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紅茶王子、コンビニスイーツ“辛口”レビュー

ローソンの“コンビニゴディバ”がどれだけ「ゴディバ」か超気になる

2017年12月29日 17時00分更新

ローソンゴディバは街のケーキ屋より高価、なのに包装はUchi Cafeの延長線上

 今回試したのはローソン「Uchi Cafe SWEETS GODIVA 濃厚ショコラケーキ(ラズベリーガナッシュ入り)」と「Uchi Cafe SWEETS GODIVA ショコラクッキーサンド(オレンジピール入り)」。140円のエクレアや200円のプリンがならぶUchi Cafeシリーズの中では頭ひとつ抜けて高価で、価格はいずれも400円。これにはちょっと面食らってしまった。

 と言うのも、街のパティスリーのケーキは1ピース250円から350円くらいが相場で、それよりも高い。東京の高級パティスリーやフルーツパーラーだと、ケーキ1ピースで500円や600円のものがそれなりにあるが、いかに“ゴディバコラボ”と言えど、コンビニスイーツがそういうところと勝負できるだろうか? そんな価格設定である。

 ビニール袋のパッケージングが疑念に拍車をかける。少し凝っているとはいえ、雰囲気はUchi Cafeシリーズの延長線上にある感じで、ゴディバの特別感は薄い。袋の中身も普通のUchi Cafeシリーズと変わらない、プラとフィルムだ。そんな一抹の不安を抱えながら、ペリッと袋を開けてみた。

ゴディバの看板を掲げてはいるが、プラ袋の包装などから感じる雰囲気はUchi Cafeとあまり変わらない。うーん……

“濃厚”ショコラケーキならば、もう少し奥深さにこだわってほしい

ガトーショコラをもっとしっとりさせたような食感。中心部はラズベリーが香るが、ソースが入っていたり極端に色が違ったりはしない

 まずは濃厚ショコラケーキから。円形ケーキのサイズは“スプーンで食べるロールケーキ”のクリーム部くらい、と言えば伝わるだろうか。表面にココアパウダーをあしらってあり、真ん中にはゴディバシリーズに共通する金文字入りのビターチョコプレート。見た目は少し凝っている。

 食感はムースよりも固く、ガトーショコラをもっとしっとりとさせたようなもの。この優しさは丁寧に作ってある感じがして好印象だ。加えて甘さは控えめで、安っぽいチョコレートのようにベタッと口の中にまとわりつくような感じがしない。名前にも入っているラズベリーガナッシュは中心70%くらいのエリアにあり、酸味は強くはなく、マスカルポーネチーズのような柔らかさを感じる。そのフレッシュな刺激が華を添える、これはなかなかおもしろい。見た目以上にボリュームもあるので、空腹でなければひとつで割と満足できる。

紅茶と一緒にいただきます。お茶はウェッジウッドの「イングリッシュブレックファスト」

「さすがにゴディバのバッジを付けるだけあって、なかなか凝っているじゃないか」と感心したいところだが、残念ながら僕はこのケーキをあまり手放しでは褒められない。何と言ってもカカオの香りが希薄で、世界のチョコレートブランドを名乗りながら、肝心のチョコレートにコクと奥深さが足りない。これはちょっと痛すぎる。

 特に中央のプレートは、ビターなカカオのコクがまるで活かしきれていない。生地に練り込まれたミルクはまろやかさを与え、チョコレートの嫌な刺激をうまく丸めている。でもそれは濃厚と言えるレベルではない。本当においしいお菓子で感じるミルク感は、このショコラケーキからは感じなかった。

 チョコとミルクはチョコレート菓子の土台であり、それがイマイチなのは致命的だ。僕にとってのお菓子の命は「口当たり」「香り」「味」の3点。これらがどれだけ複雑で豊かなのかが重要で、各要素が別の要素に作用して相乗効果を生んだりすると、ハイレベルなお菓子となる。そんな味覚世界を表現するには土台がしっかりしていることが絶対条件だが、カカオのコクやミルクの濃厚さがもうひとつなこのショコラケーキは土台がグラグラなので、装飾に当たるラズベリーの酸味といった要素がまとまらない。

 評価としては「無難にまとめた感じ」だ。雰囲気は“高級っぽい”、少なくとも安っぽさは無い。が、決して“高級”ではない。「何でこうもカカオが香らないかな?」と首をかしげる、魂が抜け落ちたような感じだ。複雑さや突き抜ける香りの高さなどといった光るものも足りず、“ゴディバらしい高級な落ち着き”は、少なくとも味と香りからは感じられない。

 ゴディバ度30%、これではちょっと厳しいか。同じ値段を出すならば、ゴディバのショップでボンボン・ショコラを一粒買った方が満足度は高い。少なくとも僕は。

味にはあまり深さを感じなかった。袋を開けて出てくるプラ容器も、なんだか雰囲気が無くて残念

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