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シャープさん、8K時代はぶっちゃけどうなりますか? 評論家2名が聞いてみた

2017年07月18日 11時00分更新

評論家による対談

 それでは8K映像の現在地点と、シャープの液晶モニターの品質はどうか。デモ映像や試験放送の番組を視聴しながら、シャープの開発者およびAVライター2名の座談会という形式で、取材を兼ねた意見交換を実施した。

 参加者はシャープからディスプレイデバイスカンパニー デジタル情報家電事業本部 国内事業部 8K推進部長の高吉秀一氏、同じくデジタル情報家電事業本部 栃木開発センター 第2開発部 係長の下田裕紀氏、AVライターの折原一也氏、鳥居一豊氏だ。

折原 「8Kディスプレーではシャープの内製率が高くなっていくとのことです。8Kパネルの生産はどちらで実施されているのでしょうか?」

デジタル情報家電事業本部 8K推進部長の高吉秀一氏

高吉 「85型は亀山工場での生産でしたが、70型は堺工場での生産です」

折原 「バックライトは直下型ですね」

下田 「はい。直下型のバックライトを使い、エリア制御しています。数は非公開ですが、民生用に比べてエリア数も増やしました。同時に色域を拡大するために、バックライトとカラーフィルターを変更しています。『リッチカラーテクノロジー』と銘打っていますが、従来とは少し異なるアプローチですね。結果BT.2020比で79%の広色域を実現できました。

 色域を広げる技術には、蛍光体を変えたり、フィルターを変えたりと、まだまだやれることがあります。これを100%に近づけたい。解像度としては8Kというゴールがあり、これは達成できています。次の軸は色域やHDRといった、人間の目により近い再現性を得るための技術となります」

折原一也氏

折原 「今年のNHK技研公開の表現に『フルスペック8K』というものがありました。その対応度は?」

高吉 「フルスペック8Kの基準で、できていないのはBT.2020のカバー率が100%ではない点と、120Hz入力への対応です。最終的にクリアしなければならない課題とは考えています。ただし85型の入力は60Hzですが、パネル自体は120Hzで駆動していました。来年の実用放送開始に合わせてまず60Hzに対応し、その先の目標として120Hzに取り組んでいきたいと考えています」

折原 「シャープにはクアトロンプロの技術があります。8Kテレビと従来技術の関係についてはどうですか?」

高吉 「2Kから4Kへと進む、その間にクアトロンがあったのと同様に、4K NEXTは4Kとその先にあるステップの8Kをつなぐ存在として開発しています」

鳥居一豊氏

鳥居 「4原色技術は、BT.2020の色域100%に近づかせるためにも有効ですか?」

高吉 「現状では色域の改善のために4原色技術を使ってはいません。まずはカラーフィルターとバックライトの改善かなと思っています」

鳥居 「8Kの解像度は、モバイル向けでは10インチ台でも実現できるとのことですが、具体的にはどのぐらいのサイズまで8Kテレビとして販売されるのでしょうか?」

高吉 「ニーズ次第ですね。市場ではいまのところ40型以上が4Kになっています。そう考えれば、55型や60型は8Kの市場になる可能性があると思っています。現状あるのは70型の8Kモニターまでですが、この前後のサイズは、製品ラインアップとして持つ必要があると考えています。これより小さい画面は、スタジオや外に持ち出して映像をチェックする必要がある、プロ用モニターになると思います」

鳥居 「60型クラスのサイズは現在でも各メーカーがハイエンドの機種としてラインアップしています。4Kとの差別化やラインアップ展開という意味でもスムーズに感じますね」

高吉 「シャープとしても4Kの次に8Kがあるというイメージで、可能性があると考えています」

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