ユニークな付属ツール「MSI Dragon Center」でチューニング
CPUやグラフィック性能の高さはもちろんだが、「GE73VR 7RF Raider」の魅力はそれだけではない。とくに注目したいのが、ノートPCの性能や機能をチューニングできるユーティリティー「MSI Dragon Center」が付属すること。
これは起動すると現在のパフォーマンスやCPU、GPU温度などがチェックできる「システムモニター」として使えるのだが、さらに、PCの性能をフルに引き出せる「システムチューナー」まで搭載している。この機能を詳しく見ていこう。
数多くあるチューニング機能をざっくりとチェック
さてこの「システムチューナー」機能だが、大きく9つの機能がある。設定画面左から順に紹介していくと、まずは「Windowsキー」を無効化してくれる機能。
Windowsキーはスタート画面の表示やショートカットキーとして使えるため、普段は非常に便利なものだ。しかし、ゲーム中に押してしまうとスタート画面が出てしまい、ゲームのプレイができなくなるだけでなく、最悪の場合、ゲームが落ちてしまうことすらある。こういった不慮の事故を防ぐためにも、Windowsキーの無効化はありがたい。
次にあるのはVR関連の機能だ。「VR READY」はHMDを自動認識するもので、「Nahimic VR」はステレオヘッドセットに7.1chサラウンドを提供する機能。音空間を立体化することで、VRをよりリアルにできるというメリットがある。
「X Boost」はおもしろい機能で、なんと、ストレージのアクセス速度が改善されるという。気になる機能なだけにちょっと実験してみよう。「USB Boost」は外付けHDDなどの速度を改善するものだが、使用頻度が高いUSBメモリー(USB 2.0対応、容量4GB)でも効果があるのか試してみた。
この機能をオンにするだけで、USB 2.0でも1割近くもシーケンシャルリードが上昇するという結果になった。効果は接続するストレージによっても変わるようだが、これだけ効果があると常時オンにしておきたい。
続いて「Storage Boost」をオンにして内蔵SSDでチェックしてみよう。単純なファイルのセルフコピー(RAWファイル300枚、約13GB)を行なってみたところ、オフの場合は約63秒だったのに対し、オンにすると約59秒。SSDのためもともと速いのだが、少しとはいえさらに高速化していたのは驚きだ。どちらの機能も効果があるのか疑っていただけに、素直に感心してしまった。
「Shift」機能はCPUなどの速度を自動で調整するもの。ゲームなどで普通に使うのであれば“Sport”、消費電力を抑えるなら“ECO”を選ぶといいだろう。気になったのが“Turbo”。これを選ぶと詳細設定が可能で、GPUとVRAMを高クロック化できるのだ。この設定で性能が上がるのか、GPUは200MHz、VRAMは350MHzの最大値で試してみた。
VRAMも変えられるということで、性能比較に使ったのはFFベンチ。ノーマル状態と比べてスコアーがどのくらい伸びるのかワクワクしていたのだが、実際はエラーが起こり、途中で止まってしまった。熱の問題かと考え、次の設定にある「ファン速度」を“Cooler Boost”に変更。これは最大風量でファンを回してくれるモードで、キーボードの右端、電源ボタンの下にあるボタンを押した時と同じ動作となる。
これにより風量が増えて冷却性能が向上。騒音はかなりの轟音となってしまったものの、FFベンチは無事に完走してくれた。スコアーは10518となり、通常時の10285とくらべてわずかではあるが、しっかりと伸びていることが確認できた。
ちなみにこのファンの風量、「詳細」を選ぶとCPUやGPUの温度に対してどのくらいの回転数でファンを回すのかといった細かな設定ができる。ギリギリまで高回転にしない静音仕様や、逆に、早くから高回転にして温度上昇を増やすといった設定を、ユーザー自身の手でカスタマイズできるのがおもしろい。こだわり派の人にはたまらない機能だ。
システムチューナーで変更できる項目は他にもまだあり、Nahimicの再生効果、色味を調整する「True Color」、画面の拡大率を変更する「DPI」といった設定を変更可能だ。ゲームや仕事、趣味などとPCの用途に合わせ、好みの設定に手早く変更できるのが魅力だ。
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