週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

チュートリアルとbotでSlackカルチャーを全社に拡げたコネヒト

エンジニアもママたちも、こうしてSlackのヘビーユーザーになった

その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第16回は、日本最大級のママ向けWebサイト「ママリ」を展開するコネヒト。エンジニアのみならず、ママさんたちも含めて全社ぐるみで利用しているSlackについてコネヒトCTOの島田 達朗氏に聞いた。

コネヒトCTO 島田 達朗氏

ママといっしょにプロダクトを作るため、Slackに巻き込む

 スタートアップに圧倒的な認知度を誇るコミュニケーションツールSlack。とかく開発者向けと言われてきたSlackだが、先日日本進出も発表され、働き方改革に貢献するビジネスクラウドとしても注目を集めている。日本最大級のママ向けのWebサイト「ママリ」を展開するコネヒトも、Slackが社内カルチャーとして浸透している会社のうちの1つだ。

 妊活・妊娠・出産・子育ての疑問や悩みを解決すべく、メディアとQ&Aコミュニティを提供するママリ。アクティブユーザーは約600万ユーザーを数えており、月間閲覧数も約1億回にのぼる。「年間でだいたい100万人くらい新生児が産まれているのですが、そのうち6人に1人がママリのアプリでお子様情報を入れてくれています。インスタグラムのハッシュタグで「#ママリ」は360万件を超える投稿があり「#ママ」より多いくらいママの生活に浸透しています」(コネヒトCTO 島田達朗氏)とのことで、ママたちの認知度は圧倒的に高い。

 この競争優位性は、スマホの普及にあわせ、先んじてサービスを開始してきた先行者利益だけではなく、ママたちといっしょにサービスを作ってきたという点が大きいという。「ママリのユーザーさんが入社してくれるパターンもある。だから、ママさんといっしょに、ユーザー目線のプロダクトを作る体制が整っている」と島田氏は指摘する。そして、こうした社内コミュニケーションで活用されているのがSlackだ。

 正社員ベースで3人に1人がエンジニアというコネヒトでは、Slackがヘビーに利用されている。開発現場コード運用やデプロイなども、GitHubとSlackの統合によって実現されており、障害や性能面でのアラートもSlackに通知される。「先日、Slackがダウンしたときは、さすがに仕事にならなかった」(島田氏)という依存度だ。

ママたちにSlackを使ってもらうコツとは?

 とはいえ、ここまではスタートアップでよくある開発現場だが、コネヒトではライターのママも含めた全社員でSlackでのコミュニケーションを前提としている。たとえば「ママリボイス」は、ママリユーザーの喜びの声をSNSから拾い、社員のモチベーションを上げるスレッド。「『ママリがあったから安心して出産できた』とか、『陣痛が来たときにもすぐに回答が戻ってきた』とか、『応援メッセージがいっぱい来て涙があふれました』みたいなコメントを見ると社員も社会的な意義を感じます」(島田氏)。また、「Questions」は全社全員でオープンに意見を交換できるというスレッド。役職に縛られないフラットな組織構造を持つがゆえに、Slackによる情報共有がうまく活きているという。

 エンジニア以外のママたちがきちんとSlackを使いこなせている背景は2つあるという。まずは入社時のチュートリアル。「やはり『前職でSlack使ってました』というママさんはほとんどいないので(笑)、使い方はきちんとレクチャーしています」(島田氏)。

 そして、もう1つは「Slack=楽しい」という仕掛けをいくつも配置していること。Slackのあちこちに配置されているbotはその最たる例だ。「楽しければ、ほかのメンバーにも話しますよね。そうやって拡がっているので、今のところママさんたちがSlackが怖くて使えないという話を聞かないです」と島田氏は語る。

 たとえば、コネヒトでは弁当屋のランチメニューを自動投稿し、Slackのリアクションを付けた人数を集計するボットを使っている。こうしたbotはJavaScriptに長けたエンジニアが社内の声を聞きつつ作ったもの。「もともとは管理部のメンバーが注文する人を手動で集計していたのですが、やっぱり手間ですよね。大変そうなメンバーを見たエンジニアがbotを作って、デプロイして、いつの間にか便利になっている(笑)」(島田氏)とのことで、Slackbotによる業務改善が勝手に進んでいるという。

Slackbotを使った弁当の集計サービス(コネヒト提供)

 「うちのメンバーは役割が違うだけで、『ママの一歩を支える』という目標は共通している。だから、隣のメンバーが困っていたら、テクノロジーでそれを解決するのは当たり前」と語る島田氏。「誰かを助けるプロダクトを作る」という社内カルチャーで、ツールの障壁をあっさりと超えたようだ。

会社概要

コネヒトは日本最大級のママ向けアプリ「ママリ」を運営しています。月間閲覧数1億回以上、月間投稿数150万件以上、2016年に出産した女性の6人に1人が会員登録をしています。 育児の不安から保育園選び、再就職、ママ友との関係まで「今のママが抱える悩みごと」が集まり、Q&Aを通してユーザー同士で支え合い解決する場となっています。

■関連サイト


この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事