DeNAはパートナー企業を見つけたい
横浜スポーツタウン構想においては、パートナー企業の発掘・連携が必要。そのための事業が「BAYSTARS Sports Accelerator」なのです。「(企業を)支援すると言うと、おこがましい。既存の概念にとらわれないベンチャー企業を発見したい、見出したい」(岡村社長)。対象事業分野は、「スポーツ観戦体験」「ファン層の拡大&満足度向上」「物販・飲食サービス」などの計6つ。
ところで、ベンチャー企業を支援するプログラムは多数ありますが、その中でBAYSTARS Sports Acceleratorならではメリットはなんでしょうか?
DeNAによれば、資金調達機会はもちろんのこと、横浜DeNAベイスターズが保有する様々なデータ、スポーツ業界でのネットワークそして横浜スタジアムという絶好のアクセスを誇るイベント実証の場などが提供されるといいます。
「真に対等なパートナー」をうたうこのプログラムは、「参加企業数は特定しない。ゼロもありえる」とのことで、参加企業をパートナーと考え、支援期間も特に指定せず、個社ごとに調整するという、柔軟性のある試みになるといいます。2017年12月から応募を開始し、2018年2月からプログラム参加のオファー、そしてプログラムそのものを開始する予定です。
ベンチャーとスポーツの組み合わせは可能性がある
続いて、BAYSTARS Sports Acceleratorの運営協力企業であるiSGSインベストメントワークスの五嶋一人 代表取締役が登壇し、「なぜ新事業の対象がベンチャー企業なのか」について説明しました。
五嶋氏はBAYSTARS Sports Acceleratorについて、「産業を作り、生活にインパクトを与えているのは大企業ではなくベンチャー」と説明します。
日本のベンチャー市場の動向は活況。投資金額と投資件数は右肩上がりで、新規上場する企業も好調といいます。そして、前述した「日本再興戦略2016」にもあるように、スポーツは成長産業といえます。
たとえばプロ野球の市場規模は、1995年時点で見れば、日本のプロ野球とアメリカのメジャーリーグには大きな差がありません。しかし2010年には、3倍以上の差が付いています。逆に言えば、国内のスポーツ産業には「成長余力がある」(五嶋氏)と判断できるというわけです。
また、五嶋氏は「テクノロジーはスポーツビジネスの成長の源泉」といいます。たとえば映像配信・観戦をとっても、高速通信企画の5G活用、ドローンによる撮影、VRによる体験など、新しいテクノロジーの活用場面は多岐にわたります。広告や顧客管理、スタジアム体験の向上なども同様です。そこに日本のスポーツテック・ベンチャーなどが飛躍する可能性があるとDeNAは見ているのです。
海外でも、スポーツビジネス×ベンチャーの組み合わせはトレンドです。たとえばメジャーリーグではロサンゼルス・ドジャースがアクセラレータープログラムを実施していますし、ヨーロッパではサッカークラブがベンチャーキャピタルと手を組んで活動している実績があります。
そして、ベンチャー企業にとっては「横浜」という土地に紐づくのもメリットです。高すぎない賃料でオフィスの面積が確保できますし、企業数や就労者人口も多く、人材が獲得しやすい。鉄道や空港のインフラにも恵まれています。ベンチャー集積地として、日本でもトップクラスのポテンシャルがあるのですね。
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