7月31日からプリオーダー開始、8月10日から発売へ
AMD、Ryzen Threadripper 1950XはCore i9-7900Xを大きく上回る性能を発揮と明らかに
半導体メーカーのAMDは、米国ロサンゼルスで7月30日~8月3日(現地時間)に開催されているSIGGRAPH 2017の会期中に記者会見を行ない、同社が5月のアナリスト向けの説明会で存在を明らかにした16コア/32スレッドCPUとなるRyzen Threadripper(ライゼン・スレッド・リッパー)の最新情報を公開した。
AMD 上席副社長 兼 コンピューティング/グラフィックス事業本部 事業本部長 ジム・アンダーソン氏によれば、Ryzen Threadripperには1950X(16コア/32スレッド)、1920X(12コア/24スレッド)、1900X(8コア/16スレッド)の3つのSKUがあり、上位2製品は8月10日に、1900Xは8月31日に販売が開始される予定。7月31日よりプレオーダーが行なわれ、価格は1950Xが999ドル(約11万600円前後)、1920Xが799ドル(約8万8400円前後)、1900Xが549ドル(約6万800円前後)であるとしている。
アンダーソン氏は「ハイエンドデスクトップPC市場で、我々のRyzenは快進撃を続けてきた。Zenアーキテクチャーを採用したことで性能が大きく向上し、Ryzen 7、Ryzen 5、そして最近Ryzen 3をリリースした。今後は、企業向けのRyzen Pro、さらにモバイル向けのRaven Ridge(ラベンリッジ)などをリリースする予定だ。そして、16コアで32スレッドのRyzen Threadripperをまもなく投入する」と述べ、Ryzen Threadripperに関する説明を行なった。
Ryzen Threadripperは、CPU基盤の上に、Ryzen(8コア/16スレッド)のダイを2つMCM(Multi Chip Module)の形で実装されている製品。今回アンダーソン氏はそのスペックについても言及。1950X、1920X、1900Xという3製品のSKU構成は、CPUのコア/スレッド数とクロック周波数以外、すべてのSKUが同じスペックになっている。PCI Expressは64レーン、DDR4メモリは4チャネル、そしてオーバークロックのために倍率ロックはかけられていないなどの特徴がある。CPUのコア数、スペック、価格に関しては以下のようになっている。
Ryzen ThreadripperのSKU | |||
---|---|---|---|
製品名 | 1950X | 1920X | 1900X |
CPUコア/スレッド | 16/32 | 12/24 | 8/16 |
ベースクロック | 3.4GHz | 3.5GHz | 3.8GHz |
ブーストクロック | 4GHz | 4GHz | 4GHz |
PCI Expressレーン数 | 64 | 64 | 64 |
メモリーコントローラー | 4チャンネルDDR4 | 4チャンネルDDR4 | 4チャンネルDDR4 |
価格 | 999ドル(約11万600円前後) | 799ドル(約8万8400円前後) | 549ドル(約6万800円前後) |
発売予定日 | 8月10日 | 8月10日 | 8月31日 |
最上位は1950Xで、16コア/32スレッド、3.4GHz(ベース)/4GHz(ブースト)となる。真ん中のSKUは1920Xで、12コア/24スレッド、3.5GHz(ベース)/4GHz(ブースト)となる。コア数は1950Xに比べて少なくなるが、ベースクロックは3.5GHzと若干高めとなっている。最下位のSKUは1900Xで8コア/16スレッド、3.8GHz(ベース)/4GHz(ブースト)になる。1900Xの8コア/16スレッドは、Ryzen 7の最上位モデルとあまり変わらないスペックに見えるかもしれないが、Ryzen 7 1800XがPCI Expressは24レーン、メモリコントローラが2チャネルであるのに対して、Ryzen Threadripper 1900XはPCI Expressが64レーン、メモリコントローラが4チャネルになっていることが大きな違いとなる。
CinebenchでRyzen Threadripper 1950XはCore i9-7900Xを38%上回るとAMD
アンダーソン氏はRyzen Threadripperの性能も明らかにした。1950XとCore i9-7900Xとの比較では、Cinebench nTで38%上回る性能を発揮するとした。その他にもPOVRay 3.7で31%、Premiere Proで14%、Handbrakeで21%、7-zip 16.02で27%、Veracryptで55%になるという。
1920XとCore i9-7900Xとの比較では、Cinebench nTで11%高い性能を発揮するとし、その他POVRay 3.7で6%、Premiere Proではやや下回って-5%、Handbrakeで3%、7-zip 16.02で3%、Veracryptで19%になると説明した。
つまり、リストプライスで799ドルと、Core i9-7900Xよりも200ドル安い1920Xがほぼ同じかやや上回る性能を実現しているということだ。アンダーソン氏は「電力効率でもRyzen ThreadripperはIntelのCore i9を上回っている」と述べ、平均消費電力はRyzen Threadripper 1950Xの方が2%ほど少ないのに、性能では上回っているため、高い電力効率が実現できているとアピールした。
なお、マザーボードに関してはASRock、ASUS、GIGABYTE、MSIから提供予定であり、CPUファンに関しても空冷が5種、水冷に関しては20種の製品が登場する予定だと説明した。また、DellのゲーミングPCブランドであるAlienwareがRyzen Threadripperを搭載したゲーミングPCを発表する予定であることについて触れ、「既に数日前からプリオーダーが始まっている」と述べた。
アンダーソン氏は、前述のとおり7月31日から1950Xと1920Xのプリオーダーが開始され、出荷時期は1950Xと1920Xが8月10日、1900Xは8月31日であると説明(いずれも米国時間)。米国時間8月10日というと、日本では8月11日未明となるが、再び秋葉原などで深夜販売があるかなども含めて、今後の動向にも要注目だ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう