでモデリングする。たとえば、四川省で地震が発生した際、中国政府は同社の技術を使って地震の影響を見る地図を作成、次の対策を進めたという。
「地震をはじめとした災害復旧では一刻が大切。5Gによりリアルタイムのデータを転送できると期待している」とのこと。
ソフトバンクは箱形の新型ロボット
デンソーはオリジナルボールペンが作れるロボットアーム
日本からはソフトバンクとデンソーが展示していた。ソフトバンクは自律走行ロボット「CUBEくん」(仮称)をデモ。CUBEくんはオフィスでの利用を想定して開発中のロボットで、ROS(Robot Operating System)をベースとしており、LiDARセンサーを3つ搭載する。地図を作り目的地までの最適なルートを割り出し、自分で障害物を検知して避けながら進むという。
2社は2017年11月に、ロボットと5Gの実験を行なうことを発表しており、「ロボットがネットワークにつながる社会に向け、どのようなネットワークが必要かを探りたい」とのこと。
デンソーは小型ロボットアーム「COBOTTA」を展示、ボールペンの工場を模した環境で来場者はタブレットで自分好みにカスタマイズした3色ボールペンを作成できる。COBOTTAは”人協働ロボット”として人と作業することを想定したロボットで、製造現場だけでなく試験管を使う医療薬の実験などの使い方も想定している。すでに受注開始しているが、ファーウェイとはクラウドまでの通信に5Gを使うことで可能性の広がりを見たいとのことだった。
VRのコンテンツも5Gのネットワークで
クラウドから配信
写真でのレポートが難しいVRだが、X Labsに展示していたNoitomの宇宙空間ミックスリアリティ「Alice Space」は、スペースシャトルに乗って月に到着し、スペースシャトルから降りて宇宙を見渡すという一連のVR体験ができる。
それまではリュックサックのように5~6kgあるコンピューターを背負う必要があったが、5Gを利用することでクラウドの処理能力を利用できるように。背中に背負うのはバッテリーのみ。Alice Spaceでは博物館など教育用途での利用を想定しているという。
ファーウェイは5Gのユースケースとして高い潜在性のある分野として、VR/AR、ドローン、スマートシティー、コネクテッドカー、スマート製造、コネクテッドエネルギー、eヘルス、ホームエンターテイメント、ソーシャルネットワーク、パーソナルAIアシスタントの10ジャンルを選んでいる。
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