ソニー銀行は8月8日、国内銀行初の投資型クラウドファンディングプラットフォーム「Sony Bank GATE」の運営を開始した。ソニー銀行口座をもつ満20歳以上のユーザーが支援者として、挑戦企業の事業を対象に組成されたファンドに投資できる。
Sony Bank GATEは寄付型、購入型といったクラウドファンディングとは異なり、ファンドへの出資の対価として事業の売上高に一定の割合を乗じた分配金を受け取ることができる。出資金は償還されないが、事業計画の売上高が達成された場合は出資金相当額を上回る分配が行なわれる仕組み。
なお、Sony Bank GATEは第二種金融商品取引業の規制が課せられる集団投資スキーム持分の募集または私募の取扱いに該当する。当該集団投資スキーム持分は金融商品取引法上のみなし有価証券で、一般的にはリスクの高い商品だ。また、クラウドファンディングによる出資は預金ではなく、預金保険の対象外で元本は保証されない。
最初に登壇したのはソニー銀行代表取締役社長の住本 雄一郎氏。住本氏は「ネット銀行参入から15年経ち、ネットで銀行取引できることは常識となった。新たな価値をユーザーに届けるにはどうしたらいいか。大きな2つの挑戦に乗り出すことになった」とコメント。ひとつが投資型クラウドファンディングのSony Bank GATEで、もうひとつは9月1日にオープンする銀座の「コンサルティングプラザ」。顧客とのリアルなタッチポイントを拡大することで顧客拡大につなげる構え。
住本氏はSony Bank GATEに関して「我々が挑戦するのは金融商品として投資する投資型クラウドファンディング。ただし、挑戦企業の顔が見えるという新たな金融商品」「日本経済の発展や活性化に寄与できるのではないか」と新商品の意義を語った。
続いてソニー銀行執行役員新規事業企画部長の田中 浩司氏が登壇し、新規事業の説明を行なった。田中氏はSony Bank GATEが「資産運用×共感・応援という新しい投資のカタチ」と語る。
また、既存のクラウドファンディングの問題点でもある資金調達に関する銀行との折衝などに関して「実際のビジネスに関係ないプレッシャーがある」とコメント。さらにマーケティングなどをソニー銀行が受け持つことで、挑戦企業が大規模な案件でも動きやすくなると語る。
最後に、Sony Bank GATEの最初の挑戦企業となるリンクジャパン代表取締役社長の河千泰 進一氏が登壇。IoTスマートリモコン「eRemote pro」を紹介した。
eRemote proはさまざまな家電の赤外線リモコン代わりに出先からでもスマホで家電を操作できるIoTスマートリモコンで、最大の特徴は電流センサーを搭載することで、これまでのリモコンでは一方向の通信だった家電のオン/オフが相互通信で可視化できること。
今後は赤外線リモコンだけでなく「Google HomeやAmazon Alexaとの連携を予定している。音声で家電が制御できるようになる」とコメント。特にAmazonの音声アシスタントAI、Amazon Alexaに関しては「今は詳しく言えないが期待してほしい」と含みを持たせた。
河千泰氏は「これまで購入型のクラウドファンディングを実施したが、大量生産というところまで資金を調達できなかった。また、銀行からの調達では全社で責任を負わなければいけなかったがファンド型はプロジェクト単位なので、複数プロジェクトがある会社の場合扱いやすい」とSony Bank GATEの利点を語る。
続けて現時点の問題点として「資金調達までの手続きをもっとシンプルにしてほしい」「競争の激しいモノづくりの現場では迅速な資金調達が重要。調達までの時間を短縮してほしい」とリクエストした。
Sony Bank GATEは国内ベンチャー企業のハードウェアプロジェクトを中心に展開し、2017年度は月ベースで2件で3年で70件、40億円規模を想定。スタート当初は国内企業が対象だが、将来的には海外企業によるプロジェクトの金融商品化も視野に入れている。
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