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無料SIMとアプリで日本観光をサポート!訪日外国人向けサービス「WAmazing」

2017年06月30日 07時00分更新

SIMを使ったビジネスの新たな可能性

 WAmazing代表の加藤氏は、もともとはリクルートのデータアナリストだった経歴をもつ。実際にコンサルティングや調査で触れていたデータから、いま立ち上げるべき市場が見えていたが、そこを押さえるサービスがまだ黎明期で数少ないと感じ、自ら会社を立ち上げた。その背景には定量・定性両面でのデータが軸にある。

 インタビュー中も同社のすべてのアクションにはデータ裏付けがあり、加藤氏の見ている視点自体が非常に興味深い。実際の訪日旅行者の動きの変化も忘れておらず、定期的に旅行者へ実際の面談も行なって定性的なインサイトも取得している。

 通信環境という日本ならではの課題へのインセンティブの一方で、実際の旅行の2~3ヵ月前からユーザーへの情報発信を行ない、事前でのサービス落とし込みができるのがWAmazing最大の強みだ。

 これを実現しているのは、ソラコムとの連携によって提供されているSIMだ。使用可能期間や容量、利用者ごとのコントロールなど、ソラコムのSIMとの出会いが現在のビジネスモデルの背景にある。WAmazingに限らないが、スタートアップでも使えるプラットフォームとして、このようなSIMを使ったビジネスはもっと増えてもいいはずだ。スマホをそのままIoTデバイスにできるメリットに眠る可能性は大きい。

 WAmazingの料金プランは現在、500MBまでは無料、追加データを購入する場合は500MBで999円、1GBで1500円、1.5GBで2000円となっている。今後も一定のデータ通信量まで無料というスタンスは変わらないと加藤氏は話す。

 また、アプリ内コンテンツの充実を図るため、ユーザーインタビューを通して旅行者同士で相互に相談できるコミュニティーの形成、訪日経験のある旅行者の日記や経験談を閲覧できるスペースを設けるなど、内容のブラッシュアップも検討している。

 WAmazingユーザーがアプリで会員登録する際には、国籍、性別、使用する空港、旅行期間、基本的な旅行に関する情報と、旅行者本人に関する情報に加え、タクシーの配車機能にGPS許諾を取得しているため、ユーザーの国内での大まかな位置情報を把握することができる。しかし、そうしたデータを扱うには相応のリソースが必要だ。

 そこはベンチャーの領域ではないと判断する加藤氏は、「今はよりユーザーを拡大して商材を拡大し、出会いを最大化していくというプラットフォーム方面に一旦フォーカスするとき。将来的にはそうしたビッグデータ分析なども視野にしたいが、今は実ビジネスをしっかりやっていきたい」と話す。インフラ問題の解決と観光商品の提供という2つの柱で、WAmazingがインバウンドビジネスの中で抜きん出た存在になる日もそう遠くない。

●WAmazing(ワメイジング)株式会社
2016年7月設立。SIMカード提供も含めた訪日外国人旅行者対象のスマートフォン向けアプリサービス『WAmazing』(ワメイジング)を運営。
資金調達に関しては、銀行からの借入れが主。
スタッフは2017年6月現在で25名(業務委託、インターンを含む)。事業開発やアライアンスを担当するビジネスデベロップメント人材、エンジニアなどを募集中。

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