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プロゲーミングチーム「DeToNator」を交えたPCトーク

プロゲーマーの本音炸裂! サイコムとASUSのタッグで新たなゲーミングPCが登場

2018年02月25日 17時00分更新

高リフレッシュレートのディスプレーは60Hzとは違う?
曲面ディスプレーの使い心地は実際どうなのかが気になる

 グラフィックつながりで気になるのがディスプレーの問題だ。PCからの出力ではリフレッシュレートが60Hzとなるのが一般的だが、ゲーミングディスプレーとなると、120Hzや144Hz、さらに上の240Hzなどという製品も登場している。リフレッシュレートが高いディスプレーは、ゲームにどう影響があるのだろうか。

「先ほどのグラフィック性能のフレームレートと同じで、1秒間に表示できる画面数が多くなりますから、そのぶん有利になるのはありますね。効果としてはフレームレートと同じで、60Hzよりも120Hzの方が表示される情報が増えますし、操作への反応速度も速くなります」(siorin氏)

「それ以上に体感できるのが、画面の動きが非常に滑らかになることです。残像感が少なくて目が痛くならず、画面酔いも少なくなって体への負担がものすごく減るんですよ。一度120Hz以上のディスプレーを使ってしまうと、60Hzには戻れません。ゲーミングディスプレーを名乗るのであれば、少なくとも120Hzが基本で、これ以上出て欲しいです」(江尻氏)

 そこまで変わるのかと疑問に思うのであれば、試しに今使っているディスプレーを30Hzに落としてみると分かりやすいだろう。マウスのカーソルの動きすらガタガタとなり、やたらと表示が遅く見えるはずだ。さすがにこれは極端な例だが、これと似たようなことが60Hzと120Hz以上の場合にも起こると考えれば間違いない。

240Hzに対応したディスプレー「ROG Strix XG258Q」。ASUSのゲーミングディスプレーにはこういった高リフレッシュレートモデルが数多く用意されている

 「スマホのゲームもやるのですが基本的に30fpsや60fps、つまり高くても60Hz相当くらいしか出ていません。PCのゲームを120Hz以上で表示することに慣れてしまうと、あまりの遅さに“もっと出ないかな……”と思っちゃいますね」(YamatoN氏)

 なお、いくらディスプレーのリフレッシュレートが120Hz以上あっても、グラフィック性能が低ければその恩恵にはあずかれない。フルに活用したければ、120fps以上出せるグラフィック性能のあるPCが必要だ。

 ディスプレーでもうひとつ気になるのが、サイズの問題。普通にPCを使うのであれば画面は大きいほど見やすくなるだけに、大きなサイズのディスプレーがいいのかと思っていたのだが、実は、24インチを大きく超えるサイズになると逆に使いにくいという。

 「大きいディスプレーだとそのぶん広範囲を見なくてはならなくなるため、とくに外周に近くなるほど見落としが多くなりやすいんです。さらにいうと、照準を合わせるときにはディスプレーに顔をグッと近づけ、着弾点を見ながらドット単位で補正して相手を打つわけです。すると大きな画面ではさらに見える範囲が狭くなってしまって、使いにくいんですよね」(YamatoN氏)

 「ディスプレーに近づいても顔を動かせば端もちゃんと見えますが、その動きで画面の反応に遅れてしまうこともあります。もちろんディスプレーが小さければ見づらいのも確かですが、かといって、大きければいいというわけでもないんです」(siorin氏)

 なお、解像度について聞いてみたところ、フルHD(1920×1080ドット)が一般的とのこと。海外のプレーヤーの中ではWQHD(2560×1440ドット)でプレイしている人もちらほらいるとのことだが、多くはフルHDのようだ。ちなみに4K(3840×2160ドット)環境はどうなのかと聞いてみたところ、4Kを高フレームレートで表示できるPCを用意するのがなかなか難しいとのこと。配信なしであればあるいは……との話だった。現状、ゲーミングディスプレーを選ぶのであれば、120Hz以上のリフレッシュレートに対応し、フルHDで24インチ前後の製品を選ぶ、というのが正解だといえそうだ。

 なお、曲面ディスプレーについても聞いてみたのだが、こちらは“意外とアリ”とのこと。YamatoN氏がヨーロッパ遠征に行ったときに使ったところ、最初こそ違和感があって使いにくく感じたものの、顔をディスプレーに近づけたときでも周囲が見やすく、慣れてくると快適に感じたとのことだ。

CPUの性能は配信時に実感できる!
高画質配信には必須ともいえるCore i7-8700K

 ゲームにディスプレーやグラフィック性能が重要というのは理解できたが、では、CPUはどうなのだろうか。実は普通にプレイするぶんにはそれほど高い性能は必要ない場合も多い。ゲームのベンチマークテストなどではCPU性能の差が出にくいものもあるし、実際のゲームでも、プレイに影響が出るレベルでの差は感じにくいことが多くある。

 「ゲームをプレイするだけならCPU性能は高くなくてもいいことが多いのですが、一番差が感じられるのは実況配信ですね。全体的に配信の画質レベルが高くなってまして、今だとHD画質で60pは当たり前、ビットレートも5000kbps以上じゃないと満足できない、という感じになってきています」(YamatoN氏)

 実況配信は、プレイ中の画面をキャプチャーして動画にエンコード、そのデータを配信サーバーへと送信するといった処理がリアルタイムで必要となる。画質が高くなればなるほどデータが重たくなるため、エンコードに必要なCPUパワーが増大するわけだ。サブカメラで実況者の様子なども合成するのであれば、負荷はさらに大きくなる。

 「配信の画質を下げてしまえば見てもらえなくなりますし、かといって、配信の画質を上げてもゲームのプレイに影響が出てしまうようでは本末転倒です。Core i7-8700Kでコア数が6つに増え、大幅に性能がアップしてくれたおかげで、以前だったら実況配信時に画質設定を落とさなければ難しかったタイトルも、妥協することなくプレイできるようになりました。とくにPUBGみたいにフレームレートや画質が勝利に大きく影響するタイトルではメリットが大きいですね」(YamatoN氏)

実際にYamatoN氏のTwitchでの配信で詳細情報を見てみたところ、「ビデオ解像度:1280×720」「FPS:60」「再生スピード:7019Kbps」となっており、かなり高画質での配信となっていた

 昨年のRyzen登場あたりからトレンドとなったコア数の増加が、ゲーム配信にとって、かなりの追い風になっているようだ。ちなみにYamatoN氏がCore i7-8700K搭載PCにしてから実況配信の画質を上げたところ、視聴者からも画面がキレイになって見やすくなったというメッセージが届いたという。実況配信がキレイに見えるようになれば細部もわかり、どうしてそういったプレイをしたのかが理解しやすくなる。より臨場感が伝わりやすくなって、実況配信がさらに楽しめるようになるわけだ。

ディスプレー以外の周辺機器で気になるのがルーター
ネットワーク周りの安定化がゲームにも影響

 PC本体とディスプレー以外でゲームプレイに影響するものといえばキーボードやマウスなどの入力デバイスがあるが、これらは個人の好みもあるため、なかなか“コレだ!”というものを見つけるのが難しい。これに対し、誰もが使いながらもあまり注目されない周辺機器もある。それがネットワーク性能を左右するルーターだ。

 ブラウザーを使うくらいであれば多少遅延や途切れがあっても大丈夫だが、ゲームではわずかな差が勝敗に影響するため、ネットワークの速さや遅延の少なさ、安定性などが非常に重要になってくる。

 「ASUSには“ゲーミングルーター”がありまして、数多くのゲーム用設定を搭載しています。例えばこのPCゲームなら何番、PS4のこのタイトルなら何番といったように、機器やゲームよって得意なポート番号というのがあるのですが、この得意なポート番号を優先的に使うといった機能があります。これ以外にも、ゲームサーバーまでの経路を最適化したり、ゲームの通信を優先するQoS設定がありますね」(ASUS佐藤氏)

2Gbpsを超える無線LANと大きなアンテナによる通信の安定性が魅力のゲーミングルーター「RT-AC88U」。ゲームに最適化された各種機能が搭載されている。無線LANだけでなく、有線LAN利用時にもゲーム機能は利用可能だ

 “ゲーミングルーター”と名乗るだけあって、機器だけでなく、タイトルによっても最適化しているというのがすさまじい。これらの機能は有線・無線関係なく使えるものなので、すべての環境で影響がある部分だ。

 「ルーターはある程度起動していると少しずつ遅くなってしまったりするのですが、これに対応するため、リブートスケジューラー機能というのがあります。指定した時間に自動で再起動するものなのですが、これを使うことで、意識することなく常に最適な状態で使えるようになります」(ASUS佐藤氏)

 YamatoN氏もネットワークの安定性はものすごく気にしているとのこと。サーバーとの遅延が大きくなればゲームで不利になるどころか、最悪、サーバーから切断されてしまう。さらに実況配信もやるのであれば、通信の高速性や安定性は何よりも重要だ。

 サイコムとASUSが組むことで、PC単体の性能はもちろん、ディスプレーやルーターといったゲームに影響がある周辺機器まで揃えられるというのが強みといえるだろう。

ASUSといえばライトアップ機能の「Aura Sync」も特徴のひとつ
ゲーマーから見たライトアップPCってどう?

 ゲーミングPCを中心に支持が高まりつつあるのが、ライトアップ機能。見た目を美しく、そして派手に飾れるもので、とくにPCの外観にこだわる人達にウケている。ただし、PCの性能には全く影響がないだけに、プロゲーマーの目からはライトアップ機能というのはどういう風に映るのだろうか。

 「好みもあるので個人的な意見になってしまいますが、むしろ光って欲しいくらいです。自分のPCをカッコよくしたいですし、配信なんかで見せられたら楽しいですよね。ゲーム中、光りがジャマに感じるのであればオフにもできますから、問題ないです」(siorin氏)

 「“C4 LAN”のようなPCを持ち込めるゲームイベントなどもありますし、そういうのに持ち込むのも面白いですよね。ゲームを楽しむだけでなく、PCそのものを自慢できます」(YamatoN氏)

 サイコムでも以前からRGBテープを使ったライトアップPCは提供してきていたが、これに加え各種ファンやメモリーなどをライトアップ化したAura Sync活用モデルを準備中とのことで、これはかなり期待できそうだ。同社公式ツイッターアカウントでも検証中モデルの動画が見られるので、気になる人はチェックしてみて欲しい。

今注目しているゲームは何?
プロゲーマー2人の気になるゲームはコレだ!

 座談会の最後に、今気になっているゲームを教えてもらえたので紹介しておこう。

 siorin氏が気になっているというのが、今年発売予定の「Artifact」。「Defense of the Ancients 2」のキャラクターを使ったカードゲームで、世界的に競技ゲームとして流行りそうだとのこと。回線の遅さなども気にならないので、世界中のプレーヤーと勝負ができること、FPSなどとは違った頭脳戦が楽しめることが魅力となりそうだ。

 YamatoN氏が気になっているゲームは、「BATTALION 1944」。バトルロイヤル系などカジュアル寄りのゲームに人気が集まる中で、ガチのコアゲーマーがコアゲーマー向けに作ったFPSだ。「Call of Duty」の競技的な部分をリスペクトしたもので、純粋なプレイヤースキルを重視したゲームとなる。流行るかどうかはともかくとして、こういったコアゲーマーが作ったゲームが一般に受け入れられるのかが気になっているとのこと。現在、Steamの早期アクセスゲームとして公開されているので、気になる人はチェックしてみて欲しい。

DeToNatorコラボモデル「G-Master Spear Z370AS-DTN」をチェック

 サイコムとASUSによるDeToNatorコラボモデル「G-Master Spear Z370AS-DTN」が借りられたので、実機で詳細を見ていこう。

 このPCは、マザーボードに「ROG STRIX Z370-F GAMING」、グラフィックボードにGeForce GTX 1070 Ti採用の「CERBERUS-GTX1070TI-A8G」を搭載したゲーミングPC。CPUはCore i7-8700Kを採用しているので、ゲームの実況配信にも強いというのが特徴だ。CPUの冷却は大型サイドフローの「CoolerMaster Hyper 212EVO」で、空冷ながらも静かに、そして強力に冷やしてくれる。Core i7-8700Kは6コアCPUとなるだけに、この冷却性能が重要だ。

大型のCPUクーラーで強力に冷却できるだけでなく、熱風が素早く排出されるよう、ほぼ同じ高さにケースファンも装着されている

 グラフィックに採用されているGeForce GTX 1070 Tiは、フルHD(1920×1080ドット)であればほとんどのゲームが快適にプレイできるだけの実力がある高性能モデル。しかも、GPUの温度が55度以下であればファンが停止するため、低負荷時の静音性に優れているのもポイントだ。

GeForce GTX 1070 Tiを採用し、大き目なファンを2つ搭載したグラフィックボード。55度以下ならファンの回転数が停止する静音モードを備える

 電源は余裕のある750W出力、しかも80PLUS GOLD認証を取得しているSilverStoneの「SST-ST75F-GS V2」を採用。電力の変換効率が高いため、電源からの発熱が少ないというのが特徴だ。また、低負荷時はファンの回転数が最低限に抑えられるため、騒音も小さいというメリットがある。ケーブルは必要なものだけを装着できるモジュラー式。不要なケーブルがないことと、裏面配線を多用したサイコムの組み立てにより、ケース内がスッキリとしている。

電源はSilverStoneの「SST-ST75F-GS V2」。モジュラー式なうえサイズが小型なので、750Wという大容量とは思えないほど圧迫感がない

 さて、実際どのくらいの実力があるのか、定番のベンチマークソフトを使って調べてみよう。まずはCPUの性能を調べる「CINEBENCH R15」から。これはCGレンダリング速度でCPUの性能を測るベンチマークソフトで、独自のスコア「cb」の値として性能を算出してくれる。スコアが高いほど高性能となる。

CPU性能を測るのに使われる定番ベンチマークソフトの「CINEBENCH R15」。スコアが高いほど性能が高い。CPUに関しては、すべてのコアを使う「CPU」と、1つだけを使う「CPU(Single Core)」の2つの値が測れる

 CPUのスコアは1422cb。環境が違うので正確な比較ではないが、Core i7-7700Kを使ったPCでのスコアは970cb前後となるため、単純に1.5倍近くも高速化しているというのがわかる。コア数が4つから6つに増えているだけあって、大幅な性能向上だ。これだけの性能があれば、実況配信で高画質設定にしてもCPU性能に余裕があり、ゲームプレイに影響が少ないという話も納得できる。

 続いてゲーミング性能を見てみよう。まずは定番の「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」から。動作はやや軽めのゲームとなるが、解像度はフルHD(1920×1080ドット)、画質は「最高品質」、フルスクリーンモードと、テスト内容は重めにしてある。

ゲーミングベンチとして定番の「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」。スコア3500以上で「快適」、7000以上で「非常に快適」となる

 結果は当然ながら、「非常に快適」。スコアは16070とかなり高く、動作にかなり余裕がある状態だ。このクラスのゲームであれば、快適にプレイしながら高画質配信をしても問題ないといえるだろう。ちなみに「レポート出力」で詳細を見てみると、平均フレームレートは「110.944」となっていた。これだけのフレームレートが出ているなら、120Hz以上のゲーミングディスプレーを使った滑らかな表示が期待できる。

 もうひとつ、今度は重たいベンチマークの例として「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を試してみよう。FF14と比べ非常に重たいベンチマークとなるため、解像度はフルHD(1920×1080ドット)、画質は「標準品質」、フルスクリーンモードでテストしてみた。

同じFFとはいえ、かなり重たいテストとなるのが「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」。こちらはスコアが6000以上で「快適」、12000以上で「非常に快適」となる

 GeForce GTX 1070 Tiを搭載しているだけあってスコアは9971、評価は「とても快適」となった。スコアが12000を超えると「非常に快適」になるのだが、FF15ベンチが重たいため、さすがにここまでのスコアを出せるゲーミングPCがほとんどない。とはいえ、評価で「とても快適」となっているのは性能的に余裕がある証拠なので、試しに画質を「高品質」にしてみたところスコアは7206、評価は「快適」という結果で、高品質設定でもフルHDで問題なくプレイできるレベルだった。さらなる高性能を望むなら、ASUSのユーティリティソフト「GPU Tweak II」を使ってオーバークロックにチャレンジするというのもアリだろう。

 「G-Master Spear Z370AS-DTN」はハイスペックなDeToNatorモデルというだけあって、しっかりとした基本構成と十分な冷却性能、そして実況配信をしても多くのゲームが快適に動作する性能を備えているのは間違いない。ストレスなくゲームが楽しめるPCが欲しいのであれば、検討候補の1つに入れておきたい製品だ。

3月4日に「Nagoya eSports Festival Vol.0」が開催

 プロゲーミングチームDeToNatorが参加するeスポーツイベント、「Nagoya eSports Festival Vol.0」が3月4日、名古屋・テレピアホールにて開催される。サイコムも協賛しているゲーム参加型のイベントで、「WinningEleven 2018」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」、「Alliance of Valiant Arms」といったタイトルの紹介だけでなく、スペシャルトークショーも用意されるなど、濃い内容のイベントとなっている。入場無料。プロゲーマーと間近に接する機会は少ないだけに、気になるのであればぜひ参加してほしい。遠くて行けないという人でも、当日TwitchやYouTube Liveで配信があるので、そちらでじっくりと楽しめるはずだ。

 提供:サイコム

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