毎分305メートルの印刷能力、小ロットから大量印刷まで
今回導入したT490 HDは、同社がこれまで稼働させてきたT230の約5倍の生産能力を持つ。短納期での大量印刷が可能であり、小ロットから大量印刷まで様々なニーズにデジタル印刷で応えることができるのが特徴だ。
サーマル方式を採用しており、印刷速度は、毎分最大305メートル、高品質モードでは毎分152メートルを実現。2つの印刷エンジンに200個のインクカートリッジを搭載。1インチあたり2400ノズルによって印刷。紙幅は最大1067mm(42インチ)までカバーする。
インクは、CMYKの4色の水性顔料インクとともに、ボーンディングエージェントを使用し定着させている。上質紙およびコート紙のインクジェット専用紙のほか、オフセット用上質紙、オフセット用コート紙も使用できる。
ダイレクトメールはひとりずつ違うものであるべき
見学会に先立って開催された説明会で、ウイル・コーポレーションの若林圭太郎社長は、「2020年に業界規模はピーク時に比べて半減すると予測されている。既存の市場だけでやっいていれば事業は縮小していくだけだが、新規市場には大きな成長機会がある。そこに向かって、デジタル化を推進し、デジタル印刷機を活用した新たなサービスの創出によって、第2の創業に挑んでいく」とした。
「直近3年間で、当社から新たに提供したパターンは、822に達している。我々が目指しているのは、すべてのダイレクトメールが、企業側からの一方通行のものではなく、アマゾンのリコメンド機能のように、一人一人の嗜好にあわせた形で送付できる世界。それを実現できる環境が、デジタル印刷とAIによって訪れようとしている」
「また、デジタル印刷によって、少ないロットにも対応できるようになり、過剰に生産した印刷物を管理したり、廃棄したりといったコストを削減することもできる。ある大手出版社では、デジタル印刷の採用で、年間1億円のコスト削減につながった例もある」
また、「48時間以内に生産し、72時間以内に納品する環境を実現したい。7月には、北國工場に設置していたT230を、関東工場に移設し、関東でもデジタル印刷を開始する予定である。これにより、1日あたり480万ページの印刷が可能になり、A4判240ページの冊子に換算すると、1日あたり2万冊のデジタル印刷が可能になる。今後は北國工場と関東工場を中心にデジタル印刷機の設置を進めていくことになる。多くのお客様に、自分たちの実験場として、また新たな印刷を実現するための先端工場があると考えてもらいたい。テストマーケティングを含めて、いろいろな形でこれまで以上に協力関係を強化したい」と述べた。
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