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「調べる」から「アシストする」へ

進化するGoogle マップ、新機能の開発の裏側

グーグル・シニア エンジニアリング マネージャーの後藤正徳さん

 多くの人が日常的にお世話になっているグーグルのサービスの代表であるGoogleマップ。その機能の多くは、ここ日本で開発されている。だが、あまりにも日常になりすぎて、今どんなところが進化しているのか、ちょっとわかりづらい。

 そこで2回に分けて、Googleマップの新機能とその方向性について、開発者のインタビューをお届けする。お話いただいたのは、グーグル・シニア エンジニアリング マネージャーの後藤正徳さんと、ソフトウエアエンジニアの平澤恭治さんだ。

Android版UIの変化から今後のGoogleマップが見える

 現在のGoogleマップでもっとも力を入れ、大きな変化となっているのがUI、特にAndroid版でのUIだ。今年の2月より「Swipe Up」と呼ばれる操作体系が導入された。これは、現在の場所の近くにどのようなスポットがあるか、ここから自宅やオフィスに移動するならどのくらいの時間がかかるか、といった情報を、画面を上にスワイプするだけで呼び出せるものだ。このUIを導入した理由を、後藤さんは「もっとアシストできるようにするため」と説明する。

後藤さん Googleマップは「どこかに行きたい」「そこを探して行く」「到着したらその場所で使う」ということを強く意識して開発しています。
 前は地図があり、検索バーがあり、メニューなどのボタンがある程度でした。それでも、地図を見て行き先を決める、という基本に忠実な使い方であれば使えるんです。」それだけでは、機能も見つけにくいですし、どう使うべきかがわかりづらい。

Android版のGoogleマップの右下「探索」をタップして引き出すと、その場所や時間にあった候補が提案される

 特に、行きたい場所ややりたいことがぼんやりしている時には使いづらかった。それを解決するUIとしてSwipe Up UIを導入しました。このUIでは、場所と時間に応じて候補を提示します。ランチタイムなのか夕食時なのか、どこにいるかなどを勘案して表示します。地図と場所をうまくつなげ、どうしたら簡単に、途切れなく探せるだろうか……という考え方で導入したものです。「もっと人々をアシストしよう」というのがグーグルの考え方で、単に地図を検索するだけでなく、それ以上にこちらから場所を提案して、「よりあなたに向いた地図」、パーソナライズされた地図を提供しようとしています。
 もちろん同時に、その場所で誰もが求める情報も出します。例えば空が陰ってきたら雨の日に向いた情報を出すだとか、そういうこともこっそりやっています。

 これは、地図をベースとしたサービスが次の段階へ向かうための第一歩と言える。現在我々は、自分でやりたいこと・見たいことを考えてからアプリやサービスを使っている。しかし一方で、「なにをしたいか」「どこへ行きたいのか」を考える段階でも、毎日同じようなことに思考力と労力を使っている。そもそもそれは面倒だ。グーグルは、スマートフォンなどで「Googleアシスタント」を使っている。Googleアシスタントは音声応答機能が注目されがちだが、狙いはそこだけにあるのではなく、「その人がやろうと思うこと」「そこで多くの人がやろうとすること」を先回りして提示することで、情報やサービスをより使いやすくし、利用量を増やすことを目的としている。

 その観点で見れば、Googleマップも歩調を合わせ、進化点を「アシストする」ことに定めた……と言えるわけだ。現在のGoogleマップでは「モバイル版の方が利用量は多く、GPSなど、使える情報も多い」(後藤さん)ため、そこが進化の軸になってきている。


Googleマップの便利な新機能〜旅先でローカルレビューを日本語で読む
 言葉の分からない旅先でカフェを探したい場合、現在地を表示したGoogleマップで「カフェ」と日本語で検索すればOK。さらに現地の言葉で書かれたローカルレビューは、端末で利用している言語に自動で翻訳される。いまのところ、Google翻訳が対応している、103言語に対応している

気になる場所を開けば、レビューは自動的に元の言語とともに、翻訳される。テキストをコピペする必要がなく、地元のレビューを読むことができる

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