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ベンチャー発の独自物流サービスが名称を改めCtoC配送へ拡大

軽貨物版Uber「PickGo」が日本の物流を変える

2017年07月14日 07時00分更新

 いくらサイバー空間上でEC市場が拡大しようとも、最後はリアルな「モノの移動」が伴う。日本における配送の「ラストワンマイル」をめぐる状況に課題は多い。Amazon.co.jpの利用者拡大が配送の負荷を上げ、宅配事業者が悲鳴を上げているのは皆さんもご存じのことだろう。「軽貨物の輸送問題」をクリアしなければ、これ以上のEC市場拡大は困難なのかもしれない。

 一方で、軽貨物を取り扱うドライバーは「個人事業主」が多いのだという。だが、中小企業のドライバーが6万3000業者存在し、14.3兆円の市場が存在するにもかかわらず、明るい話が出てこない。ここには「アナログ的、属人的な問題」がある。

 そんな状況下、軽貨物ドライバーと荷主を「マッチング」させることで解決できるのではないかと考える企業がある。それが軽貨物版Uberともいうべきサービス「PickGo」(ピックゴー)だ。旧サービス名「軽town」として、2016年6月より運営を行っているCBcloud株式会社代表取締役CEO 松本隆一氏に、日本版物流ラストワンマイルの現状を聞いた。

CBcloudの松本隆一代表取締役CEO

想像以上にアナログな世界「軽貨物輸送」

物流プラットフォームの名称を「軽town」から「PickGo」に名称を変更。その対象領域・サービスを2017年8月9日よりCtoC向けに拡大する

 「PickGo」は、荷主とドライバーをマッチングするためのプラットフォームだ。構想の背景には、軽貨物を取り扱う小さな企業を営んでいた松本氏の義父の存在が大きかった。松本氏自らも手伝った経験から、その状況を「アナログ的」と表現する。

 「ドライバーと配送車を集める、ドライバーが報告する、荷主からの連絡を受けるなどが、すべてFAXと電話で行なわれる。いくら社内システムなどを効率化しても、最後はアナログ。そして、電話はなかなかつながらない。1台の配送車をつかまえるのに30回電話することもざら。業界的にこれが普通」だと、松本氏は振り返る。

 軽貨物のドライバーは「個人事業主」として活動している人がほとんどで、松本氏の義父も多くの個人事業主と”つながる”ことで組織を作っていた。そしてピラミッドの上位構造である大手配送業者から、急ぎの依頼電話がかかってくる。もちろん、個人事業主という立場上、「割のよくない仕事」は断る権利がある。だが、仕事を選択できる状況がありつつも、大手配送業者が搾取しているととられかねない契約を結んでいる事業主もおり、多くの「ロス」があり、松本氏も多くの苦労を見たという。

画像提供:CBcloud

 そしてこの状況はいまも変わらないという。ウェブの掲示板を経由して仕事の発注/マッチングを行なっているドライバーもいるが、多くはいまでも電話中心の連絡に頼っており、ドライバー全体の40%が50歳以上で、高齢化も進んでいることからスマートフォンもあまり普及していない。

 その結果、荷主とドライバーのマッチングには時間がかかり、配送時間にも影響する。さらにドライバーの報酬も低く、典型的な下請け構造によるロスが根強く残る。典型的な「3K」であるため、魅力に欠け、若手ドライバーもこの世界になかなか入ってこない。負のスパイラルが回り続けているいっぽうで、EC市場だけが拡大しているのが現状だ。

 松本氏の義父も、24時間電話をかけ続け、疲労困憊(こんぱい)の中にあっても「ドライバーの役に立ちたい」という思いがあったという。松本氏はその姿を見て、スマホとITの力で変革を起こせないかと考える。そのときの思いは、手書きの企画書という形で現実化する。「軽town」として始まるサービスがPickGoの原型だ。

「PickGo」(軽town)の原型となった手書きの企画書

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