パナソニックは12月15日、「顔認証ゲート」の説明会を開催しました。すでに羽田空港ではこの顔認証ゲートが稼働しており、海外から帰国した日本人であれば実際に利用できるとのこと。その詳細を聞いてきました。
iPhone Xでも話題の顔認証が実社会に導入
顔認証は、Galaxy S8やiPhone Xといった最新スマホにも採用され、急速に認知度が高まっています。その最新技術が、出入国管理という高いセキュリティが求められる場面に採用されたことには驚きを感じます。
しかも事前に顔の登録が必要というわけでもなく、パスポートのICチップに保存されている顔写真データを利用して、そのまま顔認証ができるというのです。
羽田から帰国したとき、まずは顔認証ゲートに向かい、自分の番が来たらパスポートリーダーにパスポートを置きます。米国にもこうした読み取り機はありますが、たいてい精度が悪くなかなか成功しません。しかしパナソニック製のリーダーはどちら向きにも対応し、間違った置き方をすると指摘する機能があるなど、かなりの新設計になっています。
実際の顔認証には、ハーフミラーに仕込んだカメラが使われています。詳細な仕様はセキュリティ上の理由で非公開とされましたが、ミラーはディスプレイにもなっており、表示された手順に従っていくだけで認証されます。スムーズに行けば、10秒もかからずに入国できる印象です。
ところで、顔認証といえば気になるのがその精度です。パスポートの有効期間は最大10年なので、10年前の顔写真でも顔認証ができるよう、考慮しているとのこと。その詳細もセキュリティ上の理由で非公開とされましたが、ある程度の変化を許容しなければならない以上、一卵性双生児を見分けるといったシビアな判定は難しいようです。
そもそもパスポートのICチップに保存された顔写真データは、パスポートの顔写真をデジタル化したものに過ぎず、顔認証用に最適化されているわけではありません。将来的に、iPhone Xのような3Dの顔データがICチップに入るようになれば、さらに精度の高い本人確認が実現するでしょう。
日本人を自動化することで、訪日外国人対応を強化
こうした顔認証ゲートを導入する背景には、出入国管理を最適化したいという狙いがあるようです。具体的には、日本人の審査を自動化することで余った入国審査官を、急増する訪日外国人の審査に割り当てるというものです。
日本人の入国審査では、パスポートの有効期限と顔写真を確認し、ページをめくって帰国スタンプを押す機械的な作業であり、自動化しやすいといえます。それに対して外国人の入国では目的や滞在期間を質問するなど、人間が対応する必要があります。
こうした自動化ゲートは多くの国で導入が進んでいますが、まずは自国民を自動化しようという傾向は共通しています。長旅に疲れて飛行機を降りた後、入国審査の長い列に並ぶのは誰もがうんざりする瞬間です。顔認証ゲートはその列をなるべく短くする「おもてなし」として、日本人と外国人の両方にメリットがあります。羽田から帰国する際にはぜひ利用してみたい仕組みです。
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