VAIO Zのノウハウを活かしたチューニング
同じCPUでもパフォーマンスには差が出る
2018年春のリファインで手が入ったのは基本的に「CPUまわり」である。
これまではインテル 第7世代 Core プロセッサーを採用していたが、それらに加え最新のインテル 第8世代 Core プロセッサーを搭載したモデルを追加した。具体的には、Core i7-8550U(1.8GHz、TB時最大4GHz)とCore i5-8250U(1.6GHz、TB時最大3.4GHz)の2つのプロセッサーが新たに選択できる。
ただ、単に最新プロセッサーを採用したというだけなら、ほかのメーカーでもやっていること。注目したいのがより高い性能を引き出すべく、独自のチューニング『VAIO TruePerformance』を施した点だ。これにより、同じCPUを搭載したマシンより、さらに高性能を発揮できる。
独自のチューニングとは、インテル ターボ・ブースト・テクノロジー 2.0に対応するための電源強化と、CPUパッケージのパワーのリミット値の調整だ。パフォーマンスを上げれば発熱も上がるが、放熱用のヒートパイプを太くして熱輸送力を従来より33%向上させ、放熱用フィンの素材を銅に変えて熱交換率も10%向上させている。さらにファンの回転数テーブルのチューニングも施し、放熱力を向上させた。
これにより、通常アイドル時に負荷がかかる作業が発生すると、一旦システムの放熱能力を考慮しない最大の電力レベルで短期間動作することで、パフォーマンスを最大限に向上。ただ、そのままだと温度が上昇してしまうため、持続可能なパフォーマンスに落ち着くことになる。そのとき、通常よりは若干高めのパフォーマンスで維持できるようにチューニングされているのだ。
パフォーマンスを高い状態で長く維持できれば、その分処理能力が上がるので、VAIO Pro PF/PGのインテル第8世代プロセッサーモデルは、より高性能を発揮できる。
このVAIO TruePerfomanceにより、より高性能を発揮できる反面、その分電力を消費するため、そのままの状態だとバッテリー駆動時間の影響を受ける。PGで約30分、PFで約1時間駆動時間が短くなる。そのため「VAIOの設定」ツールで、VAIO TruePerfomanceのオン/オフを切り替えられるようになっている。エンコードやRAW現像など負荷のかかる処理をしたいときはオンに、ネット閲覧など負荷のかからない作業のときは、オフにして使い分ければ、バッテリー消費を抑えられるだろう。
ほかに、第7世代からの変更点として、メインメモリーの転送速度が1866MT/sから2133MT/sにアップ。重量は、サーマル部品の追加により約10gアップしている。Core i7-8550Uを搭載したVAIO Pro PGでCPU性能を測る『CINEBENCH R15』を実施してみた結果は以下の通り。VAIO TruePerfomanceのオン/オフだけで、1.14倍程度違う。ベンチの動作を見ていると、あきらかにその差がわかるぐらいの違いが分かる。
個人向けのS11/S13には、すべて真っ黒な特別モデルも
今回、VAIOらしい特別モデルも用意されている。『ALL BLACK EDITION』と名付けられたモデルは、通常シルバーとなるロゴとヒンジ部分の金具が黒色に塗られたものだ。パッケージもオールブラックというこだわりよう。クリーニングクロスももちろんブラックだ。第8世代インテル Core i7プロセッサー搭載モデルのみ用意され、法人向けのPF/PGはなくS11/S13のみの販売となっている。
価格はVAIO Pro PF/PGともに、15万6800円(税別)より。ALL BLACK EDITIONのVAIO S11/S13カスタマイズモデルが22万5800円(税別)より(いずれもVAIOストア価格)、VAIOオリジナルSIMバンドルパッケージ(VAIOストアパソコン3年安心サポート付属)となっている。
次回は、従来モデルとの性能比較を含めて、第8世代モデルの使用レポートをお届けする。
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