iPhone X、「新しいもの好き」にはおススメです
自腹購入iPhone Xでわかったアップルの思惑と現状の不満点
2017年11月3日。ついに、アップルから新製品「iPhone X」の発売が開始となりました。2007年に初代iPhoneが発売されてから10周年となることを記念したモデルとなり、カラーバリエーションはシルバーとスペースグレイの2色展開。内蔵ストレージは64GBと256GBの2モデルを用意されており、価格は64GBモデルでは12万1824円で、256GBモデルでは14万184円となります。
初回出荷が2~300万台と品薄が噂され、日本のAppleオンラインストアでも10月27日16時1分の予約開始から6分後には初回出荷分が完売となるなど、発売前から既に人気を集めています。筆者はこの争奪戦に勝利し、無事に発売日に実機を手に入れられたので、ファーストインプレッションをお届けします。
有機ELディスプレーに新SoCで未来のスマホを提示
iPhone Xは、iPhone史上最大となる5.8型のディスプレーを搭載。iPhoneシリーズとしては初となる有機ELディスプレイを採用するため、高いコントラスト比を実現。新たに搭載されたA11 Bionicプロセッサは、4つの効率コアと2つの性能コアで構成されています。
iPhone 7で搭載されたA10 Fusionプロセッサと比較して効率コアでは最大70%高速化し、性能コアでは最大25%の高速化を実現しています。また、多量の処理が必要な場合には効率コアと性能コアを加えた6コアを用いて並列処理させることも可能です。
アップルは、iPhone Xを「未来のiPhoneの姿を提示する存在」として位置づけており、いままでのiPhoneで代々継承されてきたホームボタンを廃止したことも大きな特徴のひとつです。
iPhone Xでは、上部に各種センサーが搭載されている場所を除いて、前面のほぼすべてがディスプレーとなっており、いままでホームボタンを使っていた操作のうちの多くは、広大なディスプレー上でのジェスチャーモーションに割り当てられています。
Face IDはTouch IDより便利だが、ワンテンポ遅い?
アニ文字にはボイスチェンジャーが欲しい
ホームボタン廃止に伴って、これまで採用されてきたTouch IDもiPhone Xでは廃止されています。これに変わる生体認証システムが「Face ID」。その名の通り、顔を用いて認証しますが、ここは流石アップル。
新たに採用したTrueDepthカメラシステムの搭載によって、顔を3万を超えるドットで立体的に認識。本体に触れることなくロックを解除できる上に、誤認識率は約500万分の1と極めて低くなっており、非常にセキュアな生体認証に仕上がっている印象です。
実際に試していると、指紋認証センサーを用いていたTouch IDと異なり、顔ひとつで認証することが可能となるFace IDのメリットをつくづくと感じます。手が濡れていたり、お風呂上がりで指紋がふやけていたとしても問題ないのです。
しかしながら、Face IDは決してメリットばかりではありません。まず、Face IDを用いた認証の速度はTouch IDと比較すると体感で約1.5倍ほどかかっており、やや遅い印象を受けます。顔を立体的にマッピングする認証方式のため、端末と顔の角度もかなりシビアなものとなっています。
顔とディスプレーの間の角度が45度を超えた状態では、Face IDは使えません。その理由はおそらく、単純に先述したTrueDepthカメラシステムが立体的な顔のモデルを構成するのに十分なデータが集まらないからでしょう。
また、一度認証に失敗すると認証の要求が厳しくなるのか、途端に機嫌が悪くなったかのように認証成功率が下がっているような状況となっています。このあたりは、将来的なアップデートで改善されるかとは思いますが、現時点ではちょっと不便な仕様に感じます。
ほかにも、TrueDepthカメラシステムを用いたおもしろい機能がこの「アニ文字」。人間の顔を使ってアニメーションを動かすことができるのが特徴で、口や目の大きさや表情筋の緩み、顔の微妙な傾きまで精密に読み取ってアニメーションに反映してくれます。
アニ文字は、人間の顔を立体的に認識できるセンサーを活かした遊び心ある機能といった印象です。音声も同時に録音することが可能ですが、こちらはボイスチェンジャーなどの機能は非搭載。個人的にはぜひボイスチェンジャー機能をつけてもらいたかったところですが、アップルからすれば「せっかく3Dのアニメーションがあるんだから、モノマネしてやりとりを楽しめ」と言うことなのでしょう。
見た目も操作もすべてが新しくなっているiPhone X
ガジェット好きでも新鮮な気持ちで操作できる
いままでのiPhoneシリーズでは、画面上下からのスワイプでアクセスすることが可能だった通知バーやコントロールパネル。iPhone Xでは、ホームボタンの代わりに画面下部を用いたジェスチャーに代用している影響で画面上部からの操作へと追いやられてしまっています。
左側の角を下にスワイプすると通知バーが、そして右側の角を同様にスワイプするとコントロールパネルが表示されます。iPhone Xでは、これまでのiPhoneと比較しても画面が縦長になっているので、操作に慣れるまではひと苦労するでしょう。
従来のiPhoneシリーズで継承してきたデザインを大幅に変更したiPhone X。発表会で「スマートフォンの未来のカタチ」としたのも納得の設計になっている印象を受けました。iPhoneの象徴とも言えたホームボタンは新たなジェスチャーにすべて置き換わっており、既存のiPhoneユーザーであっても慣れるには多少の時間を有するでしょう。
また、アプリケーションもまだまだ対応途上の状態にあります。サードパーティ製のアプリケーションは各開発者に対応が委ねられますが、発売日時点では「iMovie」などの一部のアップル製アプリケーションや、「ポケモンGO」を始めとする人気のあるアプリであっても、現状ではiPhone Xの画面解像度に対応しておらず、上下に黒帯が表示される状態となっています。
まさしく、次の10年のAppleを象徴させる奇抜なデザインとなったiPhone X。新しいモノが好きな人にとってはマストバイな1台に仕上がっています。
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