第7回 豊洲の港から presents グローバルオープンイノベーションコンテスト
大量の非定型文書をAIで一括読み取り NTTデータのベンチャーコンテスト東京選考会開催
残間賞はデータサイエンスツール、在庫管理支援、国際物流業務支援の3サービスが獲得
ZAMMA AWARDは、MoBagel Inc. CEO&Co-founderのAdms Chung氏と株式会社ZAICOの田村壽英氏、株式会社Shippio(旧サークルイン株式会社)の代表佐藤孝徳氏の3社が獲得した。
MoBagel Inc.はシンプルなデータサイエンスツール「Decanter」を紹介してくれた。
「ご存知の通り、ビックデータの時代がやってきたのですが、データの量に対して、データサイエンティストの量が不足しているという状況です。そこで、AIを活用して売り上げを向上しようというのが「Decanter」です」(Adms Chung氏)
従来よりも短期間で簡単にデータとモデルをマッチさせ、AIの効果を得ることが可能。しかも、AIのアルゴリズムは1つではなく、130種類以上から自由に選ぶことができ、データサイエンティストなしに自分で使えるのが特徴だ。
「業績も好調で、前年比4倍の成長を続けています。これまでに300万ドルを調達しました。現在、シリーズAの準備中です」(Adms Chung氏)
株式会社ZAICOが手がけるのはクラウド在庫管理サービス「ZAICO」で、「在庫管理から始まるB2B取引革命」というテーマで紹介してくれた。
「ルーツは、山形県にある実家が経営する倉庫業の倉庫です。お恥ずかしいことに、当時、何が何個どこにあるのか誰も把握しておらず、倒産の危機に直面していました。そこで、在庫管理ソフトを買ってきたのですが、操作が難しいうえ、広い倉庫で毎回PCの前に戻ってくるというのが大変でした。それならば、ちょうどいいものを作ろうと考えてZAICOを作りました」(田村氏)
こだわったのは、今日入った作業員でも使えるように簡単なUIにすること、そして広い倉庫のどこでもオンラインで使えるということの2点。現在、ユーザー数は5万5000人、集まった物品データは400万件集まっており、英語版のアプリがアメリカや中国、ハンガリーなどで利用されているという。
ZAICOは単に在庫データを記録できるだけでなく、ユーザー同士のデータをつなげて取引ができる仕組みも用意している。たとえば、タイの工場が日本から部品を購入する場合は、リードタイムが長かったり輸送費が高かったり、そもそも輸入手続きが面倒なので大量に仕入れることになる。もちろんこれは過剰在庫につながってしまう。しかし、実はバンコクにその部品を扱っている会社があれば、そこから買えばいいというわけだ。
在庫が最適化されれば、減った在庫の分のキャッシュをほかのことに使えるし、将来的にはマッチングした会社の与信や同じ方面に物品を贈る際の最適化、動産保険のシームレス化なども視野に入れているという。
株式会社Shippioの代表佐藤孝徳氏。手掛けるのは国際物流事業者や輸出入事業者向けのクラウド業務支援ツール「shippio(シッピオ)」だ。
国際物流の現場では、30年間、今も変わらず電話やメール、ファックスが使われており、エクセルベタ打ちで請求書を管理したり、業務日誌で貨物を管理しているという。そのため、業務の属人化やヒューマンエラーの発生、人的コストの増大といった問題が起きている。
「国際物流は荷主がいて、船とか倉庫を持っているロジスティックスプロバイダーがいて、真ん中にフォワーダーがいます。ここが船のブッキングや倉庫を手配しているので、なるべくオートメーションしていきましょうと考えています」(佐藤氏)
輸出しようとすると、最低7~9種類の書類を作成する必要があるという。今はバリバリ手打ちで作っているところ、Shippioでは画像認識と機械学習で書類を自動生成できるので、業務によっては作業時間が80%も削減できたそう。
2017年夏にオープンベータをリリースしており、事前登録者数を合わせると90社くらいから引き合いがあるという。その中の10%くらいのところと話が進んでいるそう。正式版は2017年10月5日にリリースされた。
今回、優勝したCinnamonの平野未来氏は、3月22日に開催されるグランドフィナーレに招待される。そこで世界15都市から選ばれたスタートアップのピッチイベントが行なわれ、世界のグランプリが選ばれる。グランプリ企業には、サポートチームが組成され、支援が受けられることになっている。フィナーレでも熱いプレゼンを期待したい。
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