マイクロソフトは5月26日に日本でSurfaceの全ラインアップを発表.既発表のSurfaceBookとともに、新ボディのStudio、Laptop、そしてバージョンアップとなるProの最新モデルを公開した.
すでに、Studioと「新しいSurfacePro」は6月15日に出荷を開始.この新Proは、2013年の初代から数えて5世代目で、CPUが第7世代コアとなったのが最大の特徴だが、ボディデザインも刷新され、バッテリーの持ちも長くなったということで、製品版を試用してみた.
初代と2世代目のSurfaceProは、10.6型の1920×1080というフツーのディスプレイを搭載していた.それが2014年に登場したPro3ではいきなり12型の2160×1440ドット、つまり3対2の比率で登場し、業界をギャフンといわせた.
さらに2015年には12.3型とさらに大きくなり、解像度も2736×1824ドットと上がり、とはいえ比率は3対2のままで、タブレットPCの画面は3対2が正解という「常識」を固定させた.
今回の新Proは5という名前がついておらず、「新SurfacePro」である.「なんか某A社と同じですね~」という感じがするのだが、マイクロソフト製品責任者によると、これがSurfaceProの完成形ということで、番号はなくなり、今後もつかないそうだ.今後は某A社製品と同様に「2017年モデル」などと呼ぶことになる.
モバイル最強のCPUを搭載
Type-C端子はやはり搭載せず
CPUはPro4と同様に、コアm3とi5、そしてi7の3種類で、なんとm3とi5モデルは放熱ファンを搭載していないらしい.それゆえ(?)動画再生時間は最大で13.5時間と、Pro4から50%増し=4.5時間も長くなっている.
もちろんi7モデルはPro4の6560Uと同様にIris入りの7660Uを搭載しているので、通常のモバイル用i7(7500Uや7600U)より高速のグラフィック処理が期待できるのも超うれしいポイント.スペックは選択するCPUによって変わるのだが、メインメモリーは4GBから16GB、SSDは128から1TBまで選択可能だ.
インターフェイスもPro4と変わらず、USB3.0のType-Aが1つとMini Display Port、ヘッドホンジャックとシンプルだ.底面にはタイプカバーの接続端子が、右側面のSurface Connectという専用電源端子には、ACアダプターや、別売のSurfaceドックが接続できる.付属するのは従来と同じ、小型の65W型電源アダプターだ.液晶の上部には一度使ったら手放せないWindows Hello対応の顔認識センサーを内蔵している.
内蔵バッテリー容量はPro4の38Whから45Whへと18%の増加.にもかかわらず、本体重量は変わらずの786グラムを実現している.サイズもほぼ同じで、厚みは8.4ミリから8.5ミリへと0.1だけ増えている.
さらによく寝るよい子になり
ペンも使いやすいのだった
キックスタンドは,Pro2までは段階型で55度が限度だったが、,Pro3からは150度まで任意の角度に調整できるようになった.新Proではさらに開脚度が増して、165度まで可能で、ほぼ上向きの状態で利用できるようになった.
Surfaceペンも新しくなり、こちらもPen2とかいう名前ではなくまぎらわしいのだが、筆圧の感度が前モデルの1024段階から4倍の4096段階へとよくなった.さらにペンの傾きも検知可能.なぜかクリップがなくなり、22グラムから20グラムへとちょっと軽くなった.磁石内蔵でProやBookのサイドにピタッとくっつくのは同じ.
ただし、筆圧・傾きともに、新Proでのみ可能で、新機種のStudioやLaptopでは1024段階のままである.お値段も7800円から11800円とお高くなったのだが、新Proユーザーはぜひこちらをお求めになるのがよいでしょう.キックスタンドがよく寝るようになったので、ペンも使いやすいのである.
ちなみに、Surface Studioの付属品のような印象ながら、実は別売品である「Surface Dial」は、Pro4やBookでも利用可能.んがしかし、スクリーンの上に置くと自動関知してメニューが出る「オンスクリーン」機能は、Studioと新Proでのみ可能である.
Pro専用の着脱式キーボード「Type Cover」も新デザインとなり、プラチナ、コバルトブルー、バーガンディの3色が7月7日に発売となる.従来品はキーボード面がプラスチックな感触だったが、今回のSignature Type Coverはキーボード面もアルカンターラでサラッとした感触である.淡色だと汚れそうな予感がするので濃色がオススメだ.
Irisが効いてウルトラブックより高速
SSDは最新の1チップタイプだ
さあ、みんなの大好きなベンチマークテストの結果です.今回はコアi7-7660Uに16GBメモリー、512GBSSDのモデルではかりました.
CPUの速度をみるCINEBENCHでは416という値.7600U搭載ノートで398ですから、1ランク上であることは確かですね.3DMarkでも、FireStrikeで1556が出ました.7600Uでは1066という値が出ていますので、こちらはIris様の威力が十分に発揮され、約1.5倍速いという結果です.
ちなみに、ジサトラ一平さんが今年のはじめに泣きながらとったベンチによりますと、Pro4(6650U)のCINEBENCHは342、FireStrikeは1406という値だったそうです.m3やi5がどれくらいの速度なのかは、そちらの記事を見て予想していただけるとありがたいです.ただし、新Proは下位CPUだとファンレスなので、速度も抑えめかもしれません.
さて,SSDの速度はというと、この画面キャプチャーのとおり、最近のM.2型NVMeのSSDとほぼ同じか、やや高速でした.
そして、面白いのは、テスト機が搭載していたSSDで、「KUS040202M」というサムスンの製品です.こちらは「PM971シリーズ」という最新製品でもって、BGAのワンチップ型のモデルです.通常、SSDはチップ数が少ないほど速度を上げるのがたいへんなんですが、ここでは1チップでM.2と同等の速度が出ています.
このワンチップSSDドライブは、M.2の5分の1の面積で、重さは1グラムということで、今後、省スペースと軽量化を目指すモバイルノートに載ってくるにちがいないですね.リード速度はSurface Bookに搭載している1TBのPM961シリーズとほぼ同様の速度でした.
ベンチマークを計測していて気づいたのですが、電源モードの設定がちょっと変わっていました.電源=速度の設定になるわけですが、新Proではタスクバーの右側にあるおなじみのバッテリーアイコンをクリックすると、バッテリー残量を重視するのか、パフォーマンス(要するに速度ですね)を重視するのかを設定できます.電源接続時は3段階、バッテリー動作時は4段階で指定できます.
バッテリーの持ちを計測するBBenchはいつものとおり、最高パフォーマンス、液晶輝度最高で実施.新Proは3時間20分駆動しました.同条件でLaVie ZERO(CPUが7500Uでバッテリー容量は45Wh)は2時間40分、ThinkPad X1 Carbon(7600Uに57Wh内蔵)では3時間10分でした.7660Uという1ランク上のCPUを積み、液晶の解像度も高いにもかかわらず、45Whで3時間20分は、うまくコントロールできているということですね.
充電の速度は、同じ条件でPCを利用しながらで、50%まで68分、70%まで100分、90%までが130分と、Surface BookのPerformance Base(102W型のACアダプター使用)よりは少し遅めでした.バッテリー容量が大きいとはいえ、50%充電は1時間以下で実現してほしいところですね.
高性能タブレットPCが欲っしい人は即決
LTEとLaptopが気になるのだ~~
SurfaceProの最大の魅力は、ちょうどいい画面サイズと3対2比率の液晶、そしてハイパフォーマンスです.まさに週刊アスキー電子版を読むのにピタリなんですよね.
Pro4のCPUアップグレード版かと思っていた新SurfaceProですが、筐体デザインも変わり、バッテリーも増えて、ペンの感度も4倍に上がってと、まさに完成形になっていました.
また、秋には新ProのLTE内蔵モデルも発売になるということで、パソコン好きなみなさんはいつ買うかとても迷っているみたいです.そのうえ、Surface Laptopも7月20日に発売になるので、さらに悩みましょう.Surface Bookユーザーの私もそわそわしておりますよもちろんですよええ.
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