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ベンチマークによっては8C/16TのRyzen 7 1800Xすらも喰らう

やっぱり凄かったCoffee Lake-Sの物理6コア、Core i7-8700K&Core i5-8400徹底レビュー

2017年10月05日 22時01分更新

ゲームプレイ&録画&配信で真価を発揮

 そして、今回はOverwatchの裏で配信ツール「Xsplit Broadcaster」を使い、PC上にプレイ動画を保存しながら、Twitchにも配信した場合どうなるかも試してみた。リアルタイム配信にはCPUパワーを使う上に、PCに接続したWebカメラを利用してプレーヤー(筆者)の顔を切り抜きオーバーレイ表示する処理を加えると、6コアCPUでも結構な負荷になる。Twitchへの配信画質はビットレートを2100kbps、録画時の画質は“High”とした。また、顔の切り抜きはクロマキー用の背景を使わずに画像処理的に人物だけ抽出&合成できる“TriDef SmartCam”を利用した。

「Overwatch」(1920×1080ドット)をプレイ中にXsplitで録画&配信を行った際のフレームレート。

「Overwatch」(2560×1440ドット)をプレイ中にXsplitで録画&配信を行なった際のフレームレート。

「OverWatch」(3840×2160ドット)をプレイ中にXsplitで録画&配信を行なった際のフレームレート。

 Xsplitによる処理がない時に比べ、大幅にフレームレートが下がっていることがわかる。特にフルHD時は最高fpsが頭打ちになっていたが、録画&配信を加えただけで一気に100fps前後下がったものもある。これだけではわかりづらいので、Xsplitなしの時の値を100%としたとき、Xsplitによる録画&配信ありの時のフレームレートがどの程度の比率なのかを改めてグラフ化してみた。見やすくするために平均フレームレートだけを比較する。

それぞれの解像度において、Xsplitによる録画&配信の有無が平均フレームレートに及ぼす影響(録画&配信なし=100%とした場合)。

 まず解像度が4Kの場合は、録画&配信なしの時に比べ80~90%にとどまっているのは、GPU側がボトルネックになっているため、CPUの差が出にくいことと一致する。だが、それより下の解像度ではCore i5-7400を除き通常時の50~70%にまで下がってしまう。特に落ち込みが激しいのが6コア/12スレッドのRyzen 5 1600Xで、逆に同じ6コア/12スレッドでもCore i7-8700Kはあまり落ち込んでいない。

 このグラフを見ると唯一Core i5-7400はあまり下落していない優秀なCPUであるように見えるが、そもそもこのCPUの場合は4コア/4スレッドというスペックの低さがボトルネックになってしまい、性能がそもそも出ていないことが原因になっていると推測できる。

 ちなみに、Core i7-8700K及びCore i7-7700K、Ryzen 7 1800X、Ryzen 5 1600XがOverwatch+Xsplitの録画&配信時にどの程度CPUを使っているのか。タスクマネージャーでチェックすると次のようになる。使用率が低ければ低いほど、地力に余裕があるということだ。

Core i7-8700KにおけるOverwatch+Xsplit録画&配信時のCPU使用状況。

Core i7-7700KにおけるOverwatch+Xsplit録画&配信時のCPU使用状況。

Core i7-8400におけるOverwatch+Xsplit録画&配信時のCPU使用状況。

Ryzen 7 1800XにおけるOverwatch+Xsplit録画&配信時のCPU使用状況。

Ryzen 5 1600XにおけるOverwatch+Xsplit録画&配信時のCPU使用状況。

 なお、6コア/6スレッドのCore i5-8400でも全コアを100%使い切るため、Core i5-7400はスルーしている。録画&配信を行なうには4コアCPUでは不足であることがわかる。純粋な使用率で見れば8コア/16スレッドのRyzen 7 1800Xのほうがわずかに余裕を残しているぶん有利と言えそうだが、フレームレートを考えるとCore i7-8700Kのほうが画面描画の滑らかさは損なわれにくい。

 すべてのゲーム配信においてこうだと断言するつもりはないが、少なくともOverwatch+Xsplit録画&配信に関して言えば、物理4コアCPUは卒業すべきときなのかもしれない。

消費電力はコア数が増えたぶん“だけ”高くなっている印象

 さて、ここでシステム全体の消費電力もチェックしてみよう。Core i7-8700KのTDPはCore i7-7700Kよりも高いので消費電力も増えることは十分想定内だが、物理コア増でSkylake-Xがわりと電力食いになったことを考えると、ちょっと不安が残るところだ。

 消費電力のテストはシステム起動10分後を“アイドル時”、「OCCT Perestroika v4.5.1」のCPU Linpackテスト(64ビット、全論理コア&AVX使用)を15分実行した時の安定値を“高負荷時”とした。今回、RyzenとCore i7-7800Xは内蔵GPUを持たないため、このテストではすべてグラフィックボード(GeForce GTX 1080Ti)を装着した状態で比較する。

システム全体の消費電力。

 テストに使ったマザーボードの装備がプラットフォームごとに微妙に異なるため単純な切り分けは難しいが、6コア/12スレッドのCore i7-8700Kは4コア/8スレッドのCore i7-7700Kに対して42Wほど消費電力が増えている。Ryzen 5 1600Xに比べても32W増。高クロック動作にしたことが響いていることは明らかだが、アイドル時の消費電力はこれまで以上に低い。クロックを抑えれば14nm++プロセスの省電力性能はかなり良好と言える。

 

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