Core i7-8700KとCore i3-8350Kが人気出そう
Coffee Lake-S発表、第8世代Coreで6コア超強化Core i7とHTが消えた激ヤバCore i3
どもどもジサトライッペイです。インテルがついにデスクトップPC向けの第8世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Coffee Lake-S)を発表しました。同社は今年1月4日に第7世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Kaby Lake-S)を発表したばかり。わずか10ヵ月弱で新製品を投入した理由は、やはり競合の躍進のせいなのか。果たしてその性能はいかに。
物理コアが2つ増えた第8世代Coreプロセッサー
今回発表されたCoffee Lake-Sは最上位モデル「Core i7-8700K」を筆頭に全6モデル。CeleronやPentiumなどのエントリークラスとハイエンドのCore Xシリーズの真ん中に位置する、いわゆるメインストリームです。その特徴は、最大6コア/12スレッドで型番末尾に“K”が付くオーバークロック向けの倍率ロックフリーモデルを有し、PCI Express 3.0のレーン数は最大で40レーン(チップセットを含む)であるということ。
最大の特徴は第7世代Coreプロセッサーと比べて2コア増えたこと。「Core i7-8700K」と「Core i7-8700」は6コア/12スレッド、「Core i5-8600K」と「Core i5-8400」は6コア/6スレッド、「Core i3-8350K」と「Core i3-8100」は4コア/4スレッドです。ここで注目したいのは「Core i3」のスレッド数。前世代までのCore i3は2コア/4スレッドでしたが、物理コアは2つ増加したもののハイパースレッディング(HT)が非対応になっていることがわかります。
これまではCore i7=最大コアでHTあり&ターボブースト(TB)あり、Core i5=最大コアでHTなし&TBあり、Core i3=最大コア-2コアでHTあり&TBなしという認識でしたが、Core i3=最大コア-2コアでHTなし&TBなしと改めねばなりません。
なぜCore i3のHTはなくなってしまったのか?
では、なぜこのようなルール変更がなされたのでしょう。それはおそらくCore i3の価格付けにあると思います。今回発表されたCore i3-8350Kは168ドル。前世代の「Core i3-7350K」の初出価格は168ドルなので、まったく同じ価格付けがなされていることがわかります。このように、コア数は増えても同じクラスのCPUなので価格は動かしづらいものなのです。
しかし、歴代のCore i3と同じようにHTありで発売してしまうと、TBこそないものの「4コア/8スレッドのCPU」になります。この「4コア/8スレッドのCPU」というポジションは長らくCore i7の特権でしたので、このままでは購買層が歴代のCore i7とだいぶ重なってしまいます。
また、前世代のCore i3-7350KのL3キャッシュは4MBでしたが、今回のCore i3-8350Kは6MBと前世代のCore i5と同等のところまで向上しています。しかもCore i7やCore i5と比べて格安です。つまり、Core i3からHTを抜いた理由は、どうしても変更できない価格付けの都合で、ほかの世代の上位CPUとの食い合いをゆるかにするため、と僕は予想します。
また、Core i7-8700Kも物理コアが増えたことで第8世代Core i3に似た悩みを抱えたように思えます。前世代のCore i7-7700Kの初出価格は339ドル。メインストリームの最上位モデルは最も多く売れるSKUです。Core i7-8700Kは久しぶりの物理コア増で性能も良い。できる限り売り上げを伸ばすために少しでも前世代よりも高く売りたい。ところがどっこい、6コア/12スレッドとなると6月に発表したばかりの上位シリーズ(Skylake-X)の「Core i7-7800X」とコア/スレッド数がかぶります。
Core i7-7800Xの初出価格は389ドル。上位のセグメントよりも高い価格付けはできないので、必然Core i7-8700Kの初出価格は389ドル未満に絞られます。というわけで、Core i7-7700KとCore i7-7800Xの中間をとって359ドルにしたのではないかと思えてならないのです。
Core i7-8700KはCore i7-7700Kから最大で45%の性能増
では、そんなCore i7-8700Kの性能はどうでしょう。インテルの資料にあるまとめから見てみましょう。
Core i7-8700Kに関しては、前世代の最上位モデル「Core i7-7700K」と比べて、最大で25%ほどゲーム(「Gears of War 4」で計測)のフレームレートが高く、メガタスキング(複数のアプリを同時に処理すること)においては最大で45%も性能が向上していると言います。ちなみに、このメガタスキングはゲーム「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(通称、PUBG)をプレイしながら、録画&配信も同時に行なうというCPU使用率をかなり圧迫する状態でテストしているようです。また、負荷の高い4Kビデオの編集では32%も高速に処理を終えるとのこと。物理コアの増加ってすごいですね。1世代差でこれだけ性能が上がったのは本当に久しぶりです。
インテルは第5世代Coreプロセッサーで製造プロセスを14nmに移行。その後、順当にいけば第7世代Coreプロセッサーで10nmに微細化する予定でしたが技術的ハードルが高く、結局は2世代ごとに微細化とアーキテクチャー変更を行なうTick-Tock戦略を諦めました。しかし、14nmはその後14nm+(Kaby Lake/Kaby Lake Refresh)へ、そして今回のCoffee Lakeで採用されている14nm++へ、改良を進めました。図らずも10nmの開発と並行して長らく14nmと付き合うことになりました。
その集大成がCoffee Lake-Sというわけです。そりゃ性能も上がりますよね。「10nmまでのCoffee Breakだ」なんて思ってて正直すまんかったと思う次第であります。さて、Coffee Lake-Sのざくっとした立ち位置がわかったところで、対応チップセットなどの細かい仕様を見ていきましょう。
Coffee Lake-Sは新チップセット「Intel Z370」と組み合わせて使う新CPUです。つまり、Coffee Lake-SはIntel Z370チップセット搭載マザーボードでしか動かないということです。また、すでにさまざまなところで報道されている通り、CPUソケットはLGA1151を採用しますが、前世代のCPUと電気的な互換性がありません。なお、Coffee Lake-Sで使えるチップセットはIntel Z370のほか、後日Intel 300シリーズとしてほかのチップセットも登場します。
Intel Z370に関しては、Optane MemoryやThunderbolt 3の対応など、Intel 200シリーズから特に変更はなく、純粋にCoffee Lake-Sが動くチップセットという認識で大丈夫です。
物理コアを増加して劇的に性能が向上したデスクトップPC向け第8世代Coreプロセッサーですが、それによって下位クラスだったCore i3やCore Xシリーズに匹敵しそうな勢いのCore i7がかなりお買い得に見えてきませんか? 特にCore i3はTBがないだけでポテンシャルは前世代のCore i5並みです。K付きを買ってオーバークロックすれば、サクッと第7世代Core i5に太刀打ちできる性能まで上がると思います。いや~、いい時代になりましたよね。
それもこれも競合の目覚ましい躍進にほかならず、長年舵を切らなかった「メインストリームCPUの物理コア増」まで行なったのはひとえに「AMDのおかげ」と言っても過言ではないように思えます。今年も9月が終わり残すところあと3ヵ月。早くも年末商戦が楽しみになってまいりました。
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インテル
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