各メーカーが最新モデルをいち早く発表する場が毎年2月にバルセロナで開催される「Mobile World Congress」(MWC)です。ところが2017年のMWCではノキアの「3310(2017)」が話題になりました。過去のベストセラーだったフィーチャーフォンのリバイバル版で、懐かしさからMWCのノキアブースはスマートフォン再参入となる「Nokia 6」などの展示よりも賑わっていました。
3310が人気すぎてソックリさん多発!
この3310人気にあやかろうと、一部のメーカーから3310モドキや、昔のノキア機に似せた端末がちらほらと登場しています。2017年に2Gが停波した台湾では、3G版のそっくりモデルが売られるなど、ここ数年忘れ去られていたノキアのフィーチャーフォンを思い起こさせる動きが活発化しています。
中国ではノキア3310に対して「3410」と言った派生モデルも登場。見た目はオリジナルには似ていませんが、3310より高機能をウリにしたいのでしょうか。むしろ最近見かけた「2300モドキ」はなかなかのデキ栄え。オリジナルの2300は低機能フィーチャーフォンながらも透明の2色のパーツを組み合わせた数字キーのデザインがオシャレでした。2017年登場のモドキ製品はそれを忠実に表しています。
ノキアに限らず他社のフィーチャーフォンのリバイバルモデルが出てきてもいいのでしょうが、iPhone登場以前は世界中の携帯電話のほぼ半数がノキアでした。低価格端末でも数多く売れた製品はノキアだっただけに、使っていなかった人でも今になって3310を見かければ「あ、見たことある」と昔を思い出すはず。お店に売っていればついつい手を伸ばしてしまうでしょう。
中国製の3310モドキ品たちは世界中に輸出されているようですが、母国の中国では人気はさっぱり。というのもSNSが使えないからです。今の中国では音声通話とショートメッセージ(SMS)しか使えないフィーチャーフォンでは日常生活を送ることができません。WeChatなどSNSが使え、さらにモバイルペイメントが利用できない端末には、コピー品であっても数千円も払えないのです。まだ怪しいノーブランドで同じくらいの価格のスマートフォンを買ったほうが便利でしょう。
使えないなら使えるようにしちゃえ!的な発想でさらに進化
ところが、このままで引き下がらないのが中国メーカーです。ノキア3310のデザインに人気があることはわかっているけど、SNSが使えなくては売れない。ならばSNSを動くようにしちゃえってことで、オリジナルよりも高性能な3310を作り上げてしまいました。
オリジナルの3310は当初GSMのみ対応の2G版が発売になり、その後は秋になってデザインはそのままで3G版が投入されました。3G版は高速通信が可能なことから簡易ながらもFacebookなど一部のSNSが利用できます。
ところが中国メーカー製の独自進化した3310は、通信方式がLTEに対応、オリジナルを超える4Gを搭載しているのです。しかもOSはAndroidがそのまま搭載されています。
残念ながら画面は非タッチでテンキー操作が基本となりますが、好きなアプリを入れて普通にスマートフォンとして使えてしまうのです。もちろんSNSは使えますし、WeChatPayやAlipayなどのモバイルペイメントにも対応します。
ノキアは低価格なスマートフォンとして99ドルの「Nokia 2」を2017年冬に発売しました。もしかするとその下にさらに低価格な「Nokia 1」を出すかもしれません。しかし、ただ安いスマートフォンはいくらでもあります。しかもノキアの今のスマートフォンのデザインは他社品とあまり変わりません。そうなると、むしろ「昔のノキアのケータイなのに、中身がスマホでLTE」という、これらの非正規品のほうに人気が集まりそうです。
見た目フィーチャーフォンで中身がスマートフォンの端末が売れるようになれば、この流れは他の端末のリバイバルにも結び付くかも。折しもノキアからQWERTYキーボード搭載端末の復活の噂話が出ていますが、中国の無名メーカーがAndroidを乗せて先に製品化しちゃうかもしれません。もちろんLTE対応でしょうから、技適を通して日本で売ってほしいですね。
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